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弁護士の僕ならこうやって借金を整理します-5(破産の説明)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:債務整理 】

さて、今日も引き続き借金について書いていきます。

昨日は破産について書きました。

破産とは、要は、当面の生活に必要な財産(家財道具とか価値ゼロの自家用車とかマックス99万円までの現金とか)以外の財産(マイホームを含む)はすべて売却してお金に変えて、それを債権者(まだ完済できていない会社や人)に配る手続きです。

売却の対象になる財産は、破産手続開始決定が裁判所から出だされた瞬間の財産に限られます。

「破産手続開始決定」とは、「これから破産手続を始めますよ~」と裁判所が宣言することで、その宣言は書面で出るんですが、その書面には、破産手続開始決定を出した日にちだけでなく、時刻まで書かれています。

これまでの僕の経験上、書かれている時刻は、破産手続開始決定を出した日の午後5時ちょうどになっています。

この「午後5時」の瞬間に持っていた財産のみが、売却の対象となります。だから、この後に受け取った給料は含まれません。

例えば、破産手続開始決定の瞬間、現金は90万円しか持っていないので、その現金を債権者に配られる心配はなかったけれども、破産手続開始決定後に給料を現金で受け取って、現金が120万円まで増えたとしても、99万円を超える部分=21万円を債権者に配る必要はありません。

破産手続開始決定後に現金が増えて、99万円を超えたとしても、増えた分も含めて、現金は自由に使っていいです。

そして、僕の経験上では、「現金」ではなく、「預金」でも、99万円までは、債権者に配られずに済みます。厳密に言えば、「預金」と「現金」は違うもので、法律上、99万円まで大丈夫なのは「現金」のみで、預金は原則として、全額、債権者に配られてしまいます。

しかし、現金と預金の違いは、引き出しているかどうかだけなので、破産手続開始決定までに預金を引き出していたかどうかで、債権者に配られる財産が変動するのはおかしいので、預金であっても現金であっても、99万円までは自由に使えることが多いです。

こうやって、生活に必要な現預金と、その他家財道具をキープしたまま、借金を最終的にチャラにするのが破産です。

破産すると、本当に生活がラクになります。

だって、借金が法律上チャラになるので、それまでずっと返済に追われていたのに、破産すると、返済する必要がなくなるんです。

今回の設定で、僕は、↓これだけの借金をしていました。

・住宅ローン:残り2000万円

・自動車ローン:残り200万円

・教育ローン:残り65万円

・アコム:50万円

・クレジットカード1枚目:100万円

・クレジットカード2枚目:100万円

・クレジットカード3枚目:100万円

合計2615万円、毎月の返済額は、

・住宅ローン:10万円

・自動車ローン:3万円

・教育ローン:1万円

・アコム:3万円

・クレジットカード1枚目:1万円(リボ払い)

・クレジットカード2枚目:3万円(リボ払い)

・クレジットカード3枚め:3万円(リボ払い)

となっているので(設定ですが)、僕は、毎月21万円も返済にあてていました。年収は900万円ですが、毎月の手取りは40万円ほどで、ボーナス月は住宅ローンの返済額が40万円増えてしまうので、まったく余裕はありません。

破産すると、これだけの返済が、ゼロになるんです。

もちろん、住宅は売却されてしまい、毎月の家賃が発生しますが、家賃は、理論的に住宅ローンよりも負担は少ないです。

なぜなら、家賃は「住む対価」のみを支払っていて、住宅ローンは「所有権」を支払っているからです。

本来、住むだけなら家賃のみで十分で、「所有権」は不要です。「家賃を払っても自分のモノにならないからもったいない」という意見の人がめちゃくちゃいますが、「自分のモノ」にしなくても住めるので、「自分のモノ」にする合理的な理由はありません。

