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面接で強い印象を残す「STARメソッド」の使い方

採用面接の場面で自分がそのポジションに相応しい人材であることをアピールしようとするあまり、あらゆる材料を詰め込み過ぎたり、質問に直接関係のないことまで答えたりした経験のある求職者は、少なくないはずです。

私たちはこれまで、外資系の戦略コンサルティングファームでの面接官や事業会社の採用活動の支援、求職者のキャリア支援等に携わってきましたが、優秀な候補者の方でも、やり取りの中で何を伝えるべきか混乱されるケースを数多く経験してきました。

面接でのやり取りはとても難しい部分がありますが、求職者は面接官からの質問に対して建設的に、かつ関心を寄せてもらえるように答えることが求められます。
そこで有効なのがSTARメソッドです。
STARメソッドは、履歴書などに記載されている過去の経験に対して質問を投げかけ、深掘りをしていくコンピテンシー面接において有効です

本記事では、STARメソッドの使い方を紹介したいと思います。

STARメソッドとは

仮定の状況における最適解を求めるケース面接が主となる面接もありますが、多くの企業において、候補者の過去の行動に基づき求める人材かどうか判断するコンピテンシー面接を取り入れています。
STAR メソッドはコンピテンシー面接に特に効果的です。
STAR メソッドは、面接官に聞かれたことに適切な回答を出しつつ、過去の課題を克服して成功したことをアピールするのに効果的なフレームワークです

「STAR」は、Situation(状況)、Task(課題)、Action(行動)、Results(結果)の頭文字を取ったものです。

  • 状況(Situation):その時の状況や課題に関する背景は何か?

  • 課題(Task):その状況にある課題は何か?

  • 行動(Action):その課題をどのように克服したか?

  • 結果(Result):その行動によって、どの様な結果を実現できたか?

この様にSTAR メソッドはシンプルなフレームワークですが、もう一歩踏み込み、実用的なヒントを紹介したいと思います。

STARメソッドの使い方(基礎と応用)

状況(Situation)

基礎
仕事を遂行したとき、または仕事で課題に直面したときの状況を説明してください。
これは、過去に行ったことの一般的な説明ではなく、特定のイベントまたは状況であると有効です。
曖昧すぎたり、不必要な詳細を提供したりすることは避けましょう。

応用
状況の戦略的な影響を詳しく述べます。
業界のトレンド、競合やステークホルダーの動き、組織内の課題等が及ぼす広範な影響と複雑な力関係について説明できると効果的です。

課題(Task)

基礎
ある状況下で、解決する必要がある問題や達成する必要のある目標を説明します。
その際、自分の責任が何だったのか、何を期待されていたのかを強調すると有効です。

応用
対応する課題や目指す目標の組織にとってのその位置づけ、会社の戦略における潜在的な影響や複雑性を構造的に整理すると良いでしょう。

行動(Action)

基礎
課題に対処するためにとった行動を説明します。自分自身が何をしたかに焦点を当てましょう。
ここでは詳細が重要なので、一般的すぎる表現は避ける必要があります。
なぜその行動をとったのか、自分自身は何をして、あなたのチームは何をしたのかを説明しましょう。

応用
次の観点も考慮できるとより良いものになるでしょう。
戦略的なインパクト:自分の行動は広範なビジネス戦略とどのように一致し、または影響を与えたか、長期的な価値創造にどのように貢献したかを明確にすると有効です。
回復力と適応性:回復力と適応性に焦点を当て、重大な課題や失敗を乗り越えた状況を強調します。どのようにして、挫折を学習の機会や戦略の転換に変えたかを説明できると良いでしょう。
リーダーシップ:タスクを実行しただけでなく、プロジェクトや組織の考え方や戦略を形作った事例がより良いでしょう。
協力的な影響力:単にチームのリーダーシップを発揮するのではなく、特にマトリックス型組織において、部門を越えたチームや地理を越えたチームにどのような影響を与えたかを強調します。多様な利害関係者間のコラボレーションと合意をどのように促進しましたか等の論点が考えられます。

結果(Result)

基礎
達成した結果や学んだことなど、自分の行動の結果を共有します。
どんなインパクトがあったか、数字や関係していた人を絡めて、具体的な結果を説明しましょう。
そして、ここで重要なのはビジネスの観点からの説明が求められるということです。どの様な職業についているかに関わらず、ビジネスがどの様にして利益を生んでいるのか、明確な理解を踏まえた説明が必要です。
参考例になりますが、以下の様なビジネスの論点について、初対面の人が理解できる説明力を身に着けたうえで、面接の場で「結果(Result)」を伝えられると良いでしょう。
・どの様な仕組みで利益が生まれているか?
・どの様なコストがかかっているか?
・どの様なペースで成長しているか?
・市場の傾向はどの様に変化しているか? 等

応用
即時的な結果だけでなく、長期的な戦略的影響も強調する形で結果を定量化できると良いでしょう。
具体的には自分の行動が、組織の方向性、市場での地位、業界標準にどの様な影響を与えたか等を説明できると効果的です。

それぞれのストーリー

どの様にストーリーを話すかは様々な要因によって変わるため、その時々で最適な受け答えをすることを心掛けて頂きたいと思います。
同じ経験を話す場合も、状況、課題、行動、結果それぞれの内容やボリュームは変わってきます。
応募している会社、面接のステージ、面接官、書類から想像される自分の印象、前の面接の内容等、客観的に自分の状況を捉え、面接に臨めると良いのではないでしょうか。

Top Image : Christina @ wocintechchat.com