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子育てに疲れたら-14(家庭裁判所の関与)

【 自己紹介 】

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このブログでは、弁護士である僕が、もし仮に自分が紛争・トラブルの「当事者」となった場合に、「自分だったこうするだろうな」ということをお伝えしてしています。

僕自身、これまでの人生で大きな紛争・トラブルの当事者となったことがなく、今この瞬間、紛争・トラブルに直面されている方の苦しみや不安を代弁できるような立場にはないのかもしれません。

ただ、自分が紛争の当事者となった際の対処法を弁護士目線でお伝えできれば、それが、ご覧になった皆様のお役に立てるかもしれないと考えています。

あくまで、「僕だったらこうするだろうな」ということですから、ご覧になっている方々に必ずしも当てはまらないとは思いますが、僕のやり方をヒントに、自分なりに応用していただけたら、とても嬉しいです。

ご覧になっている皆様のお顔も名前も残念ながら知ることができませんが、アクセスしてくださり、ありがとうございます。本当に励みになっています。

【 今日のトピック:子育て支援 】

今日も引き続き、子育て支援について書いていこうと思います。

さて、昨日は、「一時保護」という児相(「児童相談所」の略)の強力な権限について書きました。

「子育て支援」と銘打っていながら、児相が子どもを奪っていく手段について書いてしまっていますが、言うまでもなく、一時保護は、子どもの利益になるからこそ、認められています。

一時保護は、子どもが一時保護所という隔離施設で一定期間過ごすことですから、子どもも親も賛成していることが理想です。

「理想」というか、子ども本人と親のどちらかが反対しているのであれば、よっぽどのこと(重度の虐待が起きているなど)がなければ、一時保護を行うべきではありません。

しかし、法的には、子どもも親も反対している場合であっても、かなり柔軟に一時保護ができるような仕組みになっています。

でも、この一時保護がいつまでも続けられるわけありません。

ここから昨日の続きですが、昨日の説明したような強力な権限で、子どもを一時保護所まで連れて来て一定期間過ごさせることができるとしても、それが永久に続けられるわけありません。

法律に一時保護の期限は明記されていて、2ヶ月がマックスです。

じゃあ、2ヶ月経過したら子どもを自宅に返さなきゃいけないかというとそうではなくって、家庭裁判所が承認すれば、さらに延長することができます。

この承認は、2か月ごとに必要です。

まあ、家庭裁判所が承認し続ければ、一時保護の期間は延長できるわけですが、そんなことはありません。

家庭裁判所と児童相談所を区別するのは、関係者でないとかなり難しいと思いますが、全然別の組織です。

家庭裁判所は、児童相談所とは全く違う組織で、予算から人事から全然違います。

したがって、児童相談所がどう思っていようが関係なく、家庭裁判所は一時保護を延長するかどうか判断しています。

で、ここからはオフレコなんですが、地方裁判所だろうが家庭裁判所だろうが、裁判官たちも公務員なので、上からの人事評価をめちゃくちゃ気にしています。

もちろん、気にする程度は裁判官それぞれなんでしょうけど、裁判官は、全員、学生時代に司法試験を目指したような人物です。

つまり、若い頃から勉強が得意で、周りから称賛されてきたわけです。

しかも、司法試験に合格すれば裁判官になれるわけではなく、合格者の中でもふるいにかけられて、成績が優秀じゃないと裁判官になれません。

裁判官は、ずっと、成績で評価される競争の渦中を生きてきたわけで、もはや本能的に、競争を勝ち抜こうとします。

(すみません、これは僕の勝手な意見なので、話半分で聞いてください)

司法試験に合格したとはいえ、成績で評価・競争させられる社会から抜け出した(没落した?)僕とは違うのです。

(僕は、人事評価や成績評価を全然気にしなくなっているんですが、公務員になって早速人事評価なるものに直面し、かなり面食らっています・・・。なんというか、「こういう風に公務員の皆さんは人事評価を気にするんだな・・・」ということを実際に人事評価を体験して思いました。)

そんな、成績を気にする裁判官たちは、ぜったいに変な判断をしたくないと思っています。

変な判断というのは、ざっくり言えば、「不服を申し立てられて上訴審で覆される判断」です。

裁判官は判決などで紛争を強制的に終わらせますが、判決などに対しては不服を申し立てることができて、上訴審(高裁や最高裁)で間違っているかどうかが見られます。

で、これで別の判断が下される(覆ってしまう)と、それはつまり、最初の判断が間違っていたことを意味します。

これが、人事評価に響くわけです。

で、判断が覆るかどうかは、もちろん、法的に間違っていないかどうかも考慮されますが、それだけでなく、「きちんと筋が通っているか」という、なんともまあ、素朴な点も考慮されます。

・論理的で説得的か、

・きちんと根拠(証拠)に基づいて立てて結論に至っているか、

・結論と両立し得ない事実・証拠を無視していないか、

・結論と矛盾するように思える事実・証拠をきちんと説明できているか

なんかめちゃくちゃ素朴な話なんですが、ここが裁判官にとってキモなんです。

一言で言えば「筋が通っているかどうか」で、筋が通っていない判決を出したらダメなんです。

こういう裁判官の性質を踏まえると、家庭裁判所の裁判官が、児童相談所の言うことを鵜呑みにするなんてあり得ないんです。

鵜呑みにしてしまい、筋の通らない結論を出してしまうと、それが人事評価に響いて、出世が遠のきます。

出世に興味がない裁判官もいるでしょうが、そんな裁判官にとっても、自分がやりたい仕事ができなくなるのはイヤなはずです。

きちんと筋の通った理由に基づいて判断できない裁判官は、人事評価が悪くなるわけですから、自分の意見を通しにくくなり、その結果、やりたい仕事が続けられなくなってしまいかねません。

裁判官は、↑に書いたような、結論に至るプロセスを考えるのがめちゃくちゃ好きなんですが、そこができなくなるのは非常にツラいんです。

よくわからないかもしれませんが、現実に起きた紛争について、どういう結論を導くのか脳に汗をかきながら考えるのは、裁判官にとってドーパミンがドバドバ出て快感なんです。

それをもっともっと続けたいのに、自分が下手だと、続けられません。

それがコワイので、裁判官は、自分の判断が間違っていないかどうか、気にします。

もちろん、こういった自分勝手な動機だけでなく、「きちんとした結論にたどり着きたい」「人の役に立ちたい」という正義感もあります笑。

今日はこの辺にしますが、裁判官にとって、きちんとした判断を出すことは、大好きな仕事を続けるために必要なことだから、児相の主張を鵜呑みにするなんてことはあり得ない、ということを今日は強調しておきたいです。

それではまた明日!・・・↓

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