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全世界の食糧生産のうち輸出に回されているのは、そのうちのわずかばかりである

ソフトエネルギー社会(8)

(2)資源
 
①食糧途絶への跫音
 
 日本はハードエネルギー社会を突き進んできたが為に、エネルギー自給率が低い。

また、もうひとつ生存に欠かせないものとしての食糧の自給率も低い。

いずれも経済で何とかなってきたが、食料途絶への跫音が聞こえてきた。

 地球温暖化が進んだ場合、今世紀末には国内のコメの収量が20世紀末より20%減少するとの推計結果を、農業・食品産業技術総合研究機構(茨城県つくば市)がまとめた。でんぷんが十分に蓄えられずに白く濁る「白未熟粒」の割合も、全国平均で約5%から約40%に増えると推定された。(21/8/1読売新聞朝刊13版2面)

 これは、コメに限った話ではないし、日本に限った話ではないと思う。

コメ以外は何の影響も受けないとは考えられないし、日本以外は気候変動の影響を受けないとも考えられないからだ。

 全世界の食糧生産のうち輸出に回されているのは、そのうちのわずかばかりであることを考えると深刻だ。

 収穫量が減ることで輸入は止まるが、絶対量が減ること以外でも輸入は止まる。

輸出に回される分のうち何割かが減るだけでも争奪戦になり、相場もおかしくなり、経済も混乱しインフレが発生し、いくらマネーを積んでも輸入できないストーリーも容易に描ける。

 ちなみに、生存に必須の農産物ではないが、限定したエリアで発生した冷害で、国際相場に大きな影響を与えた作物がある。

 コーヒー豆の国際指標となっているNY市場の先物価格(アラビカ種)の21年7月30日の終値は、1ポンド(約453g)あたり179・55セントだった。15年1月以来の高値だ。26日には207・8セントをつけた。直近の底値となる20年6月の93セントから約1年で2倍近く値上がりしたことになる。

 冬季にあたるブラジル南東部ミナスジェライス州などが21年7月、寒波による降霜被害に見舞われ、収穫量が減少するとの見方が相場を押し上げた。(21/7/31読売新聞夕刊4版1面)(つづく)

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