学歴ランクを同世代上位何%かで考えてみたら、偏差値との違いが分かった

 日本人は学歴ネタが本当に好きである。noteの記事でも学歴ネタは伸びやすい。テレビをつけても「東大王」をはじめ東大ネタを扱った番組は多数放送されている。(私の友人も以前結構出ていた。)
 ネット上で学歴ランクの類を詳細に算出しているサイトは多い。ただしそれらのサイトに関して色々思うところがあったので、自分なりに今回は格付表を考えてみた。
 
 格付けに必要な評価法を考えてみよう。予備校の偏差値が最もメジャーであるが、ここでそれをコピペしても、面白くもなんともない。今回、私は同世代の上位何%がその学歴以上かを基準に学歴ランクを算出してみた。

 うまくスケールを取るためにレベルが2上がるごとに希少度が10倍になるようにした。具体的にはレベル1が同世代上位30%、レベル2が同世代上位10%、レベル4が同世代上位1%といった具合である。xを同世代上位割合とすると-2・log10(x)となる。

 ここで面倒なのは大学間の上下関係である。早慶と旧帝を同ランクの大学とするか、そのくくりに神戸大を入れるかどうか、難関医学部を東大の上位大学とするべきか等、結構複雑である。そのためあくまでいい加減な概算と考えてほしい。

レベル0(同世代上位30%以下)

 大企業にいると意識されないが、このゾーンは日本人の過半数を占めている。高卒・専門卒・短大卒にFラン大や大東亜帝国辺りの大学を含めた人々が該当する。大企業のホワイトカラーはほぼ交わる機会がない。現業や自営業に進むものから反社会勢力まで様々な人々を抱えている。

レベル1(同世代上位30%)・・・日東駒専レベル

 特にネタもない普通の大卒である。四大卒なので高卒や短大卒よりは上だが、大学生の中では平凡な部類である。評価は並みだが有名な大学といったところか。進学校の出身者は非常に少なく、有名企業に入るのは至難の業である。

レベル2(同世代上位10%)・・・MARCHレベル

 この辺りから高学歴という扱いになる。該当する大学はMARCH、関関同立、そして大部分の地方国立大学である。地方は大学進学熱が首都圏ほど高くないため、レベル2の人間でも結構尊敬される。公立中学校のクラスでも上位だった生徒である。一方で都会だとそうも行かない。全体的なレベルが高いからだ。中学受験を経験する層では大体「真ん中」という扱いである。概ね裕福な家庭の出身者の平均といったところか。大企業の就職で激しい競争を勝ち抜く必要があるゾーンの人々である。
 これらの大学より少し難易度の高い筑波大・お茶大・上智大・理科大あたりの大学は少し高めのレベル2.5辺りといえるだろうか。
 またこのゾーンは学歴に関心が強い人のボリュームゾーンである。したがって巷の学歴ランクはレベル3からレベル2にかけての解像度が非常に高く、細かくランク付けされていることが多い。

レベル3(同世代上位3%)・・・早慶レベル

 早慶と地方の旧帝大、それに私大医学部が該当する。阪大や慶応経済・早稲田政経といった学科は少し難しく、レベル3.5といったところか。この辺りからメディアでも常に高学歴と扱われる。大企業でも「高学歴」としてリスペクトされることが多い。産業界や政界など社会的に大活躍している人々のボリュームゾーンである。そのため多くの人間が目指す大学群でもある。大体の大企業においてはレベル2とレベル3の辺りに大多数が所属しているため、一番学歴コンプが発生しやすい界隈である。この辺りはそこまで有名高校の出身者は多くなく、並みの高校でも手が届きやすい範囲と考えられる。

レベル4(同世代上位1%)・・・一橋レベル

 主に一橋、東工大、易し目の地方国立医学部が該当する。京大は少し難易度が高く、レベル4.5といったところである。
 この辺りはほぼすべての企業で高学歴と扱われる。就職活動でも多くの学生が大手に内定している。入試難易度は高い。この辺りから中高一貫の割合が増えてくる。首都圏の場合、都立西や浦和といった公立トップ校と巣鴨や浅野といった中堅上位の中高一貫校が混合しているゾーンである。

レベル5(同世代上位0.3%)・・・東大レベル

 待ちに待った東京大学がここにランクインする。地方の旧帝大医学部や千葉大医学部など一部の難関医学部もこの辺りに分類されるだろう。首都圏出身の東大生は8割近くが中高一貫校の出身であり、しかも御三家や神奈川御三家などの一部の高校に集中している。東大生は出身高校トークが好きだが、それは彼らの出身高校が一部の有名校に偏っているからだ。地方公立の出身者も同様に地元のトップ校に極端に集中している。環境と素質に恵まれた上で中高六年間サボらずに努力しなければ東大合格は難しい。
 この辺りのゾーンになってくると出現頻度が稀のため、普通の大企業ではそこまで解像度が高くない。早慶とMARCHの差についてはよくフォーカスされるが、それよりも東大と早慶の差のほうが遥かに大きい。大企業を前提とする限り、東大と早慶の差は最も見落とされがちかもしれない。大体は一橋以上はまとめて「すごい」で終わりである。

