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この惨事が気候変動に関係していることを疑うことはできない

ソフトエネルギー社会(11)

②気候変動の影響-1
 

 ドイツ西部を中心に豪雨被害が拡大し、21年7月18日までに少なくとも156人が死亡する惨事となった。被害に遭ったのは河川の氾濫などの発生が少ない地域と指摘され、気候変動が影響したものとの見方が広がる。9月の連邦議会(下院)総選挙でも、気候変動の対策が重要な争点になりそうだという。

 独国内では、今回の豪雨と気候変動を関連づける発表が相次ぐ。ゼーホーファー内相は

「この惨事が気候変動に関係していることを疑うことはできない」

と語った。スベーニャ・シュルツェ独環境相は

「今回の出来事は、気候変動によりどのようなことが起きるかを示している」

と語った。

「地球温暖化により豪雨の頻度は増す」

とメディアで力説する専門家もいる。地球温暖化に歯止めが掛からなければ、洪水などが頻繁に起こるようになり、経済活動に大きな被害を及ぼすとの見方がある。

 ドイツの9月の総選挙は、政界引退を表明しているメルケル首相の後任を決めるものとなる。各種世論調査では、メルケル氏の与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が、2番手の環境政党・緑の党をリードする。だが、今回の豪雨を機に、気候変動対策の必要性を強く訴える緑の党が勢い付き、選挙結果に影響する可能性がある。

 CDU・CSUの次期首相候補で、被災したノルトライン・ウエストファーレン州の州首相であるアルミン・ラシェット氏は、豪雨と気候変動が関連している可能性を指摘し、

「世界的により迅速に、気候変動対策に取り組む必要がある」

と述べた。

 一方、緑の党で環境政策を担当するリサ・バドゥム連邦議会議員は地元メディアに、緊急の気候変動対策を示さなければならないと語った。(21/7/17日本経済新聞夕刊3版3面・21/7/19読売新聞朝刊13版7面)(つづく)

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