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4年越しに母の夢が叶うとき

近くに住む実家の母から、東京土産をもらった。

父とふたりで、東京観光に行ってきたそうだ。

袋に入っていたお土産を広げてみると、全てが甘いお菓子だった。

さすが、私の生態をよく分かっている。

その中に、ビクトリアケーキがあった。

渋谷にあるお店『Sunday Bake Shop』のものだ。

このお店に行ってケーキを食べたいと、母はずっと話していた。



私が初めてその話を聞いたのが、コロナが流行り始めた2020年の春。

外出制限などが行われていた頃だ。

気になっていたお店がネットでも販売を始めたと言って、母はそのサイトを見せてくれた。

かなり人気があったようで、いつも販売開始直後に売り切れてしまうそう。

最初は母がひとりで早押しの注文に挑んでいたが、全然買えない。

ついには、家族総出でスマホ片手に臨むも、なかなか買えない。

何度目の挑戦か分からなくなった頃、ようやくケーキの詰め合わせを買えた。

後日、届いた箱の中には、7種類のケーキが入っていた。

幸せがぎゅっと詰まっている

写真右下のビクトリアケーキを、母は特に楽しみにしていた。

ケーキをお皿に乗せてじっくり眺めてから、食べ始めた。

もちろん、私も少し分けてもらった。


相当気に入った様子の母。

その年の誕生日に何が欲しいか聞いたら、

「ホールのビクトリアケーキ食べたい」

と言われてしまった。

簡単にお店には買いに行けない。

行けたとて、そもそもホールを置いてないのでは…?


ということで、お店のレシピ本を見ながら私が作ることに。

レシピより小さい直径の型を使ったせいか、スポンジが山型に焼き上がった。

山を切って、きれいな平らにしようか…

悩んだが、上面の茶色がなくなると、ケーキの特徴もなくなる気がしてやめた。

結局、とんがり頭そのままのビクトリアケーキで母の誕生日を祝った。

嬉しそうにたくさん食べてくれたから、まあよかったのだろうと思う。


そして先日、母はついにそのお店でケーキを食べ、私にお土産を買ってきてくれた。

相変わらず、写真に収めるタイミングを逃す酒本。

カメラアプリの起動より早く、先端から食べ進めていた。

フォークの跡が付いた断面を写すのも…と思い、ケーキを後ろから撮影。

ケーキの後ろ姿

いい感じに撮れたな!と思い、満足して食べ進める。

後から確認したら、スポンジに挟まれたジャムが見えない笑

うん、バタークリームはかろうじて見える。

ちょっと物足りない写真になってしまった。



本当は一緒に行きたかったな、と思う。

私の知る限りでも、母はこのお店とケーキのことを想って、4年ほど経つのだ。

どんな風に喜ぶのか、見たかった。

いや、連れて行って、喜ばせたかったのかもしれない。

まぁ、父と仲良く楽しんだみたいだから、それはそれでいいか。

子どもとしては嬉しいことだ。


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