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入社2日目でテレアポした話

 会社の現況上、人が足りない部署のひとつに「営業」があった。実力のない新入社員の我々は言う間もなく営業をすることになった。部署制度がなく、やりたい事は比較的何でもやらせてもらえた弊ベンチャーの影はもう無い。
 入社式後の初出社は、会社のビジネスモデルなどを学んだあと、上司から驚きのひと言が。
「今後は、テレアポ営業をやってもらいます。」
 陰キャコミュ障の私、仰天。バイト先であんな嫌がられてたセールス電話を...私がやるのか......。ノーと言うわけにはいかない。先輩社員の話を聞きつつ、うんうん悩みながらトークスクリプトを作成。その後は見込み顧客リストにメール送信とテレアポをしていく。
 その1週間は怒涛であった。毎日リストアップとメール送信と電話を繰り返す。反省点を炙り出し、初めてリアルで聞いた「PDCAサイクル」を回す。
 電話は苦手だが、声を震わせ必死に掛ける。相手先の反応はまあ大体NG。「問い合わせフォームはお客さんのためにあるので今後一切こういうこと(営業メール送る)しないでください」「どうせ営業でしょ?」などと冷たい反応は多かった。問い合わせの担当者は大体不在で大体今日は戻らない、か戻ってきても22時(これ多かった)。みんなブラック企業なのかな?
 しかし、社員から話し方のアドバイスも貰い、スクリプトの改善を続けた結果か、ちょくちょく話を聴いてくれるケースも増え、話すことも慣れてきた。数件は良い結果に繋がり、向こうから商談を振ってくれるケースもあった。入社後すぐ業績に貢献出来るなんて新入社員あるまじき贅沢な体験だろう。
 驚いたのは、経験した事のない達成感を味わえたことである。手に汗握りながらダイヤルを回し、待ち時間は固唾を飲み、断られなかった時や好感触な反応があった時は、急にアドレナリンが出る。酒飲まないけど、今飲むビールはめちゃくちゃ美味いに違いない。
 ......社会人とはこういうものなのか。入社後からハードモードだけど、これがあるならオレ、やっていけそうだよ。
 しかし世の中には色んな仕事があるんだなあと思うのであった。


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