学歴・就職・年収のレベル換算で浮かび上がる真実

 またまた学歴考察シリーズである。ここまで来ると狂気かもしれないが、どうせ狂気なら徹底的に追究してみたいと思う。筆者はランキングの類が大好きであり、物心ついた時からひな人形を見てピラミッド社会を感じ取っていた。 

 さて、以前の記事で対数スケールで学歴のレベル感を評価した。レベルが一つ上になるごとに出現頻度が3.2倍希少になる。二つレベルが上がると10である。レベル2で上位10%、レベル3で上位3%、レベル4で上位1%、レベル5で上位0.3%だ。

 概ね
レベル5 東大
レベル4 一工医
レベル3 早慶旧帝
レベル2 March関関同立駅弁
レベル1 日東駒専その他

といった感覚である。

 少しトリッキーで不正確になるが、同様の基準で就職偏差値なるものも査定したことがある。就職偏差値は本当の意味では定義不能なのだが、便宜上学歴と結びついたものとして考えた。

概ね
レベル5 官僚・外銀・弁護士(予備試験)
レベル4 総合商社 医者 弁護士(ロー)
レベル3 JTC 公認会計士
レベル2 教師・地方公務員
レベル1 中小企業など

といった具合である。

 さて、年収の場合はどうだろうか。こんな図表を発見した。

これをもとに考えると、レベル表はこのようになる。

レベル5 5000万?
レベル4 2500万
レベル3 1500万
レベル2 1000万
レベル1 750万


といった具合になる。実際は人生のどの時点で超えるかにもよるので、何とも言えないのだが、何となくのテーブル感は共有されているだろう。

 この年収ランクを先ほどの就職偏差値と結びつけると興味深い現象が明らかになる。レベル4の総合商社は人生トータルだと1500万くらいだろう。レベル3のJTCは特に給料の高い会社じゃない限り、1000万程度だろう。基本的に年収ランクは就職偏差値よりも一つ下がると考えた方がいい。その理由は被用者にある種のリスクプレミアムが存在しているからだ。高年収を稼いでいる人間の多くは個人事業主であり、体を壊したり、経営状況が悪化した場合は何の保証もなくなってしまう。被用者である限り、基本的にディスカウントが発生すると考えるべきだ。こう考えると、レベル4の勤務医の年収が1500万くらいであり、開業医の年収が2500万くらいなのも整合性が取れる。

 こうして考えると、早慶⇒JTCというルートは非常に堅実なことが分かる。早慶に入る難易度はレベル3であり、JTCの就職難易度もだいたいレベル3だ。年収はレベル2に下がるが、被用者なので仕方がない。

 同様に、医者の場合もだいたい見合っている。医学部の入試難易度はレベル4、年収は勤務医の場合はレベル3、開業医の場合はレベル4である。

 起業ではなく通常の就職であれば、最も勝ち組なのはおそらく予備試験からの四大事務所内定だろう。この場合、予備試験の難易度がだいたいレベル5と思われ、年収もだいたいレベル4の2500万かそこらだろう。やはり難易度に見合っているのである。もちろんパートナーに昇格すれば被用者の縛りがなくなるので、青天井である。

 こうして見ると、医学部が勝ち組と言われる理由もよく分かる。学歴と就職はイコールではなく、入れ替わりが発生するため、上位大学ほど平均就職先は下がる。早慶の場合も就職先の平均は2.5くらいだろう。東大卒の場合は平均就職先は3.5くらいだ。ところが医学部の場合は就活リスクが存在しないので、医学部の学歴はレベル4、就職偏差値もレベル4である。開業すれば年収偏差値もレベル4に到達する。日本の金持ちの2割は医師なので、うまく行けばレベル5とかそれ以上にも行くことができる。

