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#467 ほんの少し難しい話:不当利得-2

【 自己紹介 】

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【 今日のトピック:不当利得 】

今日も不当利得の話をします。昨日は,不当利得について簡単に説明しました。

誰かの損失によって誰かが利得を得た場合,その利得は損失を受けた人に返さなきゃいけないよね,という単純な発想が「不当利得」なのでした。

ただ,損失によって利得を得たことに法的根拠がある場合は,利得を返さなくてもいい,ということも説明しました。

あくまで,利得が「不当」な場合,つまり,利得に「法的根拠がない」場合に限って,返せと請求できるわけです。

そして,この「不当利得」には,大きな大きな難問がある,ということで昨日は終わりました。

その「難問」とは,「法的根拠がない」ことを,「返せ」と請求する側が立証しなきゃいけないのか,それとも,請求を受ける側が「法的根拠はある」と立証して請求を防御しなきゃいけないのか,という大問題です。

おそらく,多くの学者先生方や弁護士先生方が,この問題は研究されていると思います。僕は,そういった名だたる先生方とはほど遠い,庶民弁護士なので,全く偉そうなことは言えませんし,説得力もありません。

ただ,自分なりに考えてみて,結論を今日は出してみたいと思います。

結論から言えば,請求を受ける側が,「法的根拠がある」と立証しなければならない,ということになります。

さてさて,この結論を前提に,話を続けましょう。

↑の結論を出す場合,何よりも大きな壁として立ちはだかるのは,昭和59年12月21日の最高裁判決です。この判決は,明確に,請求する側が,「法的根拠がない」を立証しなければならない,と述べています。

この判決を見ると,↑の結論を,最高裁は真っ向から否定しているように思えます。

ただ,昨日もリンクを貼り付けておきましたが,↓の本では,「侵害利得」の場合,請求を受けている側が「法的根拠がある」と立証しなければならない,と書かれていました。

昨日も説明しましたが,「侵害利得」という用語について,もう一度説明します。

不当利得は,「侵害利得」と「給付利得」に区別され,「侵害利得」とは,例えば,僕のパソコンが盗まれると,僕は損失を受け,犯人は利得を得ますが,このようなケースを「侵害利得」と呼びます。

損失を受けた人と,利得を得た人との間に契約関係がないケースが「侵害利得」です。

これに対し,「給付利得」とは,昨日も例に出しましたが,ゴッホのひまわりを50億円で売却するという売買契約を結び,この契約に基づいてお金も払われ,ゴッホのひまわりが買主の手元に届いたものの,その後,ニセモノであることが発覚し,売買契約が無効となった場合に,払ったお金を返金して,受け取ったニセモノを返す,というのが「給付利得」のパターンです。

契約が無効となっているので,払われた50億円も,受け取ったニセモノも手元に置いておく理由がなくなるわけですが,当初は,契約に基づき,お金を払う必要もあったし,ニセモノとはいえ,ゴッホのひまわりを相手に渡す必要がありました。

相手に利得が生じている原因が,当初は,契約に基づいて正当であった場合を「給付利得」と呼ぶんです。

(ただ,「給付利得」にも「侵害利得」にも含まれない不当利得のケースもあります。これは,関係者が3人以上現れてかなり複雑なのですが,公平の観点から,利得を得た人が,損失を受けた人に利得を返す「べき」場面があって,それが,「転用物訴権」や「騙取金弁済」のケースです。これは,契約関係のあるなしで片付けられるものではありません。あまりにも難しいですし,僕自身も正確に理解できていないので,割愛します。)

で,民法改正によって,「給付利得」のケースは,不当利得の条文とは別の条文が出来たので,現在,不当利得として処理するのは,「侵害利得」のケース(それと,「転用物訴権」・「騙取金弁済」など公平の観点が必要となるケース)に限られます。

じゃあ,この「侵害利得」のケースで,↑の本では,請求を受けている側が,「法的根拠があった」と立証しなければならず,請求する側は,①損失があったこと,②その損失によって相手が利得を得ていること,のみを立証すればいいと書かれていたんですが,この本と,昭和59年の最高裁判決をどのように考えればいいのでしょうか。

