男性の育休取得率向上


イクメンなる言葉がトレンドワードになったこともあったが、なぜ【父親】という立場になり、育児に参加しているだけでそんなワードができたのか。
日本のこれまでの生活感というか男性と女性はどこまでいっても平等じゃないということを印象付ける言葉だと思う。
やはり【男は仕事、女は家庭】という観念がなくなりきらない日本という国柄がこういう言葉を産んだと言って間違いないだろう。
男女雇用機会均等法が出来ても、男女育児機会均等法は作って貰えない。それだけの需要がないのか、男は育児はしなくてもいい(≒仕事を優先せよ!)という思考の人がまだまだ多いのか。

そんな中で政府は2025年までに男性の育休取得率30%を目指すとしている。
今年4月から段階的に法改正を行い
妊娠出産を申し出た労働者への個別の周知・意向確認の義務化や産後パパ育休という新たな制度ができたとはいえ、やはり大きな効果は見込めないのでは無いかと思う。

しっかりとした法整備がされたところで対象者がそれを知らなければ意味をなさないし、事業主も取得して欲しくないという思いがあれば、控えめな周知の仕方に終始するだろう。
(取得を控えるような形での周知はダメとは書いてあるが)

男性の場合、わざわざ会社に自分から「妻が妊娠しました」と報告する人はそんなに多くは無いように思う。
言うことによってメリットがあるのかどうかよく分からない。
(同僚に話しておけば休みが取れるよう配慮してもらえるとかメリットはあるのかもしれない)
実際に私も妻が安定期に入った頃に上長に話をしたが、育休取得というターゲットがあったからに他ならない。
これがなければ恐らく社会保険扶養に加入させる届出で報告することになっていたであろう。

妊娠出産を申し出た労働者に意向確認を義務化したところで、申出者側にそもそも申し出るきっかけがなく、それに伴う効果が判然としていない状況で誰がわざわざ言うんだろう?というのが私の考えだ。

法律(制度)は作ったから後はよろしく。事業主さんはちゃんとルールは守ってね。みたいなスタンスに見えるところがどうも腑に落ちない。
この制度を知らない事業主も労働者もただただ損をするだけだ。

例えば、母子手帳を渡される際に、ここのページを切り取って会社に提出すると【妊娠/出産の話や育休の話がしやすくなるよ。】みたいなもう一歩踏み込んだ制度(仕組み)を用意して欲しい。わざわざ報告するのよりよっぽどか報告しやすいし、その書面をもとに意向確認する方が事業主側だってやりやすいはずだ。

事業主側もまだまだ理解不足だと思う。
なぜなら男性の育休取得をまだ目の当たりにしていない事業主も多いからだ。
そして事業主としてある程度責任ある立場の人達はいわゆる昭和のまっただ中を生きていた人たちで【自分たちは育休取らずに子育て出来たのになぜ今の若者は育休なんて……】みたいな思考すら感じられる。

そうであれば法律で【〇日育休取得義務化】のようにした方がよっぽど説得力も納得感ある。有給取得5日義務化したのと同じようにできるはずではないか。実際にまだ少数派ではあるが、社内規程で育休取得義務化している企業もある。このような積極的な姿勢を国はもっともっと評価するべきだと考える。
いずれにしても現状の法律は中途半端感が否めない。

取得率30%への道のり。まだまだ先は長いように思う。



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