百武正嗣

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失われていくアイデンティティIDⅡ

20代後半はカリフォルニアの田舎町フレズノに住んだ。大学時代に国立図書館でアルバイトをしていた時に「孤独な群衆」という本を読んだのがキッカケであった。 日本人が嫌いだったこともある。日本の社会に苛立っていたのかもしれない。いずれにしろ私の知らない世界に出会えた喜びが大きかった。 その田舎町に住み着いた時に、最初に行った場所はDOWN TOWNだった。きっとヒッピーに会えるかもしれないと思ったのだ。しかし、そこには貧しいメキシカンの人たちと黒人がいるだけだった。 マスコミ

    • 失われていくID

      アイデンティティとは アイデンティティ(ID)は獲得していくIDと失われていくIDがある。 私は中国地方のバスの中にいた。空港から街に向かうためだ。あたりは暗くなってきて外の景色が見えない。 やることがなく、ぼんやりしていると指先が痛くなっていることに気づいた。この半年くらい時たま人差し指と中指に鈍痛が走ることがあった。 そこで指先に意識を向けると、ツーンと痛みが出る時に、僅かであるが指先が動く。その動きは、軽い鈍痛のたびにピクリと曲がる感じである。 その指先の小さ

      • 恥ずかしい

        今朝。海岸にあるMacに向って歩いていた。途中で幼稚園のバスが止まっていた。横を通ると女の子がギャン泣いてお母さんにしがみついている。 お母さんが抱きかかえて離そうとすると、尚更、大きな泣き声になってしがみつく。 若い先生がバスから降りてきて、ハイハイ、分かりましたよ。でな感じで彼女を抱き上げた。するとその女の子は両足で母親の足を挟んで離さない。すげぇ、根性してる。 幼稚園の先生も思わぬ抵抗に戸惑っていた。するとバスの中から男の子がすっと降りてきた。明るい青い帽子を被って

        • ゲシュタルトの祈り

          私は私のことをする。 あなたはあなたのことをする。 私はあなたの期待にそうために、この世に生きているわけではない。 あなたも私の期待にそうために生きているわけでない。 あなたはあなた、私は私である。 もし、私たちが出会うことがあれば、それはすばらしい。 もし出会うことがなくても、それは仕方ないことだ。 フリッツ・パールズ . Gestal Prayer I do my thing. You do your t

        失われていくアイデンティティIDⅡ

          黒人の魂の声

          何年か前に訪れたニューオリンズは音楽の街である。ジャズと言えば大抵の人はニューオリンズを思い浮かべるだろう。私もそうだぅった。 憧れの音楽の街に着いた。民間人の宿で一息ついて、早速街に出た。 そこには有名なバーボンストリートがある。バーボンとはお酒のバーボンのことだ。このストリートは昼間から酒を飲んでも大丈夫。日本で言えば、「酔っぱらい通り」というところだろう。 アメリカはキリスト教の影響力が強く、お酒を屋外で飲んではいけない法律が各州で定められている。ましてや道端で酔

          黒人の魂の声

          止められない魂の叫び

          シングルマザーの彼女は三歳か四歳の時の出来事を思い出した。公園の周りは暗くなってきた。それでも自転車を一所懸命に動かしていた。 今日中に乗れるようになりたい。 薄暗くなった公園で怖さよりも、 「今日マスターするのだ。」 という思いが湧き上がっていた。 人は幼い頃に何かを「成し遂げたい」という衝動に駆られる事がある。その記憶を彼女は今、思い返している。 私は中学生の頃に「一人で居る場所」を探していたような気がする。その場所を求めて、学校が終わると家から自転車に乗り郊

          止められない魂の叫び