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NF型にオススメの進路を徹底考察する③

 前回に引き続き、NF型の進路選択について考察していきたいと思う。今度はNF型が避けたほうが良い進路である。その中には露骨にNF型に向かないと思われる進路もあれば、一見NF型にとって魅力的に映るが、辞めたほうが良いという進路も存在する。今回はこうした地雷進路について論じていきたいと思う。

前回の記事はこちら

NF型が避けたほうが良い進路

 一方でNF型が避けたほうが良い進路はいかなるものとなるだろうか。NF型の弱みはビジネスや激しい競争社会にあまり向いていないというものがある。同じ競争社会でも受験戦争のような競争ならまだ良いのだが、自分の所属している人間関係そのものが競争的という状況はNF型にとって悪夢のような状態だろう。それにNF型は殺伐と仕切っている業態にストレスを感じやすいはずだ。こうした背景踏まえてNF型に向かない進路について考えてみたい。結論から言うと、このような特徴を持つ進路は避けたほうが良い。

・競争が激しすぎる
・拝金主義的な傾向が強い
・進路の自由度や業務の裁量権に乏しい
・特定の考え方を押し付けられる
・労働時間が長く、かつ「やりがい」に乏しい
・経済的なリスクが大きい一方、中途半端なロマンがある

・証券営業など、利益至上主義の業界

 NFに向かない業種として真っ先に挙げられるのは証券営業のような金儲け至上主義で競争が激しいような環境だ。厳しいノルマが化されるとNF型にとっては非常に苦痛だろう。ノルマはどの社員にとっても苦痛かもしれないが、ESTPのような社員であればむしろ出来高制でやる気満々というケースもあるのでタイプにもよる。

 なぜこうした業界がNF型に向かないのか詳しい説明はいらないかもしれないが、一応理由を考えてみる。NF型は人間に関わることがらを好むので、露骨なマネーゲームは好まない。言ってしまえば、やりがいをあまり感じないのだ。それにもかかわらず、このような「野獣らしさ」が求められる業界は野心家であること、勝ち気であることが良しとされているので、気質が全く噛み合っていない。

 更に言うと、大手証券会社であれば無縁かもしれないが、ビッグモーターのような会社のように明らかに非道徳な商法が求められるような業界・会社もある。こうなるとNF型にとって仕事からプラスの感情を引き出すのは難しい。先述の医師や教師といった業界は「嘘をつかなくても良い接客業」であるところがNF型との親和性を高めているが、同じ接客業でも欲しくもない商品を無理やり売り込んだりする業種は向いていないだろう。

 N型という存在は露骨な資本主義との親和性が低い。ENTPやENTJであれば起業家として名を馳せたりもするが、NF型の場合はどうにも利益至上主義や拝金主義との相性は良くないように思える。NF型の適職は公金が投入されている業界(教育・医療・NPOなど)か、ほとんど儲からない業界(芸術など)かばかりである。後者を安易に進めるわけには行かないので、NF型の適職としては前者の非市場的職種ということになるだろう。営利企業に進むにしても、インフラのようなストックビジネスの業界の方が良いはずだ。

・外銀や外コン

 これまたNF型には向かないだろう。理由はあまりにも競争が激しいからだ。NF型も職場で認められたいという感情は強いのだが、その「認められる」の意味合いは、外資系における「認められる」と大きく乖離していることは間違いない。外資系におけるナラティブは自分の能力を認められるとか、業務を達成して巨額の報酬を得るというものであって、NF型はこうしたものに興味持てないだろう。

 また、これらの業界は首切りが当たり前であり、殺伐とした環境である。勤務時間も長い。間違っても副業や余暇を楽しめるような状況ではないだろう。NF型が就職してもドロップアウトの危険性が高く、仮に出世しても今度は首を切る側に回らなければならない。やはりこうした職場環境でNF型が信念を持って頑張るのは難しいだろう。(ただし独立起業など、明確な出口戦略がある場合はその限りでない)

