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#137 人体最強の腱 アキレス腱

季節が巡り、動きやすい季節に
なってまいりましたが
学生の部活動や大人のスポーツにおいて
意外と多く発生するケガに
アキレス腱損傷があります。

アキレス腱とは、
下腿三頭筋の踵骨側の腱をいい、
人体で最強の腱と言われております。

腱の長さは平均20〜25cmとなり、
断面積は中央部で約70〜80m㎡であり、
1m㎡あたり60〜100N
(換算すると約6〜10kg)の張力に
耐えることができます。

約1トンの牽引力にも耐えるような
強固な構造をしております。

アキレス腱の付着部には腱の摩耗を防止する2つの滑液包が存在します。

腱の前方には踵骨後部滑液包
後方にはアキレス腱皮下滑液包
2つがございます。

アキレス腱は細胞や血管に
乏しい組織であるため、
腱の付着部から2~6cm
近位部分に関しましては、
筋腱移行部や踵骨付着部に
比較して血流が少ないため、
腱の変性が起こりやすく
腱断裂の好発部位と言われております。

アキレス腱はパラテノンという
膜状の組織に包まれています。

パラテノンはアキレス腱の代謝を助けたり、保護したりする役割があります。

アキレス腱の断裂は、
そう多く起きるケガではないのですが
アキレス腱、周囲にまつわる炎症は
しばしば起きやすくなっています。

アキレス腱の炎症は痛む場所によって、
3つに分けられます。

①アキレス腱炎
②アキレス腱周囲炎
③アキレス腱滑液包炎

①アキレス腱炎
アキレス腱自体に痛みがあり、
炎症を起こしている状態になります。

②アキレス腱周囲炎
アキレス腱の周りを覆っているパラテノンが炎症を起こすことで痛みが生じます。

③アキレス腱滑液包炎
アキレス腱の後方にある2つの滑液包が、
腱と骨との過度な摩擦により
炎症を起こすことで痛みが生じます。

アキレス腱の炎症の原因には
・使い過ぎ(オーバーワーク)
・運動後のクールダウン不足
・柔軟性の低下
・骨盤の歪み
・靴の不適合(踵部の高さ不足、
柔軟性不足など)
・急な運動、練習メニュー変更

などが挙げられます。

炎症が起きるということはアキレス腱などに微細な損傷が起きています。

微細なアキレス腱の傷は再生する前に
運動を再開してしまうと損傷を繰り返し、
瘢痕化といって硬い組織に
置き換わってしまうことがございます。

すると、滑らかさが失われた硬いアキレス腱になってしまう場合がありますので、
無理に運動を継続することは避けることを
推奨します。

アキレス腱は人体で最強の腱と
言われておりますが、
断裂や炎症がひとたび起きてしまいますと
治りにくかったり、日常生活、スポーツなどに多大な影響を与えることになりますので、
ふくらはぎの筋肉をはじめとした
下半身の筋肉のケアや
そもそもの身体の使い方の見直しが
必要になる方が多いかと思います。

ご質問などございましたら、
お気軽にお問い合わせください。