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NF型にオススメの進路について徹底考察する②

 前回に引き続き、NF型の進路設計について考察をしていきたいと思う。今回はNF型に比較的向いていると思われる進路についてである。もちろん全ての人間に当てはまるとは思わないし、待遇との折り合いもあるだろうが、大枠は外していないものと思っている。

前回の記事はこちら

NF型に向いていそうな進路

 というわけで、NF型の取りうる進路のバリエーションはNT型よりも遥かに複雑になりうる。自己決定権への執着や集団行動との相性の悪さはNT型と共通するものの、職場はほどほどで、自分にとっての価値を他の場所に見出すという選択肢もありになってくるからだ。必ずしもキャリアの枠内とは限らないので、「進路」あるいは「生き方」といった単語が適切かもしれない。

・学校の先生

 NF型が好む業界の中で十分に食っていける最もわかりやすい職種かもしれない。NF型は教育との相性は良い。人間に関わる業界であるし、「未来」とか「可能性」といったものにダイレクトに関わることができる。それに学校教育で扱うテーマはN型のものがほとんどなので、NF型にとっては認知上の優位を発揮できるだろう。そういった性質を重視してか学校の先生は比較的教育内容に裁量があることが多く、その点でも満足度は高いかもしれない。また、学校の先生はジョブ型の資格業であるため、失業の心配はあまりないし、復帰も民間企業に比べればし易い。NF型にとってはこうした要素はかなり強みになる。

 教育がNF型と相性が良い理由を突き詰めていくと、教育が採算度外視で予算が突っ込まれる国家セクターの業界であるという事実に行き着く。NF型はビジネスとの相性があまり良くなく、どちらかというとパブリック要素の強い業界に魅力を感じることが多い。これはNT型もある程度共通する要素である。NF型にとって教育は純粋に教育を目的とする行為であり、金儲けの手段ではない。シビアな金勘定をせずに安定した収入が得られる教育の仕事はNF型にとってそこまで苦痛にはなりにくいだろう。

 ただし、この進路の難点は最近報道されているようにあまりにも学校の先生の業務量が多くなりすぎていることである。多い分の業務はどちらかと言うと指導ではなく「無駄な」書類仕事であるようだ。このようなブルシット系の業務はNF型の特性が生きる系統ではないため、この点は明確なデメリットになりうる。また、ブラック化にはN型の特性も影響している。N型は物質的な見返りにそこまで執着しないため、N型の性質が強い業界は長時間労働が常態化し易い。学校の先生の過労問題もやりがい重視の「スーパー先生」の存在がむしろ拍車を掛けているようにも思われる。

 なお、塾講師に関してはNF型のイメージはあまりない。向いてないことは無いだろうが。理由は「教科」に対する興味の方が優先されるからだろう。塾講師はNT型の方が明確に強い業界である。

・医者

 筆者は記事の中で何度も医学部最強論を展開しているが、これはNF型にも通用すると考えて良い。医者はNF型にとって親和性は高いだろう。医者の強みは進路選択の幅が広いことであり、これは自己決定権を重んじるNF型にとってかなりの強みになる。進路選択の決定が遅く、一人前になるまでに時間がかかることは「どこかの目標に向かっている自分」に対する満足度が高いNF型にとって魅力的に映るだろう。また医者は働き方の自由度が高く、やり方によっては趣味に生きることも不可能ではない。医者をやりながら趣味の世界で有名になっている人間もおり、NF型にとってはこうした生き方も選択肢として入りうるだろう。ドロップアウト耐性の強さから育児等で離職しても復帰可能である。

 医者は人間に関わる仕事であり、しかも相手の人生に対する影響力が大きい。患者から感謝されることも多いだろう。人に対する貢献を重んじるNF型にとってこうした人生に関わる項目に広範な裁量を持って携われることは大きなメリットになる。また、医者は業務の独立性が高く、例えば単身アフガニスタンで医療に携わったり、やりがい重視で離島の医者をやったりすることも可能である。こうしたキャリアはサラリーマンにはまず不可能なので、理想に燃えるNF型にとっては健全な進路選択の仕方だと思う。

 医者の難点は医者になるための難易度が非常に高い点と、その障壁をクリアするのに高度な数学や物理の学力が求められることである。この手の分野はNF型にとってそこまで親しみの湧く分野ではないため、相当の学力が無いと進路として選ぶのは難しい。なお、看護師のような他の医療関係職に関しては相性はそこまで悪くはないと思うが、ケア労働の性質が強くなるとSF型に方が強みを発揮するケースが多い。薬剤師に関しては転職のしやすさや働き方の自由度という点でNF型に強みがあるだろう。

 先ほどの教育と同様に医療は多額の公金が投入されている分野であり、資本主義色はあまり強くない。ここもNF型の居場所となる大きな要因である。

・メディア関係

 先述のカウンセラーと比べるとかなり荒っぽい風土ではあるが、メディア関係はNF型にとって有力な進路となりうるだろう。メディアという存在は「離れたところにいる人間の心を動かす」という点でNF型の特性に合致しており、一定程度の適性があるだろう。それこそnoteの運営などにもNF型は結構いるのではないかと思うし、noteインフルエンサーにも結構な割合で存在するだろう(〇〇な私の生き方を考える〜といった系統の投稿が多い気がする)。働く女性をテーマにした漫画が妙にメディア関係の職場が多いのも、NF型が多数存在していることと関係しているかもしれない。

 また、メディア関係は芸術系の技能を持った人間が能力を発揮しやすい分野でもある。美大でCG等を学んでいればテレビ番組の制作等では重宝されるだろう。こうしたクリエイティブな能力を発揮しやすいのがメディアなのである。メディアは絶えず変化し続けており、ルーチンワークにはなりにくい。これまた新規の情報を取り入れることを好むNF型にとって相性が良いだろう。またメディア系は医学部ほど高度な学力を要求されないので、この点でも選択がし易い。

 メディア系の弱みは教師や医師と違って「会社員」という働き方になることである。基本的には利益至上主義の資本主義社会の住人となることは間違いない。こうなると、市場経済や会社員としての制約が重くのしかかってくる。新卒一括採用や転職・復帰のしにくさが代表例だ。ブルシット・ジョブ問題も存在する。会社員の場合、待遇が良い大手の本社勤務ほどブルシット・ジョブが多く、末端のリアルワークは待遇が良くないことが多い。テレビ局を例に取るとテレビ局自体は版権管理や不動産収入に依存しており、肝心な番組作りは制作会社に丸投げであることもある。後者は非常にブラックで、しかも何の保証もない。独立することもできるが、やはり収入が非常に不安定で、ほとんどの人間は食っていけないだろう。

 NF型の苦難の一つは資本主義社会との相性の悪さにある。安定した収入を得ようとすればブルシット・ジョブになってしまうし、やりがいを追求しようとすればブラック低賃金か全く食えないという状況になってしまう。安定した収入とやりがいを両立しようとすればやはり教師や医師のような資本主義から隔離された業界に向かった方が良いかもしれない。例外としてNHKがあるが、この会社は後述するN型エリート組織の特性を併せ持っている。

・大学職員

 教育・医療・メディアの三大ジャンルはNF型にとって職場での達成志向を満たす上で向いている業界だと思う。ただし、NF型にとっては必ずしも職場に固執する必要はないだろう。本業はそれなりに安定しつつ、趣味や家庭に生きがいを見出すという生き方も可能であるし、むしろそちらの方が成功率が高いのではないかと思われる。昔は違ったかもしれないが、現代の日本社会ではファーストプレイスとサードプレイスの自由度はどんどん拡大しており、セカンドプレイスでの自己実現はコスパが悪いものへと変化しているとも言える。

 その中でも筆頭格として筆者が挙げたいのは大学職員である。大学職員は一応大学という「教育」に携わる仕事ではあるが、内容はどちらかと言うと総合職的であり、NF型にとってそこまで満足度の高い仕事内容ではないかもしれない。ただし、大学職員の良いところはホワイトであることと転勤が少ないところだ。これは本業で安定した収入を確保しつつ家庭や趣味を充実させるうえでかなりの強みになる。

 N型にとってのQOLは自己決定権が左右するといって過言ではないが、それを職場に求めなければならないわけではない。むしろ本業は収入の手段と割り切りつつ、他の場所で自分の可能性や自由度を模索して行く方が難易度が低いだろう。

・育児からの復帰(女性向け)

 今まで挙げた例と被るが、復帰や非常勤が容易な「手に職」系の仕事もNF型、特に女性に関してはおすすめの進路である。キャリアで苦難を抱えるNF型の女性の場合は、いっそのこと結婚して子供を生んでしまうのも手である。子供が生まれると心境は大きく変わるし、自分の代わりに「未来」を歩む存在が生まれてくるからだ。それに家庭関係は会社と違って自己決定権が多いため、ストレスを溜めにくいかもしれない。例えばJTCへの就職は22歳〜25歳と決まっているが、結婚適齢期は25〜35で、ここをはみ出ても就活ほど致命傷にはならない。この性質はあらゆる項目に及ぶと考えて良いだろう。筆者は会社生活に苦しむNF型の女性には基本的に出産を勧めている。NF型は達成志向が低いので、キャリアで遅れをとってもそこまで問題にはならないからだ。というか、JTCでの出世にこだわるNF型はいるのだろうか?

 ここで重要となるのは復帰可能性だ。最近は女性の社会進出が進んでいるし、女性にとってもキャリアの重要性は高まっている。それにNF型にとって「家庭だけ」となってしまうのも何だか閉塞感を感じるだろう。復帰の際に強みを発揮するのは医師や薬剤師など「手に職」系の仕事である。この点会社員は弱い。高学歴で大手に就職した女性であってもブランクが空いてしまうと良い職に巡り合うのは難しくなってしまうからだ。しかし、この点も最近は復帰がしやすくなっているらしい。女性登用の流れを考えれば復帰をしても職場での選択肢は狭まらない可能性もある。

 また、男女共に強く勧めたいのは育児休暇だ。最近はポリコレ等が強くなり、男女共に育児休暇を取ることにNOと言いにくい空気が出来上がっている。これはNF型にとって絶好の機会だ。NT型と違ってNF型は職場での自己実現に固執する必要はないので、むしろ育児の方がやりがいを感じるケースもあるだろう(ケア労働の性質が強いため、SF型程の優位はないが)。これは男性にとっても同様である。

・兼業主婦(女性向け)

 育休の延長線上となるが、いっそのこと主婦メインで考えるのも手である。ただし、最近の社会情勢を考えると専業主婦はリスクなので、兼業を考えたほうが良い。家庭と両立でき、夫の稼ぎをメインに妻の稼ぎをサブにするような働き方である。また、「依存先は複数あると良い」という考え方に乗っ取ると、職場という世界が一つある方がNF型にとっては健全かもしれない。

 最近の日本社会はファーストプレイスやサードプレイスの自由度は上昇しており、N型にとっては生きやすい状態になっている。主婦を例にとっても、一昔前はPTAや駐在妻に代表されるような同調圧力の強い環境であり、NF型にオススメの進路とは言えなかった。しかし、最近は仕事を持っている人間が増え、以前のような同調圧力は減少しつつある。無理してキャリアに固執せず、結婚して子育てに注力するというのもNF型にとっては良い進路かもしれない。しばしばNF型の中にはあまりにも考えすぎて反出生の方向に行く人がいるのだが、筆者としてはあまり賛同できない。やはり子供がいる人でそのことを後悔している人は少ないのだ。これは子供が出来損ないであっても変わらないようである。

・ホワイトなJTC

 今までの記事とは矛盾するようだが、NF型にあえてオススメしたいのはJTCである。というのも、NT型と違ってNF型は職場やその他の公的領域における達成にそこまで固執していないため、職場に安定を求めつつ、「生きがい」の場を家庭や趣味に求めると言った生き方も可能だからだ。というより日本社会の現在の流れを考えるとそちらの方が実入りが良いかもしれない。先述の通りセカンドプレイスにおける自由度や裁量権は減少しているのに対し、サードプレイスやファーストプレイスでの自由度や裁量権は拡大している兆しがあるからだ。

 職場での達成を控えめにするという割り切りさえできれば、JTCに所属するメリットは非常に大きい。まず第一に給料が高いし、社会的な信頼も厚い。福利厚生もかなり整っているし、倒産の心配はまずない。仮に倒産したとしても転職は比較的容易だろう。JTCが倒産するような状況は社会的にかなりの注目を浴びるだろうし、ある種の同情を引くこともあるからだ。ここまで恵まれていれば、JTCの強みをてこに家庭や趣味でやりたいことを拡大させるのは比較的容易だろう。NT型はともかく、NF型はこれで十分なことが多いはずだ。

 今まで挙げたNF型と親和性が高い業界は難点がある。だいたいどこも長時間労働で、業務量と給料が(美容外科医等を除けば)見合っていないことが多い。物質的な見返りに無頓着なN型の性質を反映しているのだろう。N型の好むアクティビティは時間集約的なことが多く、長時間労働を嫌がっているようでは職業的充実は難しいようだろう。それに後述するがN型が多い環境は独特のキツさがあり、そこに幻滅してしまうというパターンも見られる。

 一方、JTCの場合は最近はパワハラ等に厳しくなっているし、長時間労働も是正されている。在宅勤務等も可能だ。こうなると、JTCで安定した地位と給料を享受しつつ、趣味や副業で自己実現した方が賢い選択肢にも思えてくる。また、育休や休職ができるのも良い。これは被用者の特権と言ってもよく、フリーランスや自営業には不可能な方法だ。JTCの場合は企業体力があるので育休や休職で人手が足りなくなってもそこまで問題にはなりにくい。したがって休むことに罪悪感を感じる必要はまったくない。「代わりがいくらでもいる」ということはメリットにもなりうるのである。

 人間関係面でのリスクがNF型にとっての懸念になるだろうが、この点はうまく考えれば軽減可能である。パワハラ等に厳しくなっているという昨今の情勢もあるし、JTCは人事異動が激しく、仮に特定の人物と関係が悪化しても待っていればすぐに異動してしまう。

 JTCの場合は「向かない業界・社風」の会社を避ければむしろNF型にとっては心地の良い場所にもなりうるのではないかと思う。N型の人生にとって自己決定権は重要だが、それを職場で行使する必要はないのだ。

・カウンセラーなど心理系

 心理系の業界は明確にNF型が多いと思う。相手の心理を深く読み取るというNF型の特性がそのまま活かせるからだ。

 心理系の難点としては収入が低いというものがある。これは特に男性にとって致命傷となりうる。学力が高ければなるべく精神科医を目指した方が吉である。また、NF型の中にはあまりにも相手に共感してしまうタイプもおり、このタイプはカウンセラー系の職種は辞めたほうが良いだろう。この場合は先述の医療系に関しても適性はないだろう。

・学芸員など

 先ほどのカウンセラーと並んでNFがメインを占める数少ない業界である。MBTI考察をしている上で気付くのだが、NT型・ST型・SF型はそれぞれ密集している界隈が明確なのに対し、NF型が密集している業界というのは多くない。どちらかというと、NF型は他のタイプに混ざりながら社会の色々なところで生きていると言ったほうが妥当のようである。カウンセラーや学芸員のような業界は数少ないNF型の業界だろう。

 NF型がメインの業界の特徴は「あまり儲からない」ことである。人文や芸術は市場経済的な生産性に乏しいのだ。これらの業界であっても「食える」水準まで達成志向を強めるのはNT型だったりもする。NF型の大多数はどちらかというとSF型やNT型といった他のタイプの中で居場所を確立している印象だ。

 特に男性の場合は注意した方が良いだろう。男性の場合、収入面の低さはそのまま家庭生活の困難に直結するからだ。不公平かもしれないが、仕方がない。筆者の周囲の中高年を見ていても、年収の減少は離婚に直結することが多いようだ。

まとめ

 今回はNF型に適しているとされる進路について考えた。ここで挙げた以外にも様々な進路は考えられるし、NF型はそういったものを模索するもの得意だろう。

 NF型のキャリアは大きく分けて3パターンである。
①やりがい重視でハードな仕事(教師や医師など)
②やりがい重視であまり食えない仕事(学芸員など)
③仕事は割り切りつつ、職業的達成以外の方面で生きがいを見出す(ホワイトなJTCなど)

 このどれが正解かはその人の選択とめぐり合わせ次第だろう。筆者の周囲を見ていると圧倒的に③が多く、成功率も高いように見える。やはり安定して高収入が得られるという事実は大きく、仕事はつまらなくても仕事を土台にして他の方向に生きがいを見出す助けになるのだ。

 NF型の場合は達成ではなく承認が最終的な目的となる事が多い。この承認は単純な承認欲求であることもあるが、居場所や家庭といった多様な形態を取りうる。この承認には自分自身も含まれるだろう。自分自身で自分を承認してあげられるか、それがNF型にとって何よりも重要に思える。仮に達成に関して挫折したとしても、そこに至るまでの自分のことが褒めてあげられるようだったら、NF型にとっては成功なのだ。その点ではむしろNT型に比べて場所を選ばないとも言えるだろう。

 NF型にとって重要なのはむしろ地雷を避けることかもしれない。NF型の自由な生き方が難しくなってしまう業界だ。こうした業界に進んだ場合、NF型は終わりなきストレスで消耗したり、全く意欲がわかないまま傷ついたり、極めて息苦しい人生観に染め上げられてしまう。次回の記事ではNF型が避けるべきキャリアについての考察を書いてみたいと思う。

 


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