・「金」に関わる仕事

 上記の進路と被る面が大きいが、NF型にとって「金」それ自体がメインテーマとなる進路は避けたほうが無難である。超ホワイトなら必ずしも問題にはならないかもしれないが、「金」がメインとなる仕事はNF型が「やりがい」を感じにくく、しかも業務が細かくストレスフルなことが多いからだ。人間関係面は意外にさっぱりとしていることも多いが、一方で社内カルチャーに深刻な不適応を起こすこともあり、NF型にとってはリスクとなりうるだろう。

「金」それ自体がメインとなる仕事は金融・保険・証券・コンサルといった系統である。大企業であれば、営業職や経理職も含まれるだろう。会計士に関しては働き方の自由度がもっと大きいので問題にはなりにくいかもしれないが、NF型が進んでいるイメージはあまりない。これらの業界は「給料が高い」という点が職業的価値の根幹を支えており、資本主義的競争に疎いNF型にとっては苦しい戦いを強いられることになるだろう。ただし、会社がホワイトであるとか、専門職採用で競争が緩いとか、社風への適合度が高いという状態であれば大きな問題にはならないだろう。ここは運も絡む。

・カルト的な企業

 具体的な社名を挙げるのは控えるが、世の中の会社には社風が異様に「濃く」、特定の創業者を個人崇拝したり、偏った社訓を骨の髄まで刷り込まれたりという会社が存在する。ブラック企業のイメージが強いが、社会的に一流とされたり、ホワイト企業とされている会社にも存在する。これは社風と業態の問題である。一見資本主義競争とは縁遠そうな、安定したメーカーやインフラにも存在するため、注意が必要である。

 カルト的な企業の場合、社員は有無を言わさずに会社の掲げる理屈に己を同化させる必要がある。これはN型にとって凄まじい苦痛である。自分の頭で考えることを放棄させられているに等しいからだ。特定の理念を持つ組織であっても、個人の独立性が大きい業界やNPOのようにNFが共感しやすい理念を掲げる業界ならマシなのだが、カルト的企業はあくまで営利企業であるため、今ひとつNF型の心を打つような理念はなく、この点でも問題になりうるだろう。カルト的企業をわかりやすく描写するなら、毎朝朝礼で創業者の書いた社訓を唱和し、ボーナスを受け取った社員は全員の前で「ありがとうございました」と叫ばなければならない、といったものだ。

 カルト的な企業の目的は単に営業上の利益を叩き出すことであり、抽象的な理念を実現することやN型に達成意識を与えることではない。これは後述するN型エリート組織と異なる点である。N型エリート組織の場合はN型は何らかの理想と尊敬を持って組織に入るのに対し(ただし報われるとは限らない)、カルト的企業の場合はN型は薄っすらと馬鹿にしていることが多い。

 思うに、カルト的企業はここまで挙げたどの就職先よりもS型に偏っているのかもしれない。カルト的企業の独特の儀礼的行動は社員に「意味」を理解させるというよりは、日常の行動作業を通して頭に「刷り込んでいく」ものだからだ。歴史家のマクニールによれば、このような儀礼は先史時代から見られたものらしい。全員で共通のリズムを唱和することにより、不思議と連帯感が生まれ、集団の団結力を高めていくのだ。「理解」よりも「行動」を通して無意識化で実現されていくものなのである。古今東西あらゆる軍隊式・体育会系組織に見られる儀礼的苦痛(例えば新入生を先輩が一発ずつ殴るなど)もこの一環と思われる。

 また、カルト的企業の良くない点として、転職市場での価値が低いということもある。カルト的な社内文化に適応しても世間では評価されないし、風通しの悪さがカルト的な社風を支えているという要因もあるからである。

・違法行為の要素がある進路

 言うまでもないが、違法行為が常態化している職場への就職は避けるべきである。悪徳商法なども含まれる。NF型にとって利益至上主義は相性が悪いが、ここに反道徳的な要素が絡むとなおさらNF型にとっては職業的な満足度が低くなってしまうだろう。違法行為と言っても、面倒なお役所的規制や脱税であればそこまで問題にならないかもしれない。しかし、顧客を騙すような仕事や、人の不幸を無視しているような仕事、回り回って社会に害をもたらしているような仕事はNF型にとって誇りを持てないだろう。