レベル6(同世代上位0.1%)・・・阪医レベル

 この偏差値帯はこれといったレベルの大学がない。東大よりも上の総合大学が存在しないからである。東大合格者の上位三分の一が・・・などど定義することもできるが、今ひとつ釈然としない。候補として上がるのが医学部なのだが、ここにも問題がある。東大よりも格上とされる医学部は東大理三・京大医学部・阪大医学部・慶応医学部・医科歯科医学部の5校だが、これらの大学を日本全体の上位500人とすべきか医学部全体の上位500人とすべきか解釈が難しいところなのである。
 とりあえずトップ進学校のデータ等から成績上位者の25%が文系志望、40%が理工系志望、35%が医学部志望と仮定するとレベル6としてピッタリ該当するのは阪大医学部辺りと思われる。
 なお高校で例えると、灘高校がだいたいこの辺りの難易度である。(東大理三のデータから全国優秀層の25%が関西で80%が男子と仮定)
 中学受験の最高峰として知られる筑波大学附属駒場はレベル6.5程度と思われる。全国の成績優秀者の半分は首都圏出身で、8割が男子なので筑駒は同世代上位400人と算定できる。もっとも学区の問題で埼玉や千葉からは受けられないので実際は上位600人くらいだろう。

レベル7(同世代上位0.03%)・・・東大理三?

 東大理三の評価は難しい。レベル5や6のゾーンでは東大志望と医学部志望はそもそも交わることがない。しかし、東大理三の場合は「偏差値が高いから」という理由で本来理工系を志向していた層が流れ込んでくるのだ。偏差値が少しでも高い大学に進むという日本の慣行が産んだある種のバグである。したがって東大理三を医学部志望者のトップ100と考えるか、理系全体のトップ100と考えるかによって評価は変わってくる。前者の場合東大理三はレベル7、後者の場合はそれよりも上でレベル8という扱いになる。一応ここでは前者の考えを採用した。
 京大医学部はより難易度が下がるだろう。東大理三よりも理工系志望者の流入が少ない上に受験者が西日本ローカルだからだ。したがって京大医学部は同世代上位200人より下であり、同世代上位300〜900人くらいかもしれない。この場合レベル6.5という扱いになる。
 このゾーンになるとほとんどが有名中高一貫校の出身者で占められており、普通の公立中学校の出身者は稀である。東大理三の場合、半分弱が灘・筑駒・開成・桜蔭の出身者という恐ろしい寡占状態なのである。

 

まとめ

 あらためて一覧化するとこのようになる

レベル7 東大理三
レベル6 阪大医 慶応医 
レベル5 東大 地方旧帝医 首都圏医
レベル4 一橋 東工大 地方国立医
レベル3 早慶 旧帝
レベル2 MARCH 関関同立 地方国立
レベル1 日東駒専 地方私立大
レベル0 その他

 一般社会でレベル4以上は十把一絡げに「すごい」とくくられがちであるが、実際には上位層の間にも熾烈な闘いがあり、上には更に上がいるという状況である。実際に偏差値は上位になるほど上げるのが難しい。

 見えてきた傾向性として、医学部と他の学部の難易度差は概ねレベル2〜2.5程度のようだ。東大と東大理三の難易度差は東大と地方旧帝大の差に匹敵すると例えることができる。

 一般社会で一番大きく扱われるのは早慶とMARCHの差であろう。これは恐らく大企業の人間のボリュームゾーンがレベル2からレベル3の間にあるからだ。この手の議論は自分たちの近くのランクに関して解像度が高くなるのである。大企業で一番見落とされがちなのは東大と早慶の差だろう。ここは一般に思われているよりも難易度が断絶していると思われる。レベル5以上に関しては医学部受験の文脈でしか語られることがなく、一般社会での認知は微妙である。
 かつての大蔵省は東大法学部が殆どを占めていたため、在学時の成績や公務員試験の順位が「学歴」の代わりとなっていたと言われる。これもボリュームゾーンの人間の解像度が上がる例である。

 普通の偏差値は分布がe^x^2の正規分布のグラフをベースとして考えている。したがって今回のe^xをベースとした考察は普通の正規分布を前提とした議論に比べて上位層の差が分厚くなる。指数分布と正規分布の違いがうまい具合に可視化されているのである。 



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