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イチ公務員である弁護士が、児童相談所長の代理人になっていいの・・・?再審リスクは・・・?

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このブログでは、2019年7月にうつ病を発症し、それをきっかけに同年12月からブログを始めて、それ以降、700日以上毎日ブログ更新してきた、しがないサラリーマン弁護士である僕が、日々考えていることを綴っています。

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【 今日のトピック:児童相談所長の代理人 】

さて、結構長く続いてきたシリーズも今日で最後です。

昨日のブログでは、結論として、児童相談所長の権限を部下の職員に渡すことはできないから、いくら弁護士登録しているとはいえ、常勤弁護士が児童相談所長の代理人になることはできない、ということを書きました。

行政内部で権限をやり取りするには、法律上の根拠が必要で、知事や市町村長を起点に権限を渡すのは、地方自治法153条という根拠法があるのでOKなんですが、地方自治法153条に基づいていったん権限を受け取った職員が、さらに別の職員に権限を渡せるかというと、実は、これは禁止されています。

なぜなら、歯止めがかからないからです。

地方自治法153条は、知事や市町村長を起点とした権限委任を認めていると同時に、知事や市町村長から権限を受け取った職員が、さらに別の職員に権限を渡すこと=「再委任」を禁止している、と解釈されていて、それは、再委任を許しちゃうと権限のやり取りが無限に広がってしまい、歯止めがかからなくなるからです。

いちど、権限を知事又は市町村長から受け取ってしまえば、さらに別の職員、そのまたさらに別の職員・・・・と、無限に権限を渡すことができるようになります。

そんなことできちゃうと、「誰が権限を行使できるか」も法律で決めておかなきゃいけないのに、それが骨抜きになってしまいます。だから、再委任は禁止されています。

したがって、児童相談所長の権限を、イチ公務員でしかない常勤弁護士に渡すことはできないんです。

児童相談所長に権限がある根拠は、本来、知事(又は政令指定都市の市長)が持っている権限を、地方自治法153条に基づいて、渡されているからです。

その権限を、さらに、別の職員に渡してしまうと、まさに、地方自治法153条が禁止している「再委任」に該当してしまいます。

だから、公務員という立場で働いている弁護士は、児童相談所長から権限を渡してもらうことはできないんです。

その結果、弁護士であれば、「代理人」として活動するのが本望であるところを、やむを得ず、代理人としてではなく、イチ職員として活動することになります。

弁護士として登録し、毎月数万円の会費も支払っていながら、代理人として活動できないのは、結構歯がゆいです。

ただ、日本全国見渡してみると、児童相談所長の代理人として活動している常勤弁護士もいるようです。

常勤弁護士なので、「イチ公務員」であることは間違いなく、児童相談所長の「代理人」になってしまうと、地方自治法153条が禁止している「再委任」に該当してしまうのですが、そんなのお構いなしで、児童相談所長の代理人として活動しているようです。

この点について、実際に児童相談所長の代理人として活動している弁護士に質問してみたんですが、再委任の禁止に触れるかどうか明確な回答は得られませんでした。

ただ、代理人になることができるかどうかって、めちゃくちゃ大切なんです。

どうしてかというと、代理人になることができない人間が代理人になってしまうと、その裁判は、最終的に確定したとしても、「再審」といって、確定した後にひっくり返されてしまう可能性があるのです。

児童相談所の弁護士は、家事審判を頻繁に申し立てるのですが、この家事審判は、子どもの処遇(施設入所や一時保護の延長)を決定するものです。

この家事審判が、後で再審によって覆されるなんて、ぜったいにあってはなりません。

子どもの処遇を決めておきながら、それが間違っていたなんて、行政としてあまりにも無責任ですし、見過ごした裁判所も無責任です。

子ども1人の人生がかかっているわけですからね。後で再審で覆されるリスクは、極限までゼロにしておかなきゃいけません。

そうだとすれば、再審リスクを抱えてまで、常勤弁護士を代理人として扱う必要はありません。

別に代理人として扱わなくても、裁判を進めることはできます。

イチ公務員でも、裁判に参加することはできるので、その立場で、弁護士としての力量を十二分に発揮すればいいんです。

にもかかわらず、再審リスクを抱えながら、「代理人」にこだわるのは、法律家の態度として間違っているでしょう。

・違法な代理人=再審

・常勤弁護士が児童相談所長の代理人になることが完全に適法とは言い難い

のであれば、粛々と代理人になることは控えるべきだと思います。

なんとなくで代理人になったらダメなんです。適法な代理人になれなければ、再審によってひっくり返されてしまうからです。

そこを僕は今日お伝えしたかったです。

「なんとなく」はダメ、ぜったい。

それではまた明日!・・・・↓

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