「自分のモノ」にしなくても、大家さんから立退きを求められたら基本的に拒否できますし、だから、日本の法律上、「住む」ために「所有権」は不要なんです。

さて、話が脱線しましたが、住宅ローンよりも負担の少ない家賃の支払いは発生するものの、借金の支払いからは完全に解放されます。

これが「破産」です。

まあ、滞納した税金はチャラになりませんが、まあ、普通のサラリーマンであれば、所得税は源泉徴収されているので、未払いということはないでしょう。

固定資産税を滞納している可能性はありますが、これは、市役所との話し合いで、毎月の返済額を決めることになります。

不動産は売却されるので、売却の翌年からは固定資産税が課税されません。

固定資産税の課税基準日は、地域によって差があるらしいのですが、僕の地域では、1月1日現在で所有名義人となっている人に、その年1年分の固定資産税が課税されます。

だから、売却した年までは、固定資産税が1年分全額課税されてしまい、この固定資産税の支払いは、破産でもチャラにはなりません。

ここまで、「破産したら返済から解放される」という風に書いてきましたが、まあ実際は、もっと早い段階から返済から解放されます。

「破産」するためには、普通、弁護士に依頼します。なぜなら、自分で破産するのはめちゃくちゃハードルが高いからです。

「破産」するためには、破産の申立書類をいろいろと裁判所に提出する必要があります。もちろん、自分で作成して提出してもいいんですが、しかし、これらの書類を完璧に用意できない限り、破産は始まりません。

弁護士にとっては、破産なんて日常茶飯事なのですが、破産する本人にとっては、破産は初めての経験です。初めて破産を経験する人が、破産の申立書類を全部作りあげるのは、本当に大変だと思います。

だから、破産する場合は弁護士に依頼するのが普通です。自分で作っていたら大変だし、いつまで経っても破産できないかもしれません。

破産できない限り、返済の督促はひっきりなしにやってくるでしょうし、その督促に対応しながら自分で破産の書類を作成しながら、生きるために生活費も稼がなきゃいけない。

破産を自分でやろうとすると、こういう未来がやってきます。

そうすると、最終的に、精神的に追い込まれて病気したり、最悪の場合は自殺したりしてしまうかもしれません。

破産する場合の弁護士費用は30万円+消費税が相場だと僕は思いますが、それをケチったばっかりに病気したり自殺したりしては、何のためのお金かわかりません。

借金から解放されるために破産する場合は、四の五の言わずに弁護士に依頼しましょう。

ただ、大切なのは、いきなり依頼しないことです。まずは、「相談」です。

自宅近くの弁護士をインターネットで検索して、相談の予約を入れて、実際に弁護士に会って相談して、その人となりを観察してください。

破産事件は、いくら弁護士はプロだとしても、弁護士にとっても結構面倒で、処理が遅れたり放置されやすいです。

相談する際に、「この弁護士はきちんとやってくれるのだろうか」という観点から、じっくりと弁護士を観察してください。

それで、自分で納得して依頼してください。破産事件は、書類作成に少なくとも2か月~3か月かかります。そして、破産を申し立ててからも、結構な期間がかかります。

「同時廃止」といって、破産を申し立てると、それですぐに破産が終わる(「すぐに」といっても、申立てから1か月~2か月くらいは必要ですが)ものもありますし、「管財事件」といって、破産を申し立てた後に、裁判所が選任した弁護士が関与するものもあって、この場合、破産が終わるまで申立てから半年以上かかるのもザラです。

そうすると、破産を依頼する弁護士とは、半年~1年ほど付き合うことになるので、どんな弁護士に依頼するか、非常に大切です。

僕としては、自分が納得して依頼するのがいちばん大切だと思っています。「この弁護士なら大丈夫そう」と自分が納得できていれば、依頼していいと思います。

もし仮に、依頼した弁護士が処理が遅いとか、放置していたなどという場合は、弁護士との契約を解約して、支払ったお金は全額返金してもらうことができます。

とはいえ、破産事件はそれなりに時間がかかるので、申立てまでに2か月~3か月くらいかかるのは、「放置」ではありません。

僕だったら、相談できちんと話を聞いてくれた弁護士に依頼して、もし万が一、その弁護士が事件を放置した場合は、他にも弁護士はいるので、他の弁護士に切り替えます。

放置する弁護士かどうかは、依頼してみないとわかりません。

だから、依頼する時点では、印象の良し悪しで判断せざるを得ません。

印象の良し悪しで判断して、依頼して、ダメなら切り替える。

僕ならそういう考えで、依頼します。

お金に余裕がない状態で、30万円ほど弁護士に支払うのは、かなり厳しいでしょうが、とはいえ、弁護士に依頼しないといつまで経っても破産できないので、僕だったら、とりあえず、印象が良かった弁護士に依頼します。

それで、なるべく早く手続きを進めてもらいます。

そして、実は、弁護士に依頼すると、破産前でも、とりあえず、返済から解放されるんです。

明日は、この辺から話をしていきます。

それではまた明日!・・・↓

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