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【ショートショート】美しき花の誘惑

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

ショウタは庭師として珍しい花を育てるのが趣味だった。


ある日、市場で「人生にもっと毒を」と書かれた種を見つけた。
「面白そうだな」と、彼は軽い気持ちでその種を購入した。


「これで俺の庭も一味違うぞ」と意気込んで種を植えたショウタ。
数週間後、庭には驚くほど美しい花が咲き誇った。


「なんて綺麗なんだ!」


彼は手を伸ばし、花に触れたその瞬間、手に鋭い痛みが走った。
驚いたショウタは友人の植物学者、ミサキに相談した。


「ミサキ、この花、触ると痛いんだけど、どう思う?」


ミサキは花を見て眉をひそめた。
「ショウタ、この花、ただ美しいだけじゃないわ。毒があるみたいね」
彼女はすぐに花の毒性について調べ始めた。


数日後、ショウタの庭が地元ニュースに取り上げられ、観光客が訪れるようになった。

美しい花に魅了された観光客が触れてしまい、中毒症状を起こす事件が発生。

ショウタとミサキは急いで対策を講じることにした。


「この花、どうやら普通の植物じゃないみたいね」とミサキは言った。


彼女の調査によると、花のDNAは地球上のどの植物とも一致せず、未知の化合物が含まれていた。
「これは異星の植物かもしれないわね」とミサキは真剣な表情で言った。


ショウタとミサキは花を引き抜こうとしたが、その瞬間、花が突然人の言葉を発した。


「もっと毒を、もっと…」


驚愕する二人。


どうやら、この花は異星からきた植物だったらしい。
急いで花を処分し、種を風に乗せて飛び散らせたが、ショウタの庭には再び奇妙な花が咲き始めた。


「どうして…?」と呆然とするショウタに、ミサキは冷静に言った。


「種は風に乗っても、ここが一番適した場所だったのよ」


再び花の美しさに魅了される人々。
「毒を楽しむのも、悪くないかも」とショウタは諦めた顔で苦笑した。
そして、新しい種の袋にはこう書かれていた。


「次の毒は、もっとあなたの心に効きます」


最後まで読んで頂きありがとうございました。

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