 アングラ社会というのは基本S型のカルチャーが強いのだが、興味深いことに、最近はそうとも限らないようだ。トー横キッズやホス狂の界隈のカルチャーはむしろN型の性質が強い。「頂き女子」もおそらくN型である。アングラ社会のN型は薄っすらと理念やナラティブを持っていることが多い。「居場所の無い人だっている」とか、「社会的疎外への復讐」といったものだ。「うっせえわ」とか「サイレントマジョリティー」といった楽曲の世界観が闇落ちしたような雰囲気もある。時間があれば「N型化するアングラ社会」といったタイトルで考察を書くかもしれない。

 なお、N型の違法行為の究極系はテロリストである。極左暴力集団を見ていても、こうした界隈とNF型の親和性は悪くない。ただ、ここに関してはむしろハマってしまうリスクがある。本人の幸福度は高いのかもしれないが、平和を愛する一市民としてオススメはできない。

・大学院への不用意な進学

 大学院への不用意な進学も避けるべきだ。この方面に進んだNFはあまり予後が良くないように思える。大学院は基本的にアカデミアでの進路を前提とする進路であり、アカデミアはNT型の牙城であるということだ。コミュニティとしてNT型に排除されるということは無いだろうが、NF型の場合はNT型ほど研究や学術に熱意を持てないという可能性がある。アカデミアは厳しい世界であり、よほどの覚悟がなければ深入りしてはいけない業界である。

 NF型の大学院進学はアカデミアでの達成というよりも、「理想の自分探し」の一環としてのモラトリアムという性質を持ちがちだ。数としてはとしてはこちらの数の方が多いような気がしている。新卒信仰が根強く残る日本社会において、このような半端な覚悟は人生において取り返しのつかない自体を招きかねない。筆者としてはモラトリアムの延長として大学院に進学するのではなく、新卒で市場価値が高いうちに就職してしまったほうが良いのではないかと思う。先述の通り、NF型の居場所は達成それ自体では無いため、もっと安定した進路でNF型のニーズを満たすことは十分に可能なのだ。どちらかというと、社会人になってキャリアの見通しが立ってから大学院等へ進んだ方が良いのではないか。

・理想主義の追求としての公務員

 NF型は理想主義的であり、「やりがい」を求めて進路選択をしがちである。先述の医師やメディア系などもその一環だ。NFの中には「国家のため」「地域社会のため」といった真摯な動機で公務員へ就職する人間もいる。NF型は資本主義との相性があまり良くないので、公務員を志願したがる人も多いだろう。しかし、ここにはちょっとした罠がある。

 筆者としては理想主義的動機での公務員への就職はオススメしない。「安定している」とか、「民間企業よりも狙いやすい」といった動機なら良いのだが、「自分が行政を変えてやる」といった積極的な理由でNF型が公務員に進むのは辞めた方が良い。社会貢献したい場合は教師や医師など、もっと現場の方向に行くべきである。ここは以前の記事の「ミクロ型エリート」の話と同じだ。

 公務員は基本的に文系総合職の延長であり、個々人の独立性や裁量権が乏しい。というより「官僚機構」そのものである。したがってNF型の理想は実現できないし、むしろ業務に苦痛を抱えるケースも多いだろう。これは突き詰めれば国家官僚機構が大規模な事業体であり、自己決定権が乏しいという事情に行き着く。それでもNT型なら冷徹な出世モンスターへと変貌することは可能なのだが、NF型はこうした振る舞いは好きではないだろう。

 また、公務員の働き方も要因だ。現在の公務員は民間企業と比べて待遇は悪いと考えた方が良い。となると、同じ文系総合職の仕事なのに民間企業の方が待遇が良かったじゃないかということにもなりかねない。それに公務員の場合は職場風土においてT型の性質が強いことが多いので、NF型にとってはあまり心地がよくないかもしれない。安定を求めるなら公務員よりも半官半民企業の方がオススメである。

 それにしても、パブリック系の業界というのは不思議なものだ。いわゆるど真ん中の「公務員」は事あるごとに叩かれるのに対し、公的機関の性質が強い業界(中央銀行・警察官・自衛官・裁判官・検察官・教師・医師など)はそこまで下品な叩かれ方はしない。むしろ社会的な好感度は高い。どうにも専門性の有無によって公的業界の人間は評価が真逆になるようなのだ。組織の外部で尊敬されにくいという文系総合職の性質がこんなところにも現れているのかもしれない。

