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【ショートショート】禁断のスリル
この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。
田中は毎日を無為に過ごしていた。
単調な出勤、退勤、そして家でのテレビ鑑賞。
そんなある日、「人生にもっと毒を」とだけ書かれた奇妙なメールが届いた。
興味半分で開くと、「上司に意見を言え」と書かれていた。
どうせ退屈だからと軽い気持ちで実行してみた。
その夜、田中は久しぶりに興奮して眠れなかった。
次のメールには「無人のビルに忍び込め」と書かれていた。
夜の静けさの中、心臓が高鳴るのを感じながら田中はその指示に従った。
次第にミッションはエスカレートし、「秘密の会議を盗聴せよ」「特定の人物を尾行せよ」など、普段味わえない刺激が彼を引き込んでいく。
最終ミッション「大手企業の情報をリークせよ」を遂行した瞬間、警察が突入してきた。
田中は取り調べ室で、自分の愚かさに気づいた。
「何を考えていたんだ?」と冷たい目で問い詰める警察官。
田中は苦笑しながら、「本当に人生に毒を与えられたな」と呟いた。
その時、取り調べ室の扉が開き、警察官が田中の携帯を持って戻ってきた。
「これ、お前のだろ?」差し出された携帯を見ると、新しいメッセージが表示されていた。
「逮捕を阻止せよ」
田中は凍りついた。
しかし、次のメッセージにはこう書かれていた。
「次は刑務所からの脱出だ。君ならできるさ」
田中は呆然としながらも、脱出計画を考え始めた。
警察官の視線を感じつつ、「どうやって脱出する?」と心で問いかける。
その瞬間、彼の心は新たな冒険の期待に高鳴り、逃走劇の詳細が次々に頭に浮かんでくる。
田中は微笑みを浮かべながら、これまでに感じたことのない昂揚感に包まれていた。
今の彼にとって、これ以上の充実はなかった。
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最後まで読んで頂きありがとうございました。
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