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永遠のいのちと罪

 おいでよ、一人ではさびしすぎる・・・


 最近Xで、「ちいかわがポーの一族すぎる」というポストを見かけまして。どゆこと?!?!と思って調べてみたところ・・・



なんと業の深い・・・!



 ちいかわを普段から見ている人はもちろん、私のように全然知らない人も、思わず心がざわめいてしまいますよ。


 ある二人組(ストーリー追ってないので、性別とか、なんの動物とか、二人の関係性は分かりませんが)の片割れが、瀕死の状態になってしまった。それを助けようと、もう片方の子が、食べると不死身になるといわれている人魚の肉を食べさせる。片割れは復活したが、これは人魚の肉で、自身が不死身になったことを知る。そしていつか訪れる永遠の孤独を回避するため、相手にも人魚の肉を食べさせるという・・・。

 ううっ、なんと罪深く美しいのだ・・・!そしてこのお話のおかげで、煮付けBLというジャンルがあることを知りました。倫理観を超えた愛。ちゃんとジャンルとして確立してるのがすごいな。


 深く結びついた二人。そしていつか訪れる別れ。離れ離れになるとしても、あなたは生きたいですか。逆に、相手を残して死ねますか?それとも・・・。



 まさに、ポーの一族ワールドだな・・・。

 萩尾先生が作り出す、美しくて切ない物語。永遠を生きるバンパネラからしたら、人間なんてほんの一瞬の命。でも私には、バンパネラのほうがずっと、はかなく見える。人間は、自分が生きた証を残すことができるけど、エドガーたちはそれができない。もし消滅してしまったら、この世に自分がいたことを証明するすべがないのだ。

 その中でもわずかに、エドガーたちを知る人間がいる。彼らは、バンパネラの不思議な魅力に心惑わされ、その影を求めずにはいられなくなるのだ・・・。


 エドガーとアランは子供なので、周りに成長しないことを悟られないよう、定期的に場所を変えて生活している。その先々で出会った人々とバンパネラをめぐるストーリーが、短編仕立てになって、長い物語を構成している。どのお話もすごく素敵。私は「はるかな国の花や小鳥」がお気に入りなのだが、今回のちいかわ騒動(?)を見て思い出したのは、「エディス」だ。


 私が持っている小学館文庫バージョンだと、一番最後に入っている短編。いろんな掲示板サイトを見ていると、あんまり好きじゃないな・・・という意見をちらほら見かける。まあ、気持ちは分からんでもないけど・・・。

 私個人の意見ですけど、この話は人間とバンパネラの交流がメインというより、エドガーとアランの歪んだ関係をあらわにすることが目的だったんじゃないかなあ、と思っております。エドガーは、消滅したメリーベルの代わりに、アランを仲間に加える。アランは、エドガーが自分を通してメリーベルを見ていることに気づいていて、エドガーに似ているエディスの愛を求めてしまう。しかしエドガーは、メリーベルやアランをこちら側に引き入れてしまった罪を感じていて、アランにはそうなってほしくないという彼なりの愛がある。でもそれがアランを傷つける・・・。


 しんどすぎる・・・・なんなんだこの関係性は・・・。これが鬱くしい、というやつなのか。


 二人仲良くいちゃいちゃと(笑)過ごせればいいんだけど、そういうわけにはいかない。時が経てばたつほど、愛は重くなって、関係がもつれこむ。14歳の見た目だけど、200年も生きとんのよ?!?!!思考ばっかりが複雑になっていく。長生きはしても100歳までにしとこうかな。


 ほんと、そう思うと、エドガーの立場が切ないんだよなあ。アランを仲間に加える前には、「そしておまえは愛する者を再びその爪にかけようとするのか」ってセリフがありましたし・・・。メリーベルのことで、もうすでに罪の意識を感じていたにもかかわらず、やっぱり孤独には耐えきれなかった。「ふり」をしていただけとはいえ、父と母、そして、唯一の肉親であるメリーベルをなくし、自分だけが、永遠の世界に取り残されてしまった。ココであの名ゼリフ「おいでよ、きみもおいでよ 一人ではさびしすぎる」


 家庭環境に問題を抱えていたアランも、ついふらっとこのセリフに惑わされてしまう。そして、ふたりの長い旅が始まるのだ。


 もし、愛する人と死によって引き裂かれてしまうなら、あなたはどうしますか・・・?二人で破滅するか、永遠に生きるしかないといわれたら。



 リデルが、しばらく窓を開けて寝ていた気持ちがわかります。人はなぜか、はかなくて陰のある存在に惹かれてしまうのでしょうか。


 エドガーの仲間になれるとしても、私はバンパネラとして生きる覚悟はないですね・・・。ってかそもそも、仲間に加えさせてくれないか。だってみんな美しい人たちばかりなんだもの笑


 それでは、この辺で、さようなら。

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