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フランス詩を訳してみる

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2022年8月の記事一覧

ルコント・ド・リール「真昼」(フランス詩を訳してみる 35)

Leconte de Lisle (1818-1894), Midi (1852)

(上田敏、安田保雄の訳を参考にした。)

フランス高踏派の詩人ルコント・ド・リールの代表作です。1851年、まだ無名だった彼がこの詩を朗読するのを聞いて、著名な評論家サント゠ブーヴが感動して涙を浮かべたといいます。翌1852年にサント゠ブーヴが評論の中で全行を引用して紹介しています。同年末、この詩を含む最初の詩集

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ヴェルレーヌ「しずむ陽ら」(フランス詩を訳してみる 34)

Paul Verlaine (1844-1896), Soleils couchants (1866)

(川路柳虹、堀口大學、松山敏、鈴木信太郎、金子光晴、橋本一明、野村喜和夫の訳を参考にした。)

『土星人詩集』(Poèmes saturniens)の「悲しい風景」(Paysages tristes)からの1編です。

「しずむ陽」といえばふつうは夕方ですが、この詩では1行目にいきなり「夜明け

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ヴェルレーヌ「願い」(フランス詩を訳してみる 33)

Paul Verlaine (1844-1896), Vœu (1866)

(川路柳虹の訳を参考にした。)

『土星人詩集』(Poèmes saturniens)からの1編です。

日本ではあまり知られていないようですが、手元にあるJean Orizet編のフランス詩アンソロジーでは、「よく見る夢」と「秋の歌」と並んで『土星人詩集』からこの詩が取り上げられていました。

原文は、ギリシャ語由来の

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