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思い付き書き散らし

まともに街を見たことがない。それこそ東京タワーに登りでもしないと街なんて見れないのだけどそういう事ではない。医者のように街の血流を問診したことがないのだ。人と触れ合うことを極力避けて生きているカタツムリメンタル、人がいるとすぐにヒョイっと引っ込んでしまう。咄嗟に出てくれない言葉たちのせいで僕は値切ることも麺の硬さを普通にすることもできずに損ばかりしている。喋らなくて得、なんてのは可愛らしいガラガラ声の清楚なお嬢さんくらいのもので顔色が悪く、根暗な僕には足枷でしかない。喋らないという事、自分の気持ちを外に出さないということは分かりやすく罪らしい。僕はそんな冤罪を解くこともできずミルクに乗った幕のような、うわべだけの街をのそりと歩く。

チョウチンアンコウのことをあまりにも知らない。光る、そのこととアンコウの仲間だから多分美味しいことくらいか、ただオカピとなるともっと知らない四足歩行の草食なことくらいしか知らない。マックのクルーを指差してあれはマックの店員で人間なんだというカテゴリ分けの部分しか知らないでどこかなんでも知った気になっていることがままある。


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