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きものの文様

あけましておめでとうございます。
本年も、どうぞよろしくお願い申し上げます。

着物でお正月を迎えられる方はいらっしゃるだろうか。
また、これから成人の日もある。
着物の方を見ると、ついつい見惚れてしまう一月である。

私は、着物が似合わない。
いかり肩で肩幅が広く、ドレスなら肩紐は落ちないけれど、
着物が美しく着られる肩をしていないため、残念ながら着物の楽しみ方を知らない。

それでも、着物には憧れていて、以前、幸田文さんの随筆について書いてみた。


着物の色合わせも、文様についても、生かせはしないのに知りたい気持ちがある。
お正月ということもあり、本棚から「きものの文様図鑑」を久しぶりに出してみた。
中には美しい文様の写真が載っていて、綺麗な図鑑である。



まずは、「きものの文様の変遷」として、長崎巌さんの文章から始まるのだが、
お正月にもふさわしい「吉祥文様」についての記載がある。

吉祥文様は「おめでたいこと」を求め、喜び、そのことを知らしめる文様であるが、「吉祥」という言葉の「めでたいしるし」「よいしるし」という意味の概念を視覚化したものだという。

吉祥文様の分類は二種類あり、中国からもたらされて日本で定着したものと、中国では吉祥的な意味合いがさほど強くなかったものに日本で独自に吉祥的な意味が与えられたものがあるらしい。

婚礼衣装に見られる鶴と亀は、中国でも長寿を象徴するものとされていたようだ。
そういえば、母の形見の帯に、亀甲文様のものがあったな、と思い出す。
しまわれたままであるが・・・。

松竹梅については、中国では龍や鳳凰ほどの吉祥性を持たないようだけれども、日本では最も馴染み深いものとなった。

そして、純国産の吉祥文様があるという。
それは、「橘」。
橘は、理想郷とされる「常世国(とこよのくに)」からもたらされる果実で、長寿を招き元気な子供を授かると信じられていたらしい。
正月の鏡餅の上に橙やみかんがのせられるのは、そのためだという。

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この本には、たくさんの文様がカラーで説明されていて、楽しめる。
象徴的な文様から、染色技術の発達で絵画的表現が可能となったものまで、色も柄も綺麗である。
「地球儀」なるものまである。

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また、源氏香文、物語絵など、興味深いものが載っていて楽しい。
日本について知らないことがどれだけ多いかを、着物の図柄を通して感じている。


睦月。
「始まる・元になる月」であると共に、仲良くすること、仲睦まじいこと、互いに親しみ合うなどの意味を持つ。
「睦び合い」の宴を、お正月に家族や親族が集まる月に行うことが由来だそうだが、今年は、なかなかそのようなわけにもいかない。
それでも、少しずつ平穏な日常が戻る一年であってほしいと思う。

着物で羽つき。
そんなお正月は、今もどこかにあるのかな・・・と思いながら見ている。


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