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猛暑の中で思い出した、カラ破りの瞬間。

暑い...。

もう9月の半ばたっていうのに、本日のおパリは34度...。

一度しまいかけた超夏服も、また引っ張り出して着なくては。

太陽くんも元気バリバリで、光と熱が肌にジリジリと攻めてくる。

この感覚を得ると、反射的に

「あー、海に行きたいなぁ。」思う。


日本にいた頃は、日焼け防止のために完全装備で夏に挑み、美白の化粧品やサロンにあんなにお金も時間もつぎ込んだにも関わらず、

今となっては、火傷をしない程度に気をつけるぐらいの「日焼け予防」しかしなくなってしまった。

その昔箱入り娘だった私のお肌ちゃんは、今は泣いてるかもしれない。

でも海辺で太陽に肌を晒す心地よさを知ってしまって以来、

あのなんとも言えない日差しの心地よさには、抗えないのだ。


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あれはまだフランスに来たばかりの夏だったと思う。

私は旦那(前夫)と、地中海とその周辺を夏のバカンスで訪れていた。

激混みの時期をあえてちょっとずらして行ったにも関わらず、老若男女問わずたくさんの人が、目の覚めるような青い海とキラッキラの太陽を満喫している。

私達も自分たちの場所を整えてから、水着姿になって砂浜に寝転んだ。

パリの雰囲気とはまた違った、南フランスのバカンスの空気に

上機嫌くつろいでいたその時、何か見慣れないものが、視界に入る。


「....?!?!?!」


海に入っている人たちの中に、トップレスの方々が。。。


えっ... ! よくみたら、あっちにもこっちにもいる?!


海から上がっても「フツーですけど?」な顔で堂々としたまま、

ユッサユッサと揺らしながら自分の場所まで歩いて戻り、その後ゴロンと砂に寝転がって休んでいる...。


私が不意打ちくらって唖然としていたら、今度は下の水着もおろせるギリまでおろして日光にてている。

しかもこの現象、やんちゃな若者だけかと思ったら、

お年寄りも若い人も、太ってても痩せてても、そういったこと関係なく、あの人もこの人も限りなくスッポンポンで、

出してはいけない部分だけ何か手ごろなもので隠し、それ以外は何もない状態でちょっと太陽を全身浴びている。

「ぎゃー!!」と私は心の中で叫び、

隣にいる彼(前夫)にこの緊急事態を伝えるが、「ああ、そういう人もいるよね。」と、なんとも薄いリアクションで、私は肩透かしを喰らう。


夏のバカンスで綺麗に日焼けした肌を、自慢げに見せながら歩くパリ人の生態を垣間見た気がした。

「洋服や水着の跡がある日焼けは醜い!絶対あり得ない!」と顔をしかめながら熱弁していた同僚を思い出す。

「そういうことか...!」

なんとなく頭の中の点がつながって線になった気がした。


それがわかると、日光に肌を満遍なく晒している間の彼らの、

「フフン、私は綺麗に肌を焼いてみせるわ!(ドヤ)」的な表情の意味がわかる。

私は新しい発見に感心し、ゆっくり自分の時間を楽しむことにして寝転がった。

確かに太陽が肌を刺す感じが心地いい。

日焼けを怖がっていたから、今まであまり感じてこなかった感触だ。


しばらくすると、私の肌に薄らと日焼けで水着の跡がついていた。

確かにこれってかなりマヌケだ。夏服来た時にこんな跡が見えるのやだなーと思った瞬間、

「私もトップレスやってみようかな?!」と思いたち、

それでもドキドキするから

「私、やります!!」とわざわざ旦那(前夫)に宣言までして、恐る恐る水着を取る。


「うわー...しまった...。」


水着をとったもの、恥ずかしさで背中は丸くなってなんとなく腕で胸元を隠してしまうし、なんだか顔を上げられない。

このままゴロンと仰向けになるまでがゴールだ!と勝手に決めていたので、

なんとか勇気を出して顔をあげてみる。


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そこにある世界は、私が水着を取る前と変化は何もないままだった。


そうなのだ。

私がトップレスになろうがならまいが、世界の皆は誰も気にしちゃいない。

自分一人で恥ずかしがってもじもじしてる方が恥ずかしいと思った。

そんなの、ただの自意識過剰じゃないか。


私は子供の頃から内気で、人一倍他人の目が気になった。

気にすれば気にするほど体も心も強張って,

ますますおかしなことしてしまったり、失敗してしまったりで、

さらに縮こまってしまう悪循環だった。


みんなそれぞれ自分自身に興味ありありで忙しいし、自分が思うほど他人は自分のことは見ていない。

何かが見えたところで、「ふーん。そうなんだ。」っていう程度で、

その次の瞬間、もう他のこと考えているだろう。

...考えてみたら、私だってそうだ。

他人の事なんて、気にしてる暇ないよな。

そう気づいたら、一人で他人の目を一生懸命に気にしてることが急にバカバカしくなり、私はトップレスのままゴロンと砂浜に寝そべった。


太陽の光を全身で受け、そこに海の風が肌をなでる解放感は想像以上だった。

こんな気分がいいものだったのかぁ。

先ほどの「フフン、私は綺麗に肌を焼いてみせるわ!(ドヤ)」的な表情の後に、

「あ”ー、それにしても気持ちいいわ。極楽じゃー!」っていうのがついてくるんだね?きっと。


ふと横を見ると、年配のカップルがいた。

綺麗な日焼けに命をかけているらしきマダムが、旦那さん(と思われる)に

彼女の背中にムラ無くクリームを綺麗に塗るよう、細かく指示を出している。

彼女に言われるまま、

暑い中汗をかきながら、一生懸命クリームを塗るムッシューの姿が何とも可愛く、微笑ましい。

「んー、なるほどね!!」

私も旦那(くどいけど今は前夫)にクリームを渡してみた。


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