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【ことば】 言語から読み解く音楽の世界〜音階

言葉は、その国や文化や、意識を表すと思っています
だから言葉を知ることは、相手を知ることだと、思うし、
現地に行かずして触れられる、身近で生きた文化のひとつだと思っています


今日は音階のおはなし。

音階は
音楽を学ぶすべての人にとっての基礎です

おとのかいだん と教わったひとも多いのでは?
私も 初めての方にはそのようにお伝えします

でも、昔 オーケストラで弾いていたときに
某先生から教わったのです
「音階を、いわゆる"階段"として認識してしまうと、
音楽の世界感ととズレが生じることがある」と

ベートーヴェンのエグモント序曲を、弾いていた時でした

「ドイツ語で音階って、なんていうか知ってる?」

ドイツ語で音階は、Tonleiter
Ton  Leiter
音の 梯子 

「彼らにとって、音階は、前進しながら登る階段ではなく、
手足に力を込めて、真上に登っていくものなんだ」

確かに、ドイツの音楽の、
攻撃的な強さとか重々しさとかでは言い表せない、
独特の、優雅な力強さは
そんなところから来ているのかな、と
深く納得しました
(弾いていたのがエグモント序曲ってのが、また、ですが)

言葉はそこに生きる人たちの価値観や感覚を、
時に、明確に表現することがあります


ちなみに

イタリア語で、音階は
sclala musicale

私の勝手な感覚でですが、イタリア語は
ラテン語の雰囲気や文化を色濃く継承していると思っています
ほんとに勝手に

実際イタリア語でも、辞書を引くと出てきますが
あえて語源 ラテン語でscala を引くと
「はかる」こと、「距離を測るために設けられたマーク」、「比例」
などが出てきます
(もちろん、そこから派生して梯子、階段の意味も持ち始めたりしているようです)

ラテン語圏の文化を引き継いだイタリアな音楽は(なんども言いますが勝手なイメージ)
音階に上下する重力はいらないのかもしれません

美しいフレージング感が際立つように思います

一方英語では
musical scale

scaleも字から感じ取れるように、語源はラテン語の「はかり」からきている
ただ、現代我々が使うscaleは 辞書を引くと最初に出てくる説明文の通り、

規模

音の並び方ひとつひとつというより、
音階の示す、調性そのものを俯瞰して見ている雰囲気を感じます

英語圏の人たちの音楽で音階を使うときは、
積み上げていくものや、メロディックに演奏するというよりも
ゴールである主和音に向かうエネルギーだったり、
その曲の雰囲気や目的を示すため、ということを意識すると演奏しやすくなるのかしら…

ロシア語はまずキリル文字を読むところから勉強しないといけないので、
今回言及するのはやめましょう…


こうやって音楽をとらえていくのは
わたしにとって とても楽しい作業です

今後もこういう発見を皆さんとシェアしていけたらと思っています

ではまた


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