事業準備の軌跡①:貧困削減の課題とソリューション

はじめに

この記事の目的は事業を考えていく段階の記録と第三者からの意見・フィードバックを集めることにある。まずは下の前提を読んでいただきたい。

半年ほど前から本格的に「東南アジアの貧困削減」の解決に向けて事業準備を始めた。起業といってもまずは任意団体として始めようと思っている。そのためにどういう課題が存在して、どういったソリューションを実行できるのか考えている段階だ。なぜアフリカなどではなくアジアを優先するかというと、自分がアジア人であり彼らの課題を解決することに最も意義を感じるからだ。もちろん全世界中の教育平等ないし、貧困削減を願っているが、自分の中での優先度を考えた時に自国(日本、朝鮮、韓国)に近い国から始め、全世界に広げていくのがいいと感じている。

週末日記#5より引用

教育普及とそのための学校マイクロファイナンス

上記の通り、週末日記で少し話したが、現在「東南アジアの貧困削減」の力に少しでもなるべく事業を準備している。僕がこの課題を解決するためのソリューションとして注目しているのが「所得平等化とそのための教育」だ。僕は東南アジアの貧困の根本的な原因の一つは教育、言い換えると、良い学校を卒業すれば良い職につけるという社会構造にも関わらず、途上国では学校に通える人が少ないということだと感じている。そしてこれについてリサーチを続けた結果、JICAが出典していた論文を発見し、この仮説証明とソリューションを導くための提案が浮かんだので書き残しておこと思う。

まず下記の論文の引用から「教育による所得標準機能によって貧困削減は可能である、すなわち教育普及は貧困削減の解決策になりうる」ということが証明できる。

データ検証の結果、経済成長と教育普及率との間には明確な相関関係はなかった。しかし教育水準が80%を超えない国について所得水準の高い国は見られなくこれは、教育普及が経済発展の必要条件ではあるが十分条件ではないことを示している。一方で教育普及率と貧困人口比率には明確な相関関係が存在していた。このことは教育による所得平準化機能によって貧困人口を削減できることを示している。このように教育は人権的な意義を持つだけではなく経済的な視点から見ても、所得格差の是正によって貧困削減につながる点で意味があるものと考えられる。

「途上国の学歴格差と学校マイクロファイナンス」より引用

しかし、近年の発展途上国では平等な教育が与えられていない。理由としてひとつ明らかなのは経済困窮である。もちろん学校建設などのインフラ設備がないことには教育を受けさせることはできないが、この課題を解決するために世界銀行など多くの慈善活動団体が支援をしている。学校の数も徐々に増えているため、僕はその次の段階である「お金」に目を向けている。学校があってもお金がない家庭の子供たちは学ぶことができない、よって平均並みの給料がもらえる職につけず、また彼らの家族も同じルートを辿ることになる。もちろん無償の支援は素晴らしいものだが、それだけを続けていても彼らの真の貧困削減は実現しないだろう。

現在のマイクロファイナンスと教育融資

そこで僕が注目しているのはマイクロファイナンスだ。簡単にいうと本来の金融機関では融資を行うことができないような少額のお金を融資し小さい利息を大勢の債務者から受け取り利益を上げる、そんな金融システムである。しかし現在多くの発展途上国で行われているマイクロファイナンスは農業や織物業などの零細事業の事業主に行うとこがほとんどで教育融資には使われていない。ここでの教育融資は「学生本人が債務者となり将来の賃金向上を見込み融資すること」と定義する。

マイクロファイナンスが教育融資に向いていない理由は三つある。

  1. マイクロファイナンスの構造ではグループから最貧層の人々が排除されてしまう。

  2. 逐次的融資拡大は教育融資には用いることができない。

  3. マイクロファイナンスの手法である支払猶予なしの頻繁な分割払いと高リスクグループの事前排除は、将来の賃金向上を期待した教育融資に用いることはできない。

第一の理由は、マイクロファイナンスの構造自体に原因がある。マイクロファイナンスの特徴は、特定の人数でグループを組ませ連帯責任を負わせることで返済率の向上を促すグループ融資と、小さい額から融資し頻繁な分割払い(逐次的融資拡大)をさせ速い段階で返済リスクが高いと特定したグループへの融資を止め、貸し倒れリスクを抑えることである。そのため、比較的に返済リスクの高い最貧層の家庭及びグループは融資対象から排除されることになってしまう。学校に通えない子供は家庭を支えるための労働力として働いている事が多く、彼、彼女らの多くは最貧層に分類される。

第二の理由である逐次的融資拡大は上記で述べたマイクファイナンスの特徴の一つであり、徐々に融資金額を上げていくことだが学費はそのように支払いすることが不可能なので用いることができない。もし学校と連携してそのような制度を導入することにしても学校の運営ができなくなってしまう恐れがある(解決策をどうにか練れば導入できそうではあるため要検討)。

第三に、教育融資は将来の賃金向上に期待し、職を得た後に学生に融資することなので、本来のマイクロファナンスのように翌週から分割返済をさせ高リスクグループの特定や排除ができない。

このようにマイクロファイナンスを教育融資として活用するには解決すべき課題が多く存在する。そこで上記に引用した論文で提案されていた「教育マ
イクロファイナンス」と僕の考え少し加えてソリューションを導こうと思う。

課題解決のための提案

まず論文内で提案されていることを簡潔に説明すると、「学校または金融機関と連携した学校が学生に融資を行い、分割払いの融資判断をする代わりに、教育(金融教育、職につけるようなスキル教育など)を行い学校に通っている間に、返済率の低下を予防し同時にリスク判定も行う」ということだ。ここで学校が貸し手になるべき理由として書かれているのは、学校の資金で融資することによって学生の管理や教育に真剣に取り組むと見込めるからである。もし金融機関が融資を行うと学校はあくまでも第三者となり、直接利益に関与しないため教育や監視を怠る可能性があるからだ。

実際にこの「学校マイクロファイナンス」を実行する場合に、さらに考慮すべき点を加えると:

  • 具体的なリスク判定方法〜具体的にどのような基準で将来の返済リスクを計算し特定するのか?

  • 金融教育と所得向上の相関の証明〜教育を行うことで所得向上が本当に期待できるか?成績と就職率の相関があれば証明できそう。

  • 返済期間と利息はどのくらい取るべきか〜事業として利益率とリスクがどのくらいになるか?

  • 具体的な対象は誰か〜どの学年、何歳、どこの学校?(以前のプレゼンフィードバックで言われたこと)

などがある。Next stepとして上記四つを中心にさらにリサーチをしていこうと思う。進展があれば随時このNoteに記していくつもりだ。

もし他に考えるべき点、課題、提案などがあればぜひ下のリンクから意見をもらいたい。

この記事に関するフィードバックまたは「学校マイクファイナンス」についてのご意見送信フォーム:https://forms.gle/JJP17pfb5gZWSXXR6



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?