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【留学】あの選択をしたから

15歳の冬、わたしは留学を決意した。
正確には、覚悟を決めた。

実は長期留学を前提に、この時すでに2週間オーストラリアでお試し留学を終えていた。


けれど、そこで出会った日本人の先生に、厳しい言葉を受けたのだ。

「あなたみたいな繊細な子は、留学してもやっていけない。せめて大学まで待ちなさい。」

この先生はシングルマザーで、過去に娘2人を連れて、英語力も貧しいままオーストラリアに渡っていた。予想するに、大変な苦労をされて、同じような思いをわたしにさせたくなかったのだと思う。



オーストラリアという初めての国に一人という不安な状態で、なんとか前向きに振る舞っていたわたしは、その一言で一気に堪えていた涙が止まらなくなった。

わたしが泣き始めると、先生は慌ててティッシュを渡してフォローしてくれたけど。予想だにしていなかった単刀直入な指摘に驚いてしまった。


それまでも、元々持っていた英検用の本を使って単語の暗記をしていていたら「日本語の本じゃ意味がない」と言われたり、日頃から少しきつい性格の人だった。

それまでにじわじわと積み上げてきた留学に向けての心の準備が、その言葉によって再び揺れ動いた。

元々自信があった訳でもないのに、「本当に自分にできるのか? やり遂げられるのか?」という不安が沸々と湧いてきた。


そんな時、わたしを救ってくれたのは、
身近な存在だった二人の言葉。

一人目は、当時不登校児を対象とした家庭教師として来てくれていた、大学生のお姉さんの言葉。

「不安なんです」と素直に打ち明けると、
「でも、誰でもやったことがないことに挑戦する時は不安で当たり前なんじゃないかな」
と言ってくれた。


それまで不安にならないように、不安を見せないように自分を奮い立たせてきたわたしは、「そっか、不安でもいいんだ! 不安でも挑戦できるんだ!」ということに気づけた。

それは【不安=自信がない=うまくいかない】という方程式を打ち崩し、安心させてくれる言葉だった。


二人目は、実の母の言葉。
不登校で学校生活に苦しんできた数年を近くで支えてくれた母。毎日泣いたり喚いたりしているわたしを間近で見てきた。

そんなわたしに対して投げかけられたのは、
「どうせ日本にいても苦しいなら、海外で苦しめば?」という言葉。
今でもすごく印象に残っている。


冷静になり、「確かに」と思い、とても腑に落ちた。これまで散々苦しんで、幸せではなかった。日本にいてここまで辛かったのだから、これ以上辛くなることはそんなにない気がするし、例え海外で辛いことがあっても大差ないじゃないか。

そんな後押しをしてくれた二人には今でも感謝してる。結果、わたしは大学卒業までを海外で過ごすことになるのだが、今では高校から留学したことを本当に良かったと思っている。あの時、先生の言葉を鵜呑みにしないで。不安に負けないで。


あの選択をしたから出会えた人たちがいる。過ごせた時間がある。大学も充実した時間だったが、わたしはとにかく高校時代が楽しくて、輝かしくて仕方なかった。最愛のホストファミリーに出会ったのも高校生の時だった。


大好きなホストパパも言っていた。
「やるかやらないか迷ったら、やった方がいい。行動すれば、学びになり、記憶に残るから」

振り返ってみれば、全てはあの選択から始まった。
あの選択をしたから、今のわたしがある。
あの選択をして、心から、よかった。


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