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エッセイ#63『晴天東京・雨天千葉』

 物凄く久しぶりに東京タワーへ上った。
 思い返すと中2以来、つまり8年ぶりである。

 快晴の日に上る東京タワーは格別で、流石は長いこと東京のシンボルという大役を果たしていただけの実力の持ち主である。
 東京スカイツリーが出来た今でも、東京タワーが「東京のシンボル」であることは(私の中では)変わらない。よく晴れた日には小学校の音楽室から東京タワーが微かに見え、児童のみならず先生までもがその姿に釘付けになっていたからだ。

 晴天の東京タワーからは、お台場や羽田空港も見える。東京の名所から東京の名所を見ている、という構図が中々に面白いが、お台場から東京タワーを見ても「あぁ、東京タワーだなぁ。」くらいにしか思わないのが不思議だ。

 生まれて初めて千葉ポートタワーに上った。
 何度も記憶を巡らせてみたが、やはり初めてだ。

 土砂降りの日に上る千葉ポートタワーは面白みに欠け、千葉県民500万人突破
を記念して建てられたとは思えない程に絶不調であった。
 成田山新勝寺や東京ディズニーリゾート、犬吠埼や小湊鐵道など、県内には思いのほか名所があるため、千葉ポートタワーを「千葉のシンボル」と呼んでいる人には会ったことがない。
 神戸や博多のも同名のタワーがあるため、千葉ポートタワーの存在を知らない千葉県民も多いのではないだろうか。

 雨天の千葉ポートタワーからは何も見えない。辛うじて「千葉市街」に△のマークがついているだけで、富士山も筑波山も、同じ市内にあるはずの幕張新都心すら見ることは出来なかった。
 最寄駅の千葉みなと駅から見てみても、「どれだっけ?」となる始末である。

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