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日本ドラマ界を牽引する脚本家野木亜希子を知らずしてドラマが語れるか!!(敬称略)

金曜の夜、ネットの書き込みに驚きの声が溢れた。

現在放送中の連続ドラマ「MIU404」に、かの人気俳優Sが、予告も告知もなく突如として現れたのだ。

「MIU404」と言えば、星野源と綾野剛という人気俳優が主演、脇を固める面々もゲスト出演する俳優陣も話題性のある人たちばかり。そこへたたみかけるように、超人気俳優Sが登場した。しかも予告でも、ネットでも事前に全く情報が流れていなかった。

人気俳優を起用する理由と言えば、演技力・表現力への信頼はもちろんのこと、そこについているファンの視聴力も決して無視できない。なのに、あえてそこを捨ててサプライズへと舵を切った。

思う。。。これはリアタイ(放送時間にテレビを見る)離れ久しい視聴者への製作陣からの挑戦状なのではないのか。

かくいう私も特にドラマは録画派。セリフをちゃんと聞き、ストーリーを万全な体勢で追いかけたいのと、CMを飛ばしたいからという理由。

ただ録画派にはいつもネタバレという弊害が立ちはだかる。

今回も漏れなく、リアタイ陣の書き込みを全く見ずして録画再生にたどり着くのは不可能だった。私の、テレビの前で「えー!!!!!」と狂喜乱舞の雄叫びをあげるチャンスは永遠に失われた(サプライズ登場の人気俳優Sの名は、ネットにバンバン出回っていた)。

このドラマの脚本は、今や売れっ子脚本家と言って差し支えない、野木亜希子さん。オリジナル作品だ。

野木さん作品といえば、「逃げ恥」や「アンナチュラル」が真っ先に出世作として挙げられるけれど、私はぜひとも「重版出来!」「掟上今日子の備忘録」「図書館戦争シリーズ」の秀逸さも加えたい。NHKにて放送されたフェイクニュースの光と闇を描いたドラマ(北川景子主演)も素晴らしかった。

原作のある作品を映像化する手腕もさることながら、オリジナルを世に送り出すようになってからも、丁寧な人物描写、それぞれの事情がリアリティに溢れているところ、感情移入しやすい登場人物たちの現実味あふれる混沌模様、「あるある!」と大きく頷いてしまうセリフの数々、が見るものを魅了している。物語が進むにつれ全てのキャラクターに愛着が湧く「これぞ私たち日本人のドラマ」という作品を生み出し続けているのだ。

タイドラマにうつつを抜かし始めてから、ちょっと離れていた気持ちが一気に引き戻される。「やっぱり日本ドラマも素晴らしい!」

第3話のテーマは「分岐点」。少年たちの警察への挑戦とも言えるような「イタズラ110番通報」を軸に、少年犯罪への思い、大人が少年たちをどう導いていくのか、そこにはどんな違いがあるのか。

4機捜のメンバーの個性や過去が少しずつ見え隠れしつつ、この事件への向き合い方でまた、キャラクターの色が濃く浮かび上がる、そんな内容になっていた。

綾野剛演じる伊吹は、刑事の中でもお荷物的存在。足だけは早いと豪語し、警察に鬼ごっこを仕掛けてくる高校生と対峙するも、相手が陸上部でしかもリレー形式であったがゆえに最初は取り逃してしまう。

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伊吹の走る姿は毎回ものすごく格好いい。時々刑事もので、運動神経が皆無だろう俳優が無理やり走らされている光景を目にし興醒め甚だしい時があるけれど、綾野剛さんは全くそんなことはない。アスリートのような走りに毎回うっとりする。

4機捜の中でも刑事局長を父にもつキャリアの警部補九重(岡田健史)。今回のイタズラ通報にもことさらクールな態度を見せ、道を踏み外したとしても自分で何とかするしかない、と言い放つ。

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4機捜のメンバーは、リレーで走りつなぐ面々をそれぞれ追いかけるも、1人だけ取り逃してしまった。九重を振り切ったまま、行方不明になってしまったのは成川岳という少年。

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道を踏み外した成川岳が知り合うのは、闇でヤバいものを売り捌いているらしい謎の男。

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遠景でチラッと登場した時からネタバレ録画派にはすでにわかってしまうこのお姿(ラストではしっかり登場、リアタイ派はそこで驚愕)。

どうやらこの成川と謎の男は今後も何らかの形で登場するらしい。いつか4機捜と、九重と、決着がつく日がくるのだろうか。

4機捜の隊長でもある桔梗ゆづるを演じるのは大ファンである麻生久美子さん。女性幹部として期待を寄せられるやり手だけれど、その私生活には愛しい存在がある。

男社会の中で、意見をガンガン言う姿はスカッとして気持ちがいい。「さすが女性の意見は違うな」と的外れな上司のお世辞にもクールに切り返すキレッキレのトークを展開。憧れる。

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4機捜を厳しく時に温かく見守る頼れる上司。

最近、BSで過去の「時効警察」を放送していて懐かしさのあまり見ているのたけれど当時の麻生久美子さんと今があまりにも変わらな過ぎて驚く。

人間、若さだけが全てではないけれど、それ以外にも、美貌と可愛さ、厳しさと甘さ、これが変わらず常に同居できる稀有な存在である。本当にこんな人が実在するのだろうか、AIと言われても信じそうなほど。

時に、改めて大好きだ。

話を戻すと、野木さん作品は俳優さんたちにも愛されているなとつくづく思う。着実に積み上げてきたキャリア、脚本に対する信頼感、色々要素はあるのだろうけれど、主演をはれる人気俳優がシークレット出演をOKするだなんて、なかなかないことではないか。もちろん脚本だけがドラマではないので、一概にそう言えないのかもしれないけれど、野木さんを知らずして今後の日本ドラマ界は語れない、そんなふうに思う。

今回、様々な事情で放送回数が短縮になったりするドラマもあるようだけれど、MIU404だけは予定通りしっかり放送してほしい。予定以上でも歓迎である。

次の話も楽しみ。どんな仕掛けがあるだろうか。この3話でサプライズを仕掛けた製作陣の、次の企みにも期待したい。


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