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2022年末の備忘録-プレデターリーグって自分にとって何だったんだ-

2022年が終わろうとしている。前回noteを書いたのはもういつだったかも忘れるぐらい、自分は文章を書いていない。沢山の方がそれぞれに想いを書き綴られている中、年一でも、来年のそして未来の自分へ書き残しておこうと思いこうして書いています。もしも、誰かのお役に立てたり、共感していただけることがあれば嬉しいです。プレデターリーグを振り返る稚拙なnoteです。

今年、自分のハイライトとしては、やはりThe Asia Pacific Predator League 2022 Grand Finals (11/11 - 11/13 東京開催のeスポーツ大会) だったと思う。話し出せば軽く10万文字ぐらいかけると思うので、まとめていきたい。

始まり

この日本開催プロジェクトは、最近ちまたで認知され始めた、eスポーツ元年2018年の翌年、2019年からスタートしたものだ。あまり詳しくは書けないけど、決勝開催国は毎年立候補で選ばれている。立候補した国及び地域がプレゼン(オリンピックのようなアピール・招致合戦) を行い、市場規模、成長性、ROI、その他様々な要因が分析され決勝開催国が決定されるのが、プレデターリーグ グランドファイナルズ (Predator League Grand Finals)

2019 年タイの決勝に向け始めて行った日本予選 2018年12月 Predator League 2019 Japan Roundの放送スタジオから。すべてがミニマム。大きな夢への始まりだった。

日本開催は奇跡のようなものだ。と最近感じる。

2019年当時、国内のeスポーツ自体は未成熟の中、国際大会決勝を日本に誘致しようという今から思えば体が震えるようなことを超真面目に考え、どうすれば社内コンペに勝利できるか?を当時のRIZeST (現、Wellplayed・RIZeST)さんと考えた。ゲーミングパソコンの市場規模では圧倒的に不利。eスポーツ市場規模でも圧倒的に不利。日本現地法人のリソースも圧倒的に不利。かかるであろう予算規模面でも圧倒的に(圧倒的に!) 超不利。ない!ない!ない!ない!ない!のうーん!な状況で企画書を作成する段階から勝てる見込みが非常に低い中、やる気と情熱だけには自信があったのを覚えている。チャレンジしかなかったと思う。

超現実的なお話をすると、なぜ国際大会が日本に来ないのか?投資に対してリターンが見込めないから。日本チームの存在感が響いていないから。最近決まった来年の大型大会だって、裏を返せば日本で開催すれば、もっと売れるという計算がどこかに絶対にあり、それを導いた日本チームの頑張りがそこに絶対あったから。残念だけど、現実大会を開くには沢山のお金が必要になるんです。コミュニティ大会を除き、回収の目途がなく(もしくはそれに代わる意義) 大会を開くことが困難な事はお仕事している方ならわかっていただけると思う。

そんななか僕らが企画のセールスポイントとしてあげた点が下記。

①日本らしさ(和)の精神、おもてなし文化、また開催国 (日本)文化の強調

②G7やG20に属していながら、eスポーツ後進国である事実(伸びしろ) 

③時間に正確な国、品質にこだわる国(日本、ドイツが世界①②)

当時の日本esportsの現状では、コンペ国(インド、マレーシア、ベトナム)に勝てる見込みがなかった(誘致できる可能性が低かった)ので、未来を強調し夢を語り、1000%盛り盛りにしたプレゼンを行い、多くの誰もができなことを日本でやることに価値(意義)があること、パイオニアとして挑戦したいことを力説した。取れたらその後の事はそれから考えよう精神でまずチャンスを取りに行ったんです。一つ幸運だったのは、アジア・パシフィック各国において、日本が行ってみたい国 #1だったという事 。観光立国であるという事実が、実は大きな支えになっていた。最終プレゼン前2週間ぐらい前から、各国の担当に内密に連絡を取り、ロビー活動を行い(誓って賄賂は渡していない)、各国内部から経営層への働きかけを行ったのを覚えています。結果は勝利!決まったという話を聞いた日は、体が震えたのを覚えているし、とにかくやるしかない!と希望に胸がはちきれ、心も震えていた。

