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#開かれた扉
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#4
第一幕 開かれた扉4:本とボタン
本を借りた日から数日。
私は大学の勉強とバイトに追われていた。本を読もうと思っても、家に帰ってもすぐに寝てしまい、まだあの本を読めていない。
今日も疲れた。
帰るとすぐに、ベットに自分の身を放り投げた。ベットに横になりながら、大学のことやバイトのことに思いを馳せた。そうしているうちに、だんだんと瞼が重くなっていくのを感じ、気がついた時には深い眠りについていた
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#3
第一幕 開かれた扉3:一冊の本
外のセミが耳を貫くような音を奏で、ぎらぎらと照る太陽とは裏腹に、図書館に入ると、足音だけが音を立てるほど館内は静かで、ひんやりとした涼しい風に包み込まれた。私は足早に、学生証を窓口にあるセンサーにかざし、人の密集していない、まばらなところを目指す。そして、やっとお目当ての勉強机にたどり着く。ここまでの一連の流れに、緊張の糸がほどけると共に、ほっと一息ついた。
図
【小説】おとぎ話世界で君ともう一度#2
第一幕 開かれた扉2:憂鬱
私は篠宮(しのみや)璃羽(りう)。
都内の大学に進学している大学生だ。
そう。私は何の変哲もない、ありきたりの平凡な大学生。
昔から言われている「大学生は、人生のバカンス」という言葉は、私にとって、まるでユートピアか何かと勘違いをしている大人のたわごとでしかないと思っている。そして、今の私は、色鮮やかなバカンスには程遠い。大学に行って、家に帰っての繰り返し。大学がない
【小説】おとぎ話の世界で君ともう一度#1
第一幕 開かれた扉1:かすかな記憶
??:ね。璃羽。ちょっと手出して。
ガサゴソ。
??:はい………。これ、あげる。
璃羽:???。これ?なあに?
??:これは、第二ボタンって言うんだ。
そしてこれはね、僕のここ(心)にある大切な気持ち。
璃羽:???大切な…気持ち?
私は、その意味がなんだか分からなかったけれど、とても心がくすぐったくなって、嬉しくなったような気がする。
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