僕の希望としては,↑の最高裁判決が,「侵害利得」のケースではないことを期待していました。

↑の本と,最高裁判決は矛盾しないからです。

昭和59年最高裁判決は,侵害利得ではないケースにおいて,請求する側が「法的根拠がない」を立証しなければならないと述べているから,侵害利得のケースでは,請求を受けている側が「法的根拠がある」と立証しなければならない,と考える余地もある。

こういう結末を僕は望んでいたんですが,どうも,思う通りにはいかないようです。

そもそも,昭和59年最高裁判決の事案は,お金を「奪われた」という理由で,奪われたお金を返せ!と請求していました。

ここだけ見ると,めちゃくちゃに「侵害利得」です。自分のお金が奪われたから,そのお金を返せなんて,先ほど書いたような,典型的な「侵害利得」のケースです。

そういった「侵害利得」のケースで,請求する側が「法的根拠がない」を立証しなければならない,と最高裁判決が述べているわけですから,↑の本の立場は,かなり絶望的です。

僕らの業界で,最高裁判決と違う意見を述べることは「ご法度」です。

最高裁こそ正義なのが僕らの業界なので,最高裁に反した途端,その意見は箸にも棒にも掛からない,と切り捨てられてしまいます。

でも,もう少しよくよく事案を見ていきましょう。

確かに,不当利得を請求する側は,「お金を奪われた」と説明しているんですが,話はそう単純じゃありません。

そもそも,この「奪われたお金」は,預金証書なんです。

今は,「預金証書」なんてほとんどありませんが(なくはないです。僕もいちど見たことあります。),「預金証書」とは,銀行が発行する紙なのですが,この証書を届出印と一緒に銀行に持って行くと,預金証書に記載された金額+預金利息を払い戻してくれます。

で,この「預金証書」を,相手に「奪われた」から,「不当利得だ!」と主張し,奪われた預金証書に記載された金額の返還を求めていました。預金証書は既に払い戻されていたので,預金証書自体を取り戻すことはできなくなっていたので,払戻金と同額を返金するよう請求していたのです。

ただ,相手にも言い分があって,まず,そもそも,「奪っていない」と相手は主張します。

お金を返せと請求している側は1人の女性で,請求を受けている人は男性なのですが,この男性は,午後10時頃に,手下2人を女性宅に行かせ,その女性を親分である男性の元へ連れて帰り,預金証書を渡すよう話をつけ,午後11時半頃に,手下をつけて女性宅まで送り届け,その際に,預金証書を受け取って,手下たちが帰ってきます。

なんか,請求を受けている男性は,かなりヤクザっぽい立ち振る舞いで,女性側は恐れおののいてやむなく預金証書を渡したようにも思えます。

ただ,裁判所の認定では,↑の男性側の主張が認められました。つまり,男性は,女性から預金証書を「奪っていない」のです。

あくまで,女性が「自発的に」預金証書を渡したんだと認定されています。

とはいえ,この預金証書は,この女性の名義です。だとすれば,この預金証書を,男性に渡す理由はないですよね?

にもかかわらず,この預金証書を「自発的に」女性が渡したのは,どうしてなのか。

この疑問は,この預金証書が「誰のモノなのか?」という話につながります。

もっというと,預金証書を作成するには,その原資となるお金が必要ですが,その原資金は「誰のお金だったのか?」が,この裁判で一番の争点となりました。

つまり,女性側も,男性側も,預金証書の原資となったお金は,「自分のものだ!」と主張したのです。

預金証書は女性の名義で作成されているんですから,そんなことがあり得るのか,という話なんですが,説明しますね。

この預金証書の原資金は,確かに,女性名義の預金口座の預金から工面されました。その意味で,「女性のお金」であることは間違いがないのですが,しかし,この「お金」,実は,この女性の内縁の夫の死亡保険金だったのです。

