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#135 ゼロポジションという考え方

野球の投球動作、テニスのサーブ、
バレーボールのスパイクなどに
代表されるオーバーヘッドスポーツでは、
肩関節のゼロポジション
大事であると言われております。

施術者、指導者、トレーナー、
コンディショニングコーチなどの方々には
基本的な考え方、知識かもしれませんが、
漠然と理解しておられる方も
いらっしゃるかもしれませんので
まずは肩甲平面ゼロポジション
考え方を確認していきたいと思います。

肩関節(肩甲上腕関節)は、
両肩を結んだ線よりも30~40°前方に
傾いていると言われております。

別の言い方をしますと、
肩甲骨は丸みのある
胸郭の表面に乗っておりまして
前額面に対して30~40°の角度があります。

この位置で、腕を下から上まで
動かしていきますと1つの平面ができます。

この平面を肩甲平面(Scapular plane)
と呼ばれます。

この位置で、肩関節の挙上や下制の動作を
行っていきますと
関節包や腱板といわれる筋肉などに
捻じれや歪みを発生させず、
負担が少ないポジションとなっております。

ゼロポジションとは、
肩甲平面上でかつ上腕骨と肩甲棘が
真っ直ぐ一直線になる肢位で
肩甲骨には後面に肩甲棘と呼ばれる
出っ張り部分が存在します。

この棘と上腕骨は腕を挙げていくいくにつれて運動軸が一致するポジションがあり
そのポイントをゼロポジション
呼んでいます。

個人差はありますが約140度程度に挙上したところに存在する言われております。

ゼロと表現されるには2つの意味があると
言われております。

①肩甲骨の軸と上腕骨の軸とが一直線上で完全に一致するため(挙上約140°にて)
②ゼロポジションでは上腕骨の内旋・外旋の回旋の力が加わらないため(力がゼロ)

ゼロポジションは、特定の筋肉が
収縮しているのではなく、
肩関節が挙上しているにもかかわらず
上腕骨が非常に安定している
ポジションになっております。

野球の投球動作、テニスのサーブ、
バレーボールのスパイクなどの
オーバーヘッド動作中に腕が
肩甲平面上にございますと、
肩峰下の空間が拡大しまして、関
節包と靭帯の複合組織や腱に対しまして
ストレスを減らし、正しい肩甲上腕リズムが獲得できるということが
多くの論文で発表されております。

オーバーヘッドスポーツでは、
肩甲平面上でオーバーヘッド動作を行い、
動作時にゼロポジションを
自然に取れるようになっていくことが
オーバーヘッドスポーツで多くみられます
肩関節のケガ、障害のリスクを
軽減させるひとつの方向性に
なるのではないかと思います。

ゼロポジションを指導するときの
伝え方としましては
膝立ちで脱力した状態から、
両手を頭の後ろで組むように
手を置きましてその組んだ手を
そのまま伸ばしていきますと、
肩甲平面上のゼロポジション付近に
自然になってきます。

ゼロポジションは
基本的な考え方になりまして、
この形を外さないことが大切になります。

ただ、スポーツ動作は、
身体全体の連動性によって
行われていきますので、
ゼロポジションだけでなく
股関節の使い方が上手くいかなくなりますと
肩関節の連動性も
乱れてくることもありますので、
部分と全体のバランスを見ることが
重要となります。