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内部告発

地方公務員 最下級管理職(11)
 
 保健室に行った翌日のことだと思います。外も真っ暗になっていた時間に職員係長とその部下が黒塗りのタクシーで西部センターへ駆けつけました。
 
 総務局法律課あてに、西部センターの非違行為を指摘する内部告発投書があったそうです。
 
 2階の台所の様子、冷蔵庫の中、室内の状態、室外の様子、花壇や菜園の写真を何枚も撮っていました。投書の内容としては、次のような旨だったと思います。
 
「宮川はごみ集積場以外から計画外の収集を個人的付き合いから受けてしまい、その駄賃として野菜などを受領している。宮川は事務所敷地内に畑を作り野菜を育てている。畑は行政財産の目的外使用であり許可を受けていない。宮川は自家用車のタイヤ交換を事務所でやっている。そのタイヤを敷地内に保管している。宮川、山足、福井は正午になる前から岩崎が病気休暇中なのをいいことに料理をやっている。正午までは勤務時間であるし、市民の税金から支払っているガスを使って禁止されている料理行為を行っている。」といったような内容でした。
 
 手紙は郵便番号以外直筆のところはなく全く誰から投書されたものかは断定できませんでした。
 
 当然、場合によっては規則に触れる案件ですから、事実確認等事情聴取、センター内改善等綱紀粛正を職員課から厳命されました。また、職員課、総務局人事課等の人事マターの予告なしの査察的な来所、記者発表、記者発表に伴うテレビ等報道の突然の来所等々も想定されました。
 
 何度も何度も、宮川、山足、福井をセンター長室に呼んで事情聴取を行い、報告書を作成しました。
 
 宮川は、「情けない」と言って泣いていました。
 
 福井は、当時奥様を亡くされ、年末の個人面接の時もメンタル的に弱っているとの訴えがあり、私は福井の事情聴取についてはセンター判断で見送りたい旨、センター長に訴え、センター長の職員課からの指示だからという見解と相違になり怒鳴りあいの討議になりました。
 
 センター内の改善については、厳しいものとなりました。畑をつぶすこと。収穫はまかりならない。センター内全員、ロッカーと自席以外に私物を置くことを禁止する。所有者が分からないものについてはすべて廃棄せよ。本棚不要、マンガ本も含めすべて廃棄せよ。不要な構造物はすべて解体。正午より前にコンロに火をつけることはまかりならない。と、これまで慣習でやっていたこと、置かれていたものを全否定する形となりました。
 
 本来業務である収集に何ら影響のないことまで禁止、規制する形となりました。
 
 法律課や職員課から具体的指示や指針が示されなかったために、センター長基準とならざるを得ず、センター長のほしいままとなり、通勤用バイクが置いてあるスペース上空に張ってあるシートまで撤去せよという始末でした。これに限らず幾度もセンター長と感情的な議論をせざるをえませんでした。(つづく)

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