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