夢を現実にするために。まさか。

2021年1-3月の開催をターゲットに、具体的なフレームワークの構築を始めたのが確か2019年7月頃。12月には台湾本社から視察団を迎え、大阪で一旦開催は90%決まっていた。しかし….. 2020年2月開催のフィリピン決勝へ向け準備をしていた1月末にコロナが全世界を襲った。

混乱しながら、開催か延期か?の議論で過ごした数週間はツラかった。当時の日本代表チーム、DetonatioN Gaming White, Rascal Jester (現、DetonatioN FocusMeArea310 Rascal Jester) の両チームは、リスクがありながらも、「自分らは行けるならフィリピンで戦う!」と覚悟決めて、言ってくださったのを覚えています。結果延期。しかも、何の明確な見通しもないのに6月まで延期という意味不明な発表を行った。

Acer Japanオフィスへ来てくださった、メロフォ選手、Wesker選手

そこから、いつまで延期なのか?フィリピン開催がいつになるのか?全く分からないまま、当然日本大会の話は薄れていってしまう。ひょっとして、ワンチャン、日本開催は取り消されるんじゃない?という不安。

それでも、日本に大会を持ってくるまでは絶対にPUBGの熱を下げてはだめだという想いから、PJS(PUBG JAPAN SERIES)のパートナーとして応援を続けた日々。詳しい方なら皆様ご存じなので、詳しくは書きませんが、そんな中でPJSが終了し新たなシーンを迎え再出発した2021年。

ずっとずっと自分の中には、もやもやがあり、自分の手がける大会でPUBGの選手に活躍していただきたい、願わくば優勝してほしい!っていうのがあったんです。2018年プレデターリーグ日本予選ラウンドに向けて、ドハマりしていったPUBG。もうそこから仕事の枠を超えた思い入れや、思い出が抱えきれないほどあるタイトル。進めば進むほどそういう気持ちが強くなっていった。

いよいよ開催に向けて再始動

2021年4月12日。いよいよその日がやってきた。日本開催を告げた日だ。オフライン開催を予定していたフィリピン。様々な議論が裏ではなされ、オフライン開催を切望していたフィリピンはコロナの影響で苦渋を飲まされる結果に。オンライン配信を行った数日間、フィリピンの配信スタジオはスタッフの入場制限もかかるほど、激しくコロナに見舞われていた。悔しかっただろう。PUBGはサーバーを二つに分けて開催するという荒業にもでた。本来であればこの写真の会場で沢山の方に応援していただきやる予定だった。1万席があっという間に売り切れたMOA ARENA。

SMモール・オブ・アジア・アリーナ

大会の最後に日本開催を2022年として告げた。ここまで来るのに約2年の月日が流れていた。早くやらせてくれ!色々もう待てないんだよ!という焦りの気持ちを抱えながら、#戦いたいヤツ全員集まれ #戦いたいヤツドンドン行こう 2022年2月開催を想定し計画の再出発を図った。採用タイトルは再度投票するという方針が出る中、日本開催に向けて実は二つあるうちの一つのタイトルは主催国が決める。というルールを無理やりつくったのは自分です(このルールは今も生きています)。そして大会開催までにシーンがどうなってもPUBGで行くと決めていた。

日本開催を告げたスライド

密かに行われた再延期、そしてオフライン/オンライ論争・再延期論争

どこまで行けば、形になるんだろう。そんな気持ちでいっぱいだった。4月に発表した時は、当然2022年1-3月期を想定していた。しかし、議論はまた巻き起こった…. 

1年先のコロナの状況を誰が言い当てられるのか?1-3月ではコロナの終息が難しいのではないか?日本開催もオンラインにしてはどうか?日本開催は、安全をみて2023-2024にしてはどうなんだ?

