「今朝の月」詩―シロクマ文芸部 「今朝の月」企画参加
今朝の月は
下弦の月で
儚く うすいシトルリン色
薄明りのなかで
ホタル火のように
おぼろに 黄色く光る
地平線には もう
今日が 顔をのぞかせ 始め
あかね雲が ゆっくりと
背伸びを している
シトルリン色(黄水晶色)は
母さんの 好きだった色
{家が繫栄して みんなが
幸せになる色だ}と
よく 話してくれた
母さんの シトルリンのブレスレットは
白い 長袖ブラウスの
袖口から 恥ずかしそうに
顔を覗かせていた
私が 欲しがると
「彩ちゃんには ちょっとまだ
大きいわね」といいながら
手に つけてくれる
私は うれしくて 歓声をあげて
部屋中を 駈けまわり
ジイジにも 見せびらかす
「ええのぅ。 彩ちゃん おしゃれだなぁ
お姉ちゃんに なったんじゃ」と
眼鏡を ずらして ニコニコするジイジ
ついでに おせんべも くれた
このブレスレットは
今も 私の 左手首を
ひそやかに 飾ってくれている
下弦の月を 見上げると
ブレスレットを 触りながら
母さんの やさしい目
朝ご飯の匂い 白くやせた頬を
紅色に 燃え始める
朝焼け雲の中に 捜してしまう
小牧幸助さんのシロクマ文芸部 「今朝の月」企画に
参加させて いただきました。
小牧さん またおせわになりますが、どうぞ
よろしくお願いいたします
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