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【ショートショート】克服の触媒

この作品はフィクションです。
実際の団体や人物は関係ありません。

由紀は夜遅くまで研究室のデスクでデータを眺めていた。

彼女の目の前に広がる複雑な図式から、ふと、革新的なアイデアが閃いた。

「これかもしれない」と呟き、その発見に心躍らせた。

翌朝、プレゼン前の最終確認中、突然のパソコンのフリーズに由紀の心臓は一瞬で冷たく凍りついた。

しかし、彼女はパニックを抑え、バックアップからデータを即座に復元し始めた。

手が震えながらも、由紀は自分を鼓舞し、「大丈夫、乗り越えられる」と自分に言い聞かせた。

会議室に足を踏み入れ、緊張が一気に高まる中、上司と同僚たちが期待混じりに彼女を見つめていた。

「始めてくれ」と上司が促す。

深呼吸を一つして、由紀はプレゼンを開始した。

「この新触媒により、エネルギー変換効率が30%向上します。これは私たちのプロジェクトにとって革命的な進歩です」

質疑応答の際、同僚の一人が尋ねた。

「この技術が実用化される見通しは?」

由紀は迅速に答えた。

「現在の試験データから、実用化の可能性は非常に高いです。次は実際のアプリケーションでのテストを進めます」

プレゼンが終わると、上司が彼女の肩を叩いて言った。

「良くやった。お前の冷静さと迅速な対応がチームを救った」

その成功の余韻を胸に、由紀は職場でのストレス管理技術を共有するワークショップを開催することを決めた。

彼女は同僚たちに、ストレスがもたらすプレッシャーとどのように向き合い、乗り越えるかを語り、具体的な瞑想テクニックを紹介した。

「このテクニックで私は何度も難局を乗り越えてきました。みなさんにも試してほしいです」

ワークショップ後、多くの同僚が由紀の方法を試し、その効果を実感し始めた。

由紀自身も、この経験を通じて、プロフェッショナルとしてだけでなく、個人としても成長したことを感じていた。

「私たちの最大の敵は、実は最大の師であることもあるんですね」と、新たな挑戦に向けて自信を深めていた。

最後まで読んで頂きありがとうございました。


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