詳しいことは判決にも書かれていませんが,この女性は,前夫と離婚できていないからなのか,ある男性と,正式に入籍はしていないものの,夫婦同然に同居生活を送っていました。だから,「内縁の夫」なのですが,この夫は,生命保険に加入していて,その死亡保険金の受取人を,↑の女性と指定していました。

この夫は,不慮の事故で亡くなってしまい,その結果,死亡保険金が,受取人として指定されていた女性の預金口座に入金されました。

入金されたお金は合計2000万円です。その2000万円のうち,700万円は使ってしまったのですが,残りの1300万円は定期預金として貯蓄することにしました。

その定期預金を組んだ際に作成された預金証書こそ,今日何度も書いた「預金証書」です。

ここまでの事情だと,預金証書の原資金が,女性のお金であることは間違いなさそうです。自分が夫婦同然に暮らしてきた男性が,生命保険に加入していて,その死亡保険金の受取人を女性と指定していて,夫が亡くなって,死亡保険金の受け取った。

死亡保険金が,受取人の「お金」になるのは,そりゃそうでしょう。自分が死んだときのために加入するのが生命保険です。自分が死んだ後,受取人がきちんと死亡保険金を受け取り,そのお金を,受取人自身のお金として,生活費とかに使ってくれなきゃ困ります(笑)。

死亡保険金を受取人が受け取った後,受取人自身のお金になるのは,間違いありません。

でも,女性が預金証書を渡した男性(=手下たちを女性宅に行かせた男性)は,そう思っていませんでした。

死亡保険金は,女性のお金ではなく,「自分のモノだ!」と考え,裁判でもそのように主張しました。

そして,最終的に,この男性の主張が認められました。つまり,死亡保険金は,女性が受け取っていて,保険会社も,女性を受取人として登録していたにもかかわらず,受取人は,↑の男性だと認定されたのです。

というのも,内縁の夫が,生前,死亡保険金の受取人を,内縁の妻から↑の男性に変更するとの念書を,↑の男性に差し入れていたのです。

この念書によって,受取人は女性から↑の男性に変更されました。保険会社には連絡していませんでしたが,だからといって,変更が無効になるわけでもありません。

保険会社としては,自社で登録している受取人に死亡保険金を払えばそれでいいので,↑の男性に死亡保険金を払っていないことが何か悪いわけではありません。

しかし,受取人が女性から↑の男性に変更されているのであれば,女性は,死亡保険金を受け取ることはできません。本来の受取人に死亡保険金を返さなきゃいけません。

このような理由で,女性は敗訴しました。男性に渡した預金証書は,男性が解約して現金化しており,元には戻りません。

女性が訴訟を提起したのは昭和55年でした。この裁判では連戦連勝でだったのですが,最後の最後の最高裁判決(昭和62年)で負けました。

まあでも,いくら女性名義の預金証書とはいえ,その原資金が男性のお金であり,かつ,女性も自発的に預金証書を男性に渡したのであれば,男性が預金証書を解約して現金化したとしても,それが「不当利得」にはならないでしょう。

だから,最高裁判決の結論は僕も納得です。

ただ,↑の最高裁判決は,差戻後の2度目なのですが,1度目の最高裁判決(昭和59年)は,先ほど説明したとおり,納得ができません。

「法的根拠(法律上の原因)がないこと」を,請求する側が立証しなきゃいけない,と述べたやつです。

なんというか,この事件って,「損失」と「利得」が争点だったのです。

女性は,「自分のお金」が,相手の男性に渡ったと主張していたのですが,そもそも,「自分のお金」なのかどうかが,最大の争点でした。

もし,「自分のお金」じゃなければ,女性に「損失」は発生しません。だって,自分のお金じゃないからです。

自分以外のお金が誰か他人に渡っても,それは「損失」ではありませんよね?

で,これは「利得」にも関わります。相手の男性は,預金証書が「自分のお金」だと主張していました。もしその通りなら,「利得」にもなりませんよね?

