校長先生

中学2年生の時、元々いた校長先生が離任し、新しく校長先生が来た。

何でも熱心な先生であった。

特に芝刈りに熱心だった。

1時間目、渡り廊下を歩くと中庭で校長先生が芝を刈っていた。

3時間目、音楽室のある3階から中庭を見下ろすと、校長先生が芝を刈っていた。

放課後、部活の準備に勤しんでいると、まだ中庭で校長先生が芝を刈っていた。

だから、校長先生といっても、私の中ではただの芝刈りおじさんだった。

5月か6月ごろ。

校長先生の提案で、私たちの学年だけ遠方へ宿泊学習に行くこととなった。

自転車で。

私は行きたくなかった。

そんなに長く自転車を漕ぎたくなかった。

私の友人のイワセは、その時骨折していたため、

先生の車に乗って向かうことになった。

少しだけ。ほんの少しだけ羨ましかった。

150人もの大群が、一列になって自転車を漕いでいる。

迷惑ったりゃありゃしない。

その説は、本当に申し訳ありませんでした。

私は、校長先生を止められなかった。

施設に着いた。

広場で遊んだり、部屋に荷物を置いてきたりして、夕飯の時間になった。

やはり、カレーであった。

班ごとに、カレーをつくる。

私の班は、ケイゴと、ミユと、カズヤと、リョウの5人。

カズヤやミユが手際がよかった。

料理下手なケイゴと私は、黙々と皿を洗っていた。

料理上手なメンバーのおかげで、なんとか完成に近づいてきた。

カレーはある程度出来上がったので、あとはご飯が炊けるのを待つだけ。

校長先生の声がした。

「ちょっと！！これじゃ水が多いよ！！」

校長先生が、1班1班のカレーやご飯に、ケチをつけている。

だが、うちの班は大丈夫。

ご飯はまだ炊けていないが、カレーは完璧だ。

とうとう校長先生が来た。

カレーの蓋を開けて、
「おう！うまそうだな！！！！🤩」

まあね。(皿洗いしかしてない)

「ちょっと食べちゃおうかな！！ご飯もあるでしょ？」

え！？

『校長先生あの「どれどれご飯はどうかな？」

「ってまだ全然だめじゃねえか！！！！！」

「何じゃこりゃ！！」

なぜかプリプリしてどこかへ行ってしまった。

カレーは美味しくいただきました♡

おまけ

10月ごろ、ふと放課後音楽室から中庭を除いたら、中庭がはげていた。