『弱いつながり 検索ワードを探す旅』と私の今までの旅
今の私を形作っている「読書」という視点から文章を書いていきます。
今回は、『弱いつながり 検索ワードを探す旅』。これは、私が尊敬する東浩紀さんの本である。東さんの本は今までいくつか読んできたが、この本は非常に読みやすかった。
哲学の本だけども、自己啓発本でもある。そしてテーマが「旅と検索」。この本では、積極的に旅をして観光客になることをすすめている。それはなぜなのか。キーワードは「偶然」である。
この本を読むのは2回目である。何回読んでも味わい深い。
2024年1月に行ったベトナム旅。この旅の中で本書のことを思い出し、改めて文章を味わった。本当に本書に書いてあることを実践してきたのだ。偶然からいろいろなことを感じ学ぶことができた。
自分の職場からではこのようなことは起こり得ない。だからこそ、わたしは「偶然」を大切にしていきたい。そんなわたしの思いを下支えしてくれているのが本書である。
今回は、本書から私が旅で意識してみたい3点をまとめてみた。皆さんの参考になれば幸いである。
1環境を変えること
東さんは、環境を変えることでネットの呪縛から解き放たれ自分を変えることができるという。ネット検索をするときには、自然と検索ワードが決まってしまうともいう。
確かに、自分が検索するワードは環境によるところが多いと感じる。教育関係者であれば、教育関係のことを検索することが多くなるのは自然である。
だからこそ環境を変える旅が新たな自分を見つけるのには良い。できれば、海外への旅がいいそうだが、わたしは国内やいろいろなお店にいって観光客的な態度で話すだけでも自分の世界が広がると考えている。
おそらくそれは、わたしが実体験として感じることがあるからなのだろう。10年前のわたしからは想像できないくらい、大きな変化があったように思う。
仕事や家庭もそうだけど、それ以外の様々な偶然性・出会いが今のわたしを形作っている。なんだろう、その偶然性に身を委ねることが気持ちよくなっている自分がいる。
自分の好奇心の向く方に、偶然に任せながら今を楽しむ。今回のベトナムへの旅もまさにそうである。このつながりを東さんは「弱いつながり」とよんでいる。
家族や仕事仲間との「強いつながり」ではなく偶然の出会いから生まれる「弱いつながり」。今後も大切にしていきたいものである。
2老いと偶然性
わたしも最近「老い」について考えることがある。やはり体力は低下していくので、20代のような働きかたや生き方はできない。体力勝負ではないところで勝負がしたい。
このネット全盛の時代に生き残るためには、体力が必要である。ソーシャルメディアを毎日更新したり、YouTubeを毎日更新したりすることは生存確率を高めてくれる。
だが、そのような働き方は体力がないとできない。そして、それは何か虚しくなる。更新することが目的になり、リアルでの体験が貧しくなってしまうのではないだろうか。
本当にいいものを創り出すのであれば、環境を変える旅はとても有効なのではないか。それも、ずっと止まるのではなく、観光客のように一時的にかつ無責任に。
わたしもそのようなことをここ数年繰り返し、自分の人生や仕事を豊かにすることができたと感じている。老いてますます観光客的な旅をしていきたいと思う。バックパッカーはぼちぼち引退で。
3時間の唯一性
これも非常に共感である。旅をしている時間は非常に豊かでいいものである。確かに、今はGoogleのストリートビューなどを使えば一気に観光地にいくことができる。
そこで情報も得ることができる。だが、そこに流れる時間は得ることができない。これは決定的に重要なことである。わたしも、3年まえにインドに行ったが、途中の香港で台風による遅延が起きた。
時間がもったいないと思うことはなく、むしろインドのことを調べたり、香港のことを調べたりして旅についてのあれこれを考えることができた。これは、情報を得るだけでは得られないものである。
意外と旅の途中の移動時間であったり、何もない時間に検索したり考えたりすることがよかったりする。だからこそただ情報を集めるのではなく、旅にでるのであろう。
旅のなかでの時間は何物にも変え難い。
以上が、『弱いつながり 検索ワードを探す旅』である。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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