当然、リスク管理無くして国際大会(イベント)を開く事はできない。この時期にイベントを計画された方ならだれもがぶち当たった最大の難問だったと思う。

先月の大会でメディア様にお話ししたことなのですが、プレデターリーグは決勝だけで成り立っているわけではありません。各国で行う予選、それに向けての企画・建付けすべてを含み行われていることもあり、プロジェクトをキックオフし完了するまでに最低1年がかかってしまう。しかも、2タイトルあるんです!

「オンライン開催に関してどう思うんだ?」「再延期があった場合、金銭的なリスクヘッジも含めて、どういう対応ができるのか?」自分に向けられた質問。正直「そんなの、やってみないとわからないやろ!」と言いたいところ、それではプロじゃない。自分が出した提案(誓い)は、

①再延期はあり得ない。それがもしオンラインになったとしても、宿命だと受け入れて2022年に実施することで進行する。

オンライでの企画・立案はあり得ない。オフライン・観客に入っていただいて実施したい。

③上記②については、リスクをぬぐい切れない。しかし、安全に安全を重ねても実施できる保証がないのなら、2022年の実施は完遂する。そしてそのために必要はアクションは全責任をもって全力で全て行う。

結果、1-3月期から10-12月期への変更。無観客オフライン実施が決定した。自分の願いが100%かなわなかったが、宿命だと飲み込んで動き出した。それが、2021年の7月頃の事だ。2021年11月には会場が98%名古屋で決定したが、またあることが起こり振り出しに戻された。

2022年になりようやく具体的に動きだした。会場がLINK FORESTに決まり、2021年4月に開催発表をしてから1年以上経過した6月23日に開催日、タイトルとフォーマットを発表した。この時はまだこの先約5か月がとんでもない日々になるとは思っていなかった。いや予想はしていた。しかし、その何倍ものタスクがあった….. 大会制作に時間を費やし、PRやマーケティングに十分手が回らなかった。

8月中旬から11月の大会までの記憶があまりない。次から次に問題が起こり、それを一つずつ解決していく日々。初めての事ってこんな難しいんだ!それでも頑張らないとと思い、自分を追い込んでいった。そんな中で、本当に良かった!と思う事が二つあった。一つ目は、Dota2 のコミュニティに触れることができた。REJECT May (現Team May)というチームに出会えた事。

二つ目は、Predatorが数年にわたりPUBGと向き合ってきた事を、Hitory Movieとして出すことができた事。この動画に詰め込むメッセージを考えるにあたり、同じ目線で温度感で考えてアドバイスしてくれた方がいた。感謝!大会制作で忙しい中動画編集を行ってくれたスタッフさんにも感謝!

感謝しかない

自分一人でこの大会ができたわけではない。2019年の発足時からオンオフありながらずっと一緒にこの大会の実現と構想にチカラを貸してくださった関係者の皆様がいた。

正直に申し上げると、海外対応が最初から最後まで弱かった。国内で仕事をしていると、国内の制作会社様は、海外とやりとりすることはあまりないと思う。2021年、フィリピンオンラインが終了してから、次は自分たちの番だ!プレデタリーグは国際大会です!主催として今回自分たちがしたような質問を一手に受けて、その責任を果たさないといけなくなる!と言い続けたが、チーム内でそこの意識は薄かったと思う。

しかし、それは経験の問題であり、日本という国特有の問題でもある。結果、徐々に慣れていき、山のように押し寄せる海外からの問い合わせに対応してくれた、海外対応のスタッフの皆様に大きな感謝!そして、大会は沢山の選手や、視聴者の皆様、メディア、海外からの関係者に感謝されるものにできたことは、皆様が自分と一緒にガチに取り組んでいただけた証しだと思っています。

自分もそうだ。国内の事であれば、自分の裁量や判断で決めていけることも多い中、このプロジェクトは、何度も何度もやり直しや追加を要求された。このプロジェクトで始めましてのスタッフの方も沢山いらっしゃった中、自分が幸運だったのは、自分やAcer/Predatorが何を考えて数年 esportsに取り組んでいるのかを理解してくださっている方が数名いらっしゃったことだと思う。そういう意味では、Wellplayed・RIZeST様IVS41様JTB様には感謝してもしきれないです。そうじゃないですよ!と思う事も沢山あったけど、皆様無しにこの大会はなしえなかったです!ありがとうございました!

