#18『夏』

 寒すぎる。身体が固まって屈むことすらままならない。全然暖房も効かないし。
 こんな寒い日には、今年の夏のことでも思い出そう。8月だっただろうか。私は千葉県習志野市の谷津干潟周辺を散歩していた。干潟には大型の鳥類が何羽かいたが、目が悪いのであれが何だったのかは謎のままである。
 当初は干潟を1周するつもりでいたが、あまりの暑さに散歩を早々に切り上げ、京成電鉄の谷津駅を目指した。途中、公園で小学生達がスイカ割りをしているのを発見した。20年以上生きてきて、生でスイカ割りを見るのは初めてだった。最近の小学生もスイカ割りなんて古風な遊びをするものなんだなぁ、と思いながら集団に近寄ってみると、私が今まで小学生だと思っていたプレイヤー(?)は、白髪混じりのお爺さんだったのだ。なんと、普通は1人の子供を数人の大人で囲うところを、彼らの場合は逆でやっていたのだ。しかも物凄い数のスイカだ。大玉のスイカが最低でも5個はあった。一体何の集まりだったのだろう。

①あの小学生達は全員きょうだいで、お祖父さんがスイカ割りの手本を見せている最中だった。
②学童か何かで集まった児童達が、野外学習か何かでスイカ割りをやっている最中だった(お爺さんは先生)。
③地元の農夫が豊作故に余ってしまったスイカを近所の子供達に配るという名目で、農作業をサボるために遊んでいた。
④独りでスイカ割りをしていたお爺さんを、小学生が野次馬をしに来た。
⑤同じく独りでスイカ割りをしていたお爺さんを、心配だと思った小学生が見守っていた。

 きっとこの中のどれかだろう。
 そして部屋は一向に暖まらない。壁に穴でも空いているのか?


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