6月1日
会社の旅行で2日間金沢に行ってきた。
能登半島地震の復興支援を兼ねた行き先決定だった。
半年前に決定し、会社主催の旅行なんて本当にあるのかと思って夢のようだったけど、その日は無事に来たのだった。
初めての金沢。初めての日本海は、天気が悪くうっすら遠くに見えただけだった。
朝7:45に会社を出発。バスが発車するとともに缶ビールが開く音が車中の方々でする。なんならバスの乗車とともにビールかハイボール、お茶を選べるシステム。
新幹線の中でも酒盛りは続く。
私は酒を飲み始めると止まらず、記憶を無くし、徘徊癖まである酒乱なので、この記憶を大切にとっておくために昼まで(それでも昼)は我慢することにしていた。普段の私の飲み方を知っている人たちから体調が悪いのかと心配される。
みんなが笑っていて、その光景を遠くから眺めているのが本当に好きだ。ぞろぞろと歩く姿を、最後尾から見ているのが好きだ。
夜、気の合う先輩と連れ立って入った3軒目の寿司屋に、飲むと楽しい夫婦が先客でいて盛り上がる。
その後、眠りたくない帰りたくないで先輩を道連れに川辺を散歩しながらビールを飲み、3時ごろまで飲み明かす。いろんな人から、嬉しい言葉をもらった夜だった。この会社は共通の明るい話をする人が多くて良い。
眠っているのが勿体無いと5時に起き出し川辺を散歩し、朝風呂を浴びる。同室の人からは人間なのかと疑われた。酒乱の人間だ。
朝からビールを飲んでやろうかと思ったが、さすがにパフォーマーのようになってしまうなと思い控えたら、8時半の集合時間、すでに上司は飲んでいた。
昨夜深夜に寿司を食べたのに、朝てきめんに腹が減っているという不思議を抱えながらばっちり朝食を食べる。
自由行動の時間は、金沢21世紀美術館へ。
その日は百万石まつりという市内の道路を封鎖しての大きな祭りがあり、次第に道が封鎖され、徐々に街中に人が増えていく。
見知らぬ土地で祭りに出くわすというのは非日常のなかの非日常でたいへんに良い。
金沢21世紀美術館は、もともと旅程に入っていたのだけれど、先の地震の影響で一部が工事中ということで行き先が変更になってしまった。
だとしても一瞥しておかねばと、解散場所の近江町市場をそれこそ一瞥して向かう。
感想としては行って良かった!!の一言で、美術館の匂いと白さ、屋外展示の充実具合、調度品の美しさ、一番有名なレアンドロ・エルリッヒの「スイミング・プール」は工事中だったものの、無料開放されていて上から覗くことはできた。
ライアン・ガンダー「あなたをどこかに連れて行ってくれる機械」を試して、アルゼンチンの街へ導かれた。
帰りの時間が近づくと、帰りたくないというより離れたくないという気持ちが押し寄せて新幹線のホームで地団駄を踏む。
幼い子を育てている同僚に宥めるように新幹線に乗るよう諭される。
新幹線ではビールを飲んで後夜祭をしていたものの、帰りのバスではずっと眠っていた。まだ首が痛い。
最寄り駅まで着くと、さすがに疲労困憊で、荷物も重く、楽しい夫妻との夕食を誘いを辞退してまっすぐ帰宅。
好きな人が作ってくれたプレイリストを聴きながら川沿いを歩き、意図的にセンチメンタルに拍車をかける。
旅行も飲み会も、祭りのあとがこんなに寂しいのも、人と人が集まったり一緒にいるのも、さては世界は寂しがりやで成り立っているのではないか?という真理に辿り着いてしまった。