そして、自分のような人間の言葉に耳を傾け、理解し、注文を付けながら最後任せてくれた心の広いAcerの方たちにも感謝。会場で各国のPredatorが口々にAmazing!Good Job!と声をかけてくれたことは本当に嬉しかった。

この大会は自分らがみんなでつくったんですよ!
PUBG STAGEの全貌
2022年のPredator League は、15か国および地域から6,612チームに参加いただける結果となった。これは過去実施した5年(2020/2021はオンライン大会として実施) で最多のチーム数だった。

最後に UniteAsOne

UniteAsOne (BecomeOne) は、長いコロナの最後に人々が集い、戦い、応援し、Predator Leagueという大会の元一つになろう!という気持ちでつけた、大会のタグラインみたいなものなのですが、こういったコンセプトから大会を創ったのも、プレデターリーグでは我々が初めてでした。少しでも多くの方にそれを感じて頂けていたら良かったです。

その大会を創るにあたり、こんなことをもっと注意しておくべきだったという反省点を下記に記します。

  • 国際大会だという事への意識付け

  • 英語コミュニケーションへの準備は万全に。一部の英語ができる人への過剰オーダーは避けるべき(私個人も死にました)

  • 海外のチームやお客様は思い通りに動いてくれない (People are out of control) 

  • 大会主催都合で人を動かそうとしては失敗する

  • 集う人々は多文化であることを知る。そして他宗教である事も

  • 大会開催まで1か月、少なくとも2週間は最終調整の時間を持つ

  • 海外チーム・関係者・メディアへ過剰な食糧の提供は無駄になる

  • ハングリーマンズパラダイス(カップラーメン、スナック)は必要

  • 主催と制作・運営の信頼はマスト。同じ目線で意見を出し合える関係がベスト(主催は常に万能ではない。逆もしかり)

  • 何でもかんでも「確認をお願いします」日本会社的動きでは進行が遅れる(運営、制作会社も等しく責任を持つ)

  • 大会開催中のコミュニケーションラインはしっかりと設計しておく

  • 熱意のあるチームバディ(英語が怪しくても)のチカラは大切

もし、何か今回の私の経験が、お役に立つならば、すべて無償でお話し(お伝え)します。ご連絡下さい。https://twitter.com/YASUSHI_TANI

今回のプロジェクトにチカラを貸していただけた皆様、本当にありがとうございました。ある方から、「夢がかないましたね」と言われ、ものすごく気持ちを揺さぶるメッセージ動画で大会の前日に泣かされました。僕にとってこんな大会を創ってみたいというのは、確かに夢でした。そして幸運にもその夢はかないました。

でも、その夢に向けて大会が決まってから沢山の事を考え、沢山の方のお話をお聞きし、現場に足を運び、大会を見て、チームを応援し、楽しい時もそうでない時も諦めずに努力したという自信はあります。自分の中では一つの節目にして、また次へ頑張りたいと思っています。一人でできない事も沢山の方が発する熱量で何とかなるという事が実証できました。挑戦したこと、沢山の方と出会ったこと、いつまでも消えない思い出ができました!泣かされた分、泣かし返したいと思っていますので、これからもよろしくお願いします。一人でも多くの方の記憶に残ればいいなって思っています。

最後まで読んでいただいた皆様ありがとうございました。
発表の通り、次回グランドファイナルズは、2024年。おそらく1-3月期で開催されます。ご期待ください。

  • The Asia Pacific Predator League 2024 Grand Finals

  • 開催国:フィリピン

  • タイトル:未定(2タイトル予定) 

  • JAPAN ROUND(予選) 開催時期:未定(2023年9月以降想定) 

The Asia Pacific Predator League 2022全日程はYouTubeからご覧板だだけます。

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IT LIES WITHIN また次回。お疲れさまでした!

※2022/12/30 誤字の修正、画像の追加を行いました。

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