・N型エリート組織

 NF型に強くは薦めない進路として、N型エリート組織がある。これはN型の人間が多く、社会的にエリートとされているような進路のことだ。今まで挙げた進路ともオーバーラップするだろう。具体的にはキャリア官僚・閉鎖的なアカデミア・大学病院の医局・老舗マスメディアなどが挙げられる。

 N型の多い職場にも悪いところがある。先述の医師や教師もそうなのだが、N型が多い職場においてはN型の考える意味での人間関係が面倒になりがちである。同類が多ければ良いというわけではないのだ。個人的に思うのは、N型は集団内に多すぎるとマイナスになるということである。N型が組織的な行動と相性が悪いということは何回も述べているが、それはS型が社会の多数派だからだけではない。N型の上司にとってもN型の部下は使いにくいはずだ。趣味のコミュニティなら良いのだが、ゲゼルシャフト的な組織においては構成員の半分以上がN型という自体は問題を招く可能性が高い。

 N型エリート組織は確かにN型が好みとするものや理想とするものに近いのだが、こういった組織はNT型が熾烈な競争を繰り広げる過酷な場所であり、普通のNF型にとっては苦しいのはないかと思われる。もちろん優秀な人間であればついて行ったり出世することも可能なのだが、やはり幸福度を下げてしまう人間の方が多いと思う。

 更に言うとN型エリート組織はNF型が掲げる「純朴すぎる」理想主義はよく思われないこともあるだろう。NT型はこうした「脳内お花畑」に対して批判することを躊躇しないだろうし、ましてやNF型が自分の理想を追求できるような場所ではない。NF型にこの手の組織が向かないと断言するわけではないし、人によっては満足度が高いというケースもあるだろう。ただし、くれぐれも覚悟して入っていく必要がある進路であることは間違いない。

・東京大学

 N型エリート組織と被る面が多いのだが、NF型に強くは勧めない進路として東大がある。

 第一に東大は熾烈な競争社会であり、T型の性質が極めて強いということだ。NF型はあまりノリを表に出せるような環境ではない。ただし、生き方の自由度が高いことによってこの点はカバーできることも多い。

 第二に東大卒の花形とされている進路とNF型の親和性がことごとく低い。こちらの方が深刻である。N型エリート(学者や官僚)にせよ、拝金主義的な進路(外銀・外コンなど)にせよ、NF型にとってはそこまで相性が良くないだろう。NF型にとって満足度が高そうな、進路は東大卒であることがあまり強みにならないことが多く、早慶以上なら十分である。

 第三に、東大に進学するよりも医学部に進学した方がメリットが大きいことは何度も記事に書いているが、特にNF型に関してこの必要性が大きいということがある。医師はNF型に比較的向いている業界の一つだし、経済的な安定も手に入れることができる。

まとめ

 筆者の個人的経験によるものが多くなってしまったが、大体挙げるとこのようなものになるだろう。個別の事情にもよるので定式化は難しいが、大きくは外していないのではないか。NF型は「やりがい」を感じる場合は長時間労働もそこまで苦にならないように思えるが、仕事の意味を感じない業界にも関わらず、仕事へのフルコミットを要求されるような状況は何が何でも避けるべきである。

 NT型・ST型・SF型と比べるとNF型は社会に分散して生息しているように思える。NF型ばかりが集まる特定の界隈というのは多くないのだ。したがってNF型の進路は難しいにも関わらず、色々な場所に広く進路を取りうるのである。

 NT型の裁量・ST型の実利・SF型の調和に相当するNF型の要素を抽出するのは難しいが、あえて挙げるなら「承認」なのかもしれない。一般的な意味での承認欲求ではなく、ここが自分の居場所だと自身を持って言えるような状態である。当然、ここには他者の存在も不可欠となる。NF型にとっての目的は経済的な安定を確保した上で承認の場を何処かに設けることだ。そこは職場かもしれないし、そうではないかもしれない。NF型にとってはこれらの追求を阻害するような進路を避けるべきである。

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