シェア
三八〇ルミヲ
2021年3月8日 14:11
十二月の初め、涼子が風呂に入っている時に母から電話があった。暮れに、実家に帰ってくるのを楽しみにしているということだった。私は年末の二十八日から休みになるから二十九日には余市に帰れるだろうと言ったが、受話器を置いてからちょっと不安になった。 涼子が初めて私の実家に泊まるのだ。 実家はりんご園を営む農家で、しかも古い家風なので、涼子は長男の嫁として家事から掃除まで、いわゆる「女の仕事」をさ