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現代生活を支えているさまざまなブラック・ボックスがいっせいにアウトになったら、そのときの都会のおそろしさは、無人島のジャングルよりもすさまじいものになるにちがいない

地球のため、全人類、夜は戒厳令(129)

「現代生活を支えているさまざまなブラック・ボックスがいっせいにアウトになったら、そのときの都会のおそろしさは、無人島のジャングルよりもすさまじいものになるにちがいない」

食料もエネルギーも自給できない日本で、なんとか生きるためにサバイバルのことをつらつらと考えていた。

ふと「冒険手帳 火のおこし方から、イカダの組み方まで」という本のことを思い出し、本棚から引っぱり出した。


2005年8月15日光文社知恵の森文庫発行だが、実は、1972年に主婦と生活社が発行した「冒険手帳」を加筆、修正し、文庫化されたものだ。
子どもの頃、ボーイスカウトをやっていて、当時のボーイスカウトのバイブル的存在にもなり、隊のスカウト仲間全員が持っていたのではないかと記憶する。

内容は今でもなんら朽ちたところはなく、むしろ新鮮で、来る食料危機やエネルギー危機には大いに役立つと確信した。

特に「まえがき」と「プロローグ」は半世紀前から今に向けた「預言の書」であったとも言えよう。

アマゾンでは、プロローグの一部と目次を見ることができる。まだ売っているみたいだから購入をおすすめします。

それにしても琴線に触れるくだりばかりだ。
 
●日本人はエコノミック・アニマルといわれるほどの物質主義になった。
●公害の問題は、このようないき方の当然の結末
●GNP競争などというものは、戦争中の日本が世界最大の戦艦を造っていい気になっていたのと、少しも違っていないのである。
●「人間らしさ」とは何だろうか。ぼくは、あらゆる行動の原点に、自分自身の頭で下した判断をすることだと考えたい。ひとが車を買えば自分も車を買い、ひとがボウリングをはじめれば自分もやるといった、「あなたまかせ」の生き方と正反対のものである。
●現代の文明がピンチにおちいっているのは、一見「頭」の勝利があらゆる利便を提供しているようにみえて、そのじつひとりひとりの人間が自分の頭を使うことをまったくしなくなっているからだ。
●現代はブラック・ボックスの時代である。
●使い方はよくわかっている。しかし、中のシカケはぜんぜんわからない(略)ほとんどの機械が当てはまる。
●いったん故障したら、(略)修理よりも新型と買い換えることばかり熱心にすすめてくれる。
●機械や道具は、ぼくたちにとっては、どう使えばよいかだけをこころえていればよいブラック・ボックスにすぎない。
●衣食住のすべてにわたって(略)。そしてこわれれば、新品と買い換えだ。
●ぼくたち日本人は、こういったいわば利便や能率本位、消費一方の暮らし方をアメリカから学び、いまや本家のアメリカが顔まけするほどそれを実行している。
●私たちがなれきっている現代の暮らしにとっては、停電とか断水とか、交通機関の広汎なストライキとかの方がじつはグアム島のジャングルよりもおそろしい。現代生活を支えているこれらのさまざまなブラック・ボックスがいっせいにアウトになったら、そのときの都会のおそろしさは、無人島のジャングルよりもすさまじいものになるにちがいない。
 
そういえば、食料もエネルギーも、われわれにとってみれば、ブラック・ボックスから恵んでもらっているようなものなのかもしれない。


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