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韓国博物館#04.「ハプスブルク600年、魅惑の傑作」~西洋画・西洋史好き必見の特別展~
まさか韓国でこれらの作品に出逢えるとは――。
ソウル二村(이촌)にある国立中央博物館では現在、韓国・オーストリア友好130周年記念の特別展「ハプスブルク600年、魅惑の傑作」を開催しています。期間は10月25日から2023年3月1日までですが、とにかく待ち切れなかった私は早速2日目に観覧してきました。
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当日は水曜日でした。韓国では毎月の最終水曜日を「文化の日(문화가 있는 날)」とし、全国の主要博物館・美術館の有料展(※)が割引または無料になるほか、開場時間も延長されます。おかげで、その日のチケットは50%オフ。ただしその分、人は多かった気がします。
※国立の博物館・美術館の常設展は基本的に無料です。また対象となる文化施設は公演やスポーツ観戦、文化・歴史遺跡なども含まれます。
≪特別展ごあいさつ≫
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中世から現代にいたるまで、ヨーロッパでもっとも影響力のあった王家はどこでしょうか。
ハプスブルク家は1273年に神聖ローマ帝国の皇帝に選出されたルドルフ1世を始祖として歴史の表舞台に躍り出ました。そして1918年、第一世界大戦後に皇帝の座を退いたカール1世に至るまで約600年以上、ヨーロッパの政治、経済、芸術の中心にありました。
ハプルグルク家は傑出した芸術家たちの後援者としても知られています。名前を聞いただけでも胸が躍るような偉大な芸術家たちに対するこうした庇護は、ハプスブルク家の人々の芸術への愛情と、芸術品の蒐集に対する哲学によるものです。
特別展「ハプスブルク600年、魅惑の傑作」では、ウィーン美術史美術館が所蔵するハプスブルク家の蒐集品96点を紹介します。本展ではほかにも、1892年の韓国とオーストリアの国交樹立に際して高宗がフランツ・ヨーゼフ1世に贈った品も公開されます。これは19世紀末に朝鮮とオーストリアが交わした友情の証で、130年ぶりに韓国へ戻ってきました。
その600年の魅惑の世界へ皆さんをご招待します。
<特別展の構成>
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特別展ではウィーン美術史博物館(Kunsthistorisches Museum Wien)協力のもと15~20世紀までにハプスブルク家が蒐集したルネサンス、バロック芸術を代表する絵画や工芸品、鎧、タペストリーなど96点が展示されます。
特にマクシミリアン1世、ルドルフ2世、フェルディナント2世大公、フェリペ4世、レオポルト・ヴィルヘルム大公、マリア・テレジア、フランツ・ヨーゼフ1世によって蒐集されたこれら傑作は、以下の5部構成で紹介されています。
1.皇帝の趣向を盛り込む(황제의 취향을 담다)
プラハの芸術の部屋(프라하의 예술의 방)
2.最初の博物館を構える(최초의 박물관을 꾸미다)
チロルのアンブラス城(티롤의 암브라스 성)
■ テーマ(테마)
鎧はファッション(갑옷은 패션이다)
3.魅力の名画を集める(매혹의 명화를 모으다)
芸術の都ウィーン(예술의 도시 빈)
4.大衆へお披露目(대중에게 선보이다)
宮廷を博物館に(궁전을 박물관으로)
5.傑作の集大成(걸작을 집대성하다)
ウィーン美術史博物館(빈미술사박물관)
エピローグ(에필로그)
より身近に、オーストリアに伝わった朝鮮の心(더 가까이, 오스트리아에 전한 조선의 마음)
◆ベラスケス
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『白いドレスのマルガリータ王女』(1656年)
本展に於ける一番の見所は、やはりディエゴ・ベラスケス作『白いドレスのマルガリータ王女』でしょう。広告用ポスターにもなっている作品です。
バロック絵画の巨匠ベラスケスは宮廷画家としてスペイン王フェリペ4世に仕えました。本展ではマルガリータ王女のほか、フェリペ4世や彼の最初の王妃であるイサベル・デ・ボルボンの肖像画もありました。
ベラスケスの絵は、見れば見るほど魔法のようです。近くで見るとタッチの粗さが確認できるのですが、そこから一歩一歩下がっていくと、ある時点から突如として本物のような質感が現れるのです。触ってもいないのに確かに感じるドレス生地の肌触り。ボタンやリボンの装飾品一つひとつが高貴に輝き始めます。そして人物の表情からは、内面が浮かび上がってくるようです。
◆ルーベンス
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『フィレモンとバウキスの家を訪れたユピテルとマーキュリー』(1620-1625年頃)
153.5cm×187cm
ベラスケスの作品だけでも大満足なのに、ルーベンスの作品も数点来韓していました。ルーベンスは、ベラスケスより22歳年上のバロック絵画の巨匠です。晩年スペインに滞在していた際は、芸術家としても人間としてもベラスケスに大きな影響を与えたと言われています。