だって,自分のお金が自分の手元に戻ってきても,それは「利得」ではないからです。

だから,これって,典型的な「侵害利得」の場面とは違うんです。

典型的な「侵害利得」の場面って,「損失」と「利得」に争いはないんです。

だって,自分の財産が自分の手元から誰かの手元に移動したら,そりゃ,自分の財産にマイナスが発生して,誰かにプラスが発生していることは明らかだからです。

移動した財産が,「自分の財産」であることに争いがないのが,「侵害利得」なのです。

というか,「自分の財産」だからこそ,「侵害」なのです。自分の財産じゃなければ,「侵害」とはなりませんよね?

ここが,めちゃくちゃにミソだと思います。

要は,この事案,確かに,「侵害利得」っぽいケースではあるんですが,問題となった預金証書が,請求する側のお金かどうか争いがあったのです。

ここが,「侵害利得」とは違う。

結局,この事案は,女性→男性へ移動した預金証書が,女性のお金なのか,男性のお金なのか争われ,男性が,女性のお金であることを否定したのです。

この場合,女性は,自分のお金であることから立証しなければならないことは,↑の本の見解からもそうです。

女性は,「侵害利得」であること,つまり,「自分の財産が損失を受け,その損失によって,相手が利得を得たこと」は立証しなきゃいけないんです。

ただ,↑の最高裁の事案では,「自分の財産」という女性の主張を,相手の男性が認めずに争ったのです。

そういった事案において,最高裁は,「法的根拠がない利得だ」と,女性が立証しなければならないよ,と述べたのです。

これって,ちょっと最高裁は筆が滑ってると思います。

まあ,昭和59年の最高裁ですから,ちょっと理解が追いついていないような気がします。

この事案は,「法的根拠がない利得だ」という話じゃなくて,そもそもの「損失」と「利得」に争いがあったんです。

だから,「法的根拠がない利得を立証してね」という部分も,自分の財産に損失が発生して,それによって相手が利得を得たことは,立証してよね,という意味だと思います。

「自分の財産」を立証しなきゃいけない,という意味で,「法的根拠がない利得」を立証しなきゃいけない,と最高裁は言ったんだと思います。

この事案では,「自分の財産」という女性の主張が認められるかどうかが勝敗を分けるポイントで,「自分の財産」かどうかが,「法的根拠」に直結していたのです。

女性の財産であれば,「損失」も「利得」も「法的根拠がない」も認められる。

逆に,男性の財産であれば,「損失」も「利得」も「法的根拠がない」も否定される。

そういう事案で,最高裁は,「自分の財産」であることを女性が立証してください,という意味で,「法的根拠がないことを女性が立証してください」と述べたんです。

こう考えると,この昭和59年最高裁判決を一般化することはできないでしょう。

この最高裁判決の事案は,「法的根拠(「法律上の原因」)」が,損失・利得にも直結する事案だったのです。

損失・利得の立証が必要なのは,↑の本でも認めているので,↑の本の立場からも,「法的根拠(法律上の原因)」が損失・利得に直結しているのであれば,「法的根拠がないこと」を立証しなきゃいけなくなるでしょう。

↑の本の立場でも,最高裁判決の事案で「損失」・「利得」を立証する際は,「自分の財産」であることを立証することになります。

その結果,「法的根拠(法律上の原因)がないこと」を立証することにもなりますが,それは別に,「法的根拠(法律上の原因)がないこと」の立証が,一般的に必要になるという意味ではないんです。

不当利得を請求した場合,相手が,「その財産はお前のモノじゃないから,損失はない」と反論したら,その財産が自分のモノであることを立証しなきゃいけません。

なおかつ,相手が,「その財産はオレのモノだから,オレに利得はない」と反論したら,その財産が相手の財産ではないことを立証しなきゃいけません。

これが合わさった場合,つまり,「その財産はオレのモノだから,お前に損失はないし,オレに利得もない」と反論されたら,その財産が自分のモノであることを立証して,自分に損失があること・相手に利得があることを立証しなきゃいけないんです。

これは,間違いない。

ただ,そうすると,最終的に,「法的根拠(法律上の原因)がないこと」まで立証しちゃう。

そういうケースであれば,「法的根拠(法律上の原因)がないこと」まで立証してくださいね,という話になります。

しかし,そうじゃないケース,つまり,「損失」と「利得」に争いがない場合は,こうはなりません。

例えば,昨日も書きましたが,亡くなった後,その亡くなった人(「被相続人」と呼びます)の預金口座から多額の引出金があり,引き出した人にその返還を求める場合,そのお金が亡くなった人のモノだということは争いがありません(普通は)。

だから,返還を請求する側は,被相続人の預金口座からお金が減ったこと(=損失)と,そのお金が相手の手元に移動したこと(=利得)だけを立証すればいいんです。

これに対して,相手は,「生活費に使った」とか「贈与された」とか,そういった反論をしていきます。そして,「生活費に使った」とか「贈与された」という立証ができなかった場合は,相手が負けちゃいます。

これが,典型的な「侵害利得」のケースです。

最高裁判決の事案は,そうじゃなくって,↑の引出金のケースに当てはめれば,預金がそもそも被相続人のモノじゃない,と反論してきたんです。

その預金は,被相続人の名義ではあるけれど,中のお金は私のモノなんだから,それを引き出して使って何が悪いんだよ,という反論が出てきたのが,↑最高裁の事案です。

こういう反論が出てくれば,中のお金が被相続人のモノだということから立証しなきゃいけなくなります。

でも,普通であれば,預金口座の名義が被相続人名義なら,中のお金も被相続人のモノでしょう。

これは,最高裁判決の事案でもそうだったはずです。保険会社に登録されている受取人の名義が女性であれば,普通は,その女性が受取人です。

でも,相手は,その反論に成功したんです。「反証」と呼ばれますが,相手は,死んだ内縁の夫が差し入れた念書や,生命保険を組んだ経緯を丁寧に説明し(死亡保険金を借金の返済に充てる目的があったなど),保険会社に内縁の妻が受取人として登録されているにもかかわらず,相手の男性が受取人であるとの反論に成功しているのです。

その結果,内縁の妻は,自分のお金だという立証に失敗し,裁判所は女性のお金だとは認めてくれませんでした。

だから,最高裁判決の事案は,本当にレアケースだと思います。

請求を受けた男性の依頼した弁護士が,本当によく頑張ったのです。

本当によく頑張って,反証に成功し,その結果,女性(内縁の妻)は,死亡保険金が自分のお金であると裁判所に認めてもらえなかった。

こういっためちゃくちゃレアなケースをもとに,一般化することはできないでしょう。

やっぱり,一般的には,「損失」と「利得」に争いはないんです。

その場合は,「損失」と「利得」だけ立証すればいい。つまり,自分のお金が相手に移動した,それだけでいいんです。

そして,相手が,そのお金の移動に法的根拠があった,と反論して,法的根拠の立証に失敗したら,負けちゃうんです。

ただ,「損失」と「利得」から争うケースであれば,請求するほうも,自分のお金であることから立証しなきゃいけません。

普通は,この立証は簡単です。預金口座の名義などで,誰の財産なのかは一目瞭然だからです。

この立証に失敗してしまったのが,最高裁判決の事案なのです。

【 まとめ 】

最高裁判決の事案は,「損失」と「利得」の立証が「法的根拠(法律上の原因)がないこと」まで立証しちゃうケースであったため,「法的根拠(法律上の原因)がないこと」まで立証してくれ,と最高裁が口を滑らせてしまったのです。

そして,普通は立証が簡単であるはずの「損失」と「利得」の立証にも失敗してしまっているんです。

この事案は,決して一般化できませんし,「損失」と「利得」に争いのない,典型的な「侵害利得」のケースでは,やはり,「法的根拠(法律上の原因)がないこと」まで立証する必要はなく,請求を受けている側で,「法的根拠(法律上の原因)」を立証しなきゃいけないでしょう。

それではまた明日!・・・↓

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