 逆に東大卒の幸福度が上がりにくい理由がよくわかる。東大に匹敵する年収は5000万だ。それくらいの難易度と希少性がある。ところが東大生の多くが就職する先はレベル3か4辺りが多く、年収に換算するとレベル2辺りになってしまう。学者や官僚になった者はレベル1程度だろう。東大卒の就職先の多くは早慶レベルであり、年収であればMarchレベルということになる。しかもレールから外れてしまえばレベル1すらも厳しくなる。東大卒で就職に失敗して塾講師になった場合の経済的価値は学歴で換算するとFラン大くらいになる。金銭面で見ると彼らへの教育投資は水の泡である。18歳時点で上位0.3%に入っていたのに、東大卒の経済的成功度は日本人の上位10%に過ぎず、そこからも些細なことで転落するリスクがあるということだ。これでは確かに幸福度は上がりにくいかもしれない。東大卒に見合った就職先は年収面だけ考えると予備試験ルートの弁護士とトップランクの外銀のみである。

 したがって、20歳過ぎて成功の定義が勉強から豊かさに変わるにつれ、東大卒の多くは社会的に転落している気分になる可能性がある。ただ、この価値観が正しいかは分からない。東大卒の中には学者や官僚など、どう見ても儲からない業界に飛び込んでいく人間が多いからだ。勉強の成功が人生の成功ではないように、年収はあくまで一つのパーツに過ぎないのだろう。東大卒の多くは金持ちというよりエリートになりたいので、年収がレベル2でも社会的な威信が高ければ喜んで就職していく。

 医学部の場合は入試難易度がレベル4、年収はレベル3が保証され、開業すればレベル4かさらに上にも行ける。東大の場合は入試難易度がレベル5、年収はうまく行けば2から3で、どこかで失敗すると1か0になってしまう。こうしてみると医学部は早慶付属高校に立場が似てなくもない。早慶付属校の難易度は4に少し足りないくらいで、進学先は3だ。高校で例えると東大と医学部の格差はすさまじいものになる。医学部に対応するのは「外部受験できる早慶付属」なのに対し、東大に対応するのは「平均進学先がMarchの開成」である。

 学歴と年収が同時に評価されるのは婚活の場だろう。この場合、両者のレベルを足し算することも可能となる。東大卒官僚年収750万・一橋卒銀行員年収1000万・早稲田卒商社マン年収1500万・法政卒地主年収2500万・日大卒経営者年収5000万の誰がいいか、といった思考実験を考えることができる。(個人的には早稲田卒商社マン年収1500万が優勝だと思う。日大卒年収5000万はどう見ても起業家として命を削っているし、東大卒年収750万も人格が偏っているかもしれない。人間バランスである)

 なお、レベル5より上はさらに悲惨かもしれない。A判定連発で東大に現役合格した場合は学力的にはレベル6なので、年収1億円くらいの希少価値である。しかし、彼らの多くは年収がレベル2~4に落ち着く。年収1億円と言えばだいたい乃木坂だと白石麻衣や西野七瀬の年収である。日本の金持ちの1%が芸能人で、同学年にこのクラスの大物は10人くらいと考えると、年収1億円で同学年上位1000人というのは結構妥当なラインである。

 東大理三の場合はレベル7~7.5だが、多くは都内大学病院の勤務医になるので、年収はせいぜいレベル3である。場合によっては2とか1かもしれない。レベル7の年収は想像もつかないが、同学年のトップ200と考えると、年収数億円という額だ。日本の金持ちの2割は医師なので、この中に医師は40人ほど含まれるはずだが、彼らの多くは私大医学部の出身だろう。ここまで開きが大きいと、いろいろ思うところがあるかもしれない。ただし、それでもレベル3以下に転落しないだけ東大の一般学部よりはマシかもしれない。

 林修は難関だったころの東大文一に余裕で合格していたので、学歴的にはレベル6だろう。ところが彼は短期離職しているので、レベル0に転落してしまった。現在、彼はなぜか日本で最も売れているタレントになっている。年収はレベル6か、もしかしたら7だろう。ここまでアップダウンの激しい人生は珍しい。ただ、個人事業主の多くは収入が不安定なので、レベル7の人間の多くは当初はレベル0だろう。ここに関しては何とも言えない。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?