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弁護士の僕ならこうやって遺産相続を進めます-18(遺留分と親子の関係)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:遺産相続 】

今日で18日目ですが、引き続き、遺産相続についてお話していきます。

ここ何日かは、「父が遺言を残していたケース」のうち、

②遺言のせいで僕以外の相続人がたくさん遺産を貰ってしまい、僕は遺留分すら足りない。

という場合に関して、「僕だったらこうやって遺留分を請求するだろうな」ということについてお話しています。

昨日は、知らないうちに母との関係が悪化していて、そのせいで、母から自発的に遺留分の支払いを受けられそうにない、ということを前提に書いてみました。

そういう場合、僕なら、民事訴訟を覚悟します。

というか、自発的に遺留分を支払ってくれない相手に対して、無理やり支払わせる手段は、法的には民事訴訟しかありません。

だから、民事訴訟以外に手段がないんです。

父の遺言では、「財産すべてを妻に相続させる」と書かれていて、「妻」とは僕の母のことです(という設定です)。

母が自発的に払ってくれないのであれば、それで遺留分を諦めるという考え方もあります。

最終的に、無理やり遺留分を確保する手段は民事訴訟しかないので、僕が、母に対して民事訴訟を提起してまで遺留分を確保しなくてもいいかな、と考えることもできます。

とはいえ、関係が既に悪化しているのであれば、民事訴訟を回避することによって守るべき「母との人間関係」は存在しませんよね(笑)。残念ながら。

遺留分を請求できるのも、タイムリミットがあって、遺言を見てから1年が経過すると遺留分は請求できなくなります。また、父が亡くなって10年が経過したら、遺言の存在すら知らなくても、遺留分は請求できなくなります。

だから、↑のタイムリミットの間に、遺留分を請求するかどうか決めなきゃいけませんが、僕だったら、悪化している母との人間関係よりも、目先のお金を優先します(笑)。

「目先のお金」とは遺留分のことですが、遺留分は法的な権利なので、「遺留分がほしい」というのは、全く非難されるいわれはありません。

法的な権利という意味では、「働いた分の給料払ってくれ!」と「遺留分払ってくれ!」に差はありません。

だから、僕なら、母との人間関係が悪化していて、そのせいで、父が遺言を残した理由もわからないし、母から自発的に遺留分の支払いすら受けられない場合は、民事訴訟を提起してまで、遺留分を請求すると思います。

じゃあ、母との人間関係が、そこまで悪化していない場合はどうするか。

うーん、その場合は、僕が遺留分を請求するかどうかは、父が遺言を残した理由次第です。

納得できる理由があれば、遺留分を諦めますが、そうでなければ、遺留分は確保したいと思っちゃうでしょうね。

母との人間関係が悪化していなくても、母が遺留分を払うつもりがないケースもあり得ます。

母の言い分としては、父の遺言を尊重して遺留分を僕は請求するべきではない、ということでしょう。

遺留分が法的な権利として認められているとはいえ、母が、僕の権利行使に応じてくれるかどうかは別問題です。

遺留分を請求することで、母がイヤに思う可能性はもちろんあります。

僕が遺留分を請求しないでおくことで、母との人間関係を壊さずに済むのであれば、遺留分を請求しないでおくことも、理にかなっています。

しかし、僕なら、母との人間関係を優先して、遺留分を諦めることはありません。

母との人間関係なんて、いつか終わるからです。めちゃくちゃドライな考え方かもしれませんが、僕が遺留分を「諦めた」と思っていても、母が同じように「諦めてくれた」と思ってくれるとは限りません。

母は、僕が遺留分を諦めたことを「当然」と思ってしまう可能性があります。

父の遺言に従うのは「当然」で、僕が遺留分を請求しないのは「当然」。

僕が遺留分を請求しないことを、そんな風に勘違いされちゃたまったもんじゃありません。

僕が遺留分を「諦めた」という思いは、一生ついて回ります。

法的には、母は、僕に対して遺留分を支払う義務があったのに、それを、僕が諦めたことで、母は、本来僕が得られたはずのお金さえも自分で使うことができている。

遺留分を諦めると、こんな未来↑が待っています。

まあ、優しい母で、僕が遺留分を「諦めた」という思いを理解してくれて、逆に僕に良くしてくれる可能性もありますが、それはあくまで、母次第です。

僕だったら、母との人間関係よりも、遺留分を優先します。

というか、法的な権利として遺留分を請求できるのに、それを自発的に支払ってくれないような母との人間関係を優先しても仕方ないと僕は思います。

母には母の考え方があって、それを尊重するべきだとは思いますが、別に、僕がその考え方に巻き込まれる必要はありません。

考え方が違っていて、そのせいでストレスを感じてしまうような人間関係は、さっさと切り捨てていい。それがたとえ、親子の関係でもです。

親子だろうが、自分以外の人間は他人です。自分にとって自分は自分だけです。それを何よりも優先しなきゃいけないと僕は考えています。

例えば、遺留分を自発的に支払うつもりはあるけれども、金額の面で折り合いがつかないので(払う方は安く払いたいし、貰う方は高く支払ってもらいたい)、交渉するというのは全然いいと思います。

これは仕方ないので。どこかで折り合いをつけて、つまり、僕も母もお互いに譲歩して、それぞれが納得できるところで合意できたのであれば、そういった親子の関係はキープするべき価値があると僕は思います。

でも、お互いに譲ろうとしなかったり、そもそも、遺留分を支払いたくないと言われてしまうような母との関係は、切り捨てないと、自分の身が持ちません。

誰かとの人間関係を良好にキープするためには、何よりも、自分の心身の健康が不可欠です。

自分が心身ともに健康であって初めて、人間関係は良好に維持されると僕は思います。

自分の心身を蝕んでくるような人間関係は、さっさと切り捨てなきゃダメです。親子だろうが何だろうが、自分の心身の健康より優先するべきものは何ひとつないというのが僕の考えです。

だとしたら、僕は、母との人間関係を優先して遺留分を請求しない、というのはあり得ない。

なぜなら、遺留分を請求して、(金額面で話し合いが必要かもしれませんが)自発的に支払ってくれるような母との人間関係しか、キープする価値がないからです。

遺留分を諦められる唯一のケースは、母から、父が遺言を残した理由について、納得できる説明を受けた場合のみです。

そうでなければ、遺留分を支払ってくれない母との人間関係を切り捨ててでも、遺留分を請求します。

「母との人間関係を切り捨てる」なんて、めちゃくちゃ大げさかもしれませんが、遺留分を請求する最終的な手段が民事訴訟なので、そこまで大げさではないと思います。

自分の息子が訴訟を提起したことで、裁判所から呼出状が届くというのは、母にとって、かなりショッキングだと思いますよ。

だから、訴訟提起によって、人間関係にそれなりの亀裂が入ることは覚悟しなきゃいけません。

僕だったら、そういった亀裂を覚悟して、それでもなお、最終的には民事訴訟を提起して、遺留分を請求します。

母が、遺留分を自発的に支払ってくれることを願うばかりです(汗)。

今日はこれくらいにします。

それではまた明日!・・・↓

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