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【傲慢と善良】人生で何かを選択する時の中で一番大変なものが結婚相手

辻村深月のベストセラー。
自分が結婚できていることが奇跡なのかなと思った……。もし未婚なら面倒くさすぎて「結婚しなくてもいいや」ぐらいに思ったかもしれないけど、婚活中の人たちには必読書です。


①真実(まみ)35才
群馬生まれ育ちの箱入り娘。外見まあ普通。誠実、控えめ、良い子を貫いてきたが自分の生き方に意思がなく、あらゆる面で無知さが際立つ女性

②架(かける)39才
東京生まれ育ち。外見が良く都会的でそこそこモテてきた男性。派手で綺麗な女性友達もいて遊び方もスマートだが、年齢的に結婚に焦っている
輸入ビール会社社長

この二人、結婚式目前で真実の方が行方をくらます。
「ストーカーに追われている」と漏らしていたため、架は探し回る。


正直言うと、私は真実みたいな女性がかなり苦手だと思う。売りが「いい子」なだけの35才ってどうなんだろうか。既にいい子以外の何かを身につけていなければならない年齢だと思う。

★前半は架パート
真実の過去をたどるような展開。
真実の育った閉塞的な田舎の生活や、保守的な家族の価値観。
そこから逃げ出したいけれど逃げ出すほどの勇気も知力もない。
これは苦しいだろうと想像できた。

けれど真実にはなかなか共感できなかったかも?
田舎から出ようと思えば出られるのに、それでも出ないのは「自分が本当に必要な人生とは何か」考えてこなかったからだと思う。
私自身が真実の姉のように自分の意思で東京に出てきているからか、とてもじれったい女性だなと感じたし、自分の友達にもいないタイプだ。


一方、架のようなこなれた都会のモテる男性が真実を選ぶというのも、ちょっと想像しがたいなと思った。
もしかしたら、自分の友達周りにいない「誠実さ」「善良さ」「芋っぽさ」みたいなものが新鮮に映ったからかもしれない。真実に70点程度の手堅さがあったからとか、これじゃない感の出会いが続いてて、なぜか39才になってしまっていたからかも。


総じて架目線の前半パートは、モテる男性って本当にそんな感じになるかな?という疑問も湧いた。
なんとなく婚活についての説明の語り手の役割になっちゃってるような……。


★後半は真実パート
少しずつ真実の気持ちが明かされていく。その過程で、彼女は自分に潜む「傲慢さ」「卑屈さ」「幼さ」に気づき、新たな道を探ろうとする。私自身も読んでいて「わかる」と思うところもあるっちゃあったかな。


自分の意思で何も選ぼうとしてこなかった人生では、いざ何かを選ぼうとした時に、自分自身を大きく見積って判断を誤る。
結婚できる人たちは自分を正しく見積り、人生のプランを考えて、ほしいものを明確にし、それに合った相手を積極的に狙っていけるタイプのようだ。

ラストの終わり方は全然良くないと思った。やっぱり別の場所で会った人と「全然好みじゃなかったけど、これなんだ!ってわかって結ばれる」みたいなのが面白かったんじゃないかなと思うのだけれどどうでしょう?


ここから下、超個人的な感想です!

※ちなみに、私は真実が一人目のお見合いで会った男性はわりとタイプです。服なんか着せ替えたらどうにでもなるし。性格が気持ちいい、男性らしい人なら幸せになれそう。真実はここでも傲慢だったね。


※架は女子友達も多いのだし、ルックスも良くて一応社長なんだし、しっかり女友達に頼って探したら真実よりいい女が絶対にいそうです。

※あとね、自分が70点つけられてるってわかった時の真実が激怒するシーンね。本当に傲慢。私が真実なら架にとって70点だとしても、それでも結婚してくれようとしてるんだなって感謝する。だってどう考えても架の方がスペック上だし。相手にとって自分は100点じゃないんだ!って怒るところが自分への見積りが甘いです。
むしろ自分よりランク上の相手と結婚できることに感謝しないと!

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