『フィレモンとバウキスの家を訪れたユピテルとマーキュリー』の大きさは153.5cm×187cmにもなります。この大きな絵画を堪能するため、ソファーを置いた専用の小部屋が設けられていました。薄暗い部屋でじっくりと観るルーベンス作品は圧巻です。名画を前にして過ごすその空間は贅沢であり、憩いでした。
◆その他の名画
それ以外にも世界的名画が多数来ていました。ここではいくつか抜粋してご紹介したいと思います。
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「白いサテンのパニエ入りドレスのマリー・アントワネット」(1778)
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『薄い青のドレスの皇妃エリザベト』(1858)
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『ナポレオン1世』(1805年以降)
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『盗人と製鉄所がある山の風景(Mountain Landscape with Robbers and a Bloomers)』(1620s)
209cm×286cm
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『青い花瓶の中の花束』(1608)
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(Circle of Johannes Leemans)
『狩りの道具』(1660)
◆工芸品
絵画以外の芸術作品も来韓しています。以下、特に印象に残った作品です。
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展示室では誰もが抱くだろう「これを着て素早く動くことは可能なのか?」の疑問に答える動画が流れていました。鎧の装着方法から可動域まで、思った以上にスムーズに動き回っているのが印象的でした。
それにしても・・・この鎧を見てC-3POを思い出すのは私だけでしょうか。
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ユディトとホロフェルネスの話が彫られた洗面器です。矢印の箇所に、ユディトがホロフェネスの首を斬る場面があります。
◆130年ぶりの帰国
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1894年に朝鮮とオーストリア=ハンガリー帝国は修好通商条約を締結しました。その際に記念として朝鮮王の高宗がフランツ・ヨーゼフ1世に贈ったのが、この鎧と兜です。本特別展では130年ぶりに韓国に帰国しました。
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◆展示を100倍楽しむ方法
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特別展に行く二日前のこと、偶然にも教保文庫(교보문고)でこちらの本を見掛け、購入しました。ハプスブルク家の歴史と展示内容が分かりやすく解説してあり、特に「必ず見るべき(Must See)作品20選」は予習に持ってこいです。一般向けガイドブックなので使われている韓国語も難しくなく、学習中の方にもおすすめです。
また、マニア層向けの3 Days 観覧ポイントもありました。本展の担当者パク・ジンイル(박진일)学術研究官曰く、1日目は歴史的視点から作品を楽しみ、2日目は作家別に絵画作品を堪能し、ラスト3日目は華麗な工芸品と鎧を中心に味わうのがおすすめとのことです。
ちなみに、ハプスブルク家といえばしゃくれた顎(正式には下顎前突症)ですよね。しゃくれは韓国語で 주걱턱(チュゴットッ)といいます。주걱(チュゴッ) が「杓子、しゃもじ」、턱(トッ)が「顎」です。つまり杓子のような顎という意味ですね。気になったので、本を開いて真っ先に探した単語です。またハプスブルク・ジョー(Habsburg jaw)はそのまま直訳して「합스부르크 턱(ハプスブルク トッ)」と書かれていました。
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◆◆◆
≪韓国国立博物館:来館情報≫
最寄り駅:地下鉄4号線二村駅(이촌역)
観覧時間:
月・火・木・金・日:10:00~18:00
水・土:10:00~21:00
※休館日は1月1日、 旧正月(旧暦1月1日)、秋夕(旧暦8月15日)
入場料:
・成人(24~60歳)17,500ウォン
・青少年(13~23歳)15,000ウォン
・こども(7~12歳)10,000ウォン
・幼児(4~6歳)6,000ウォン
・敬老優待(65歳以上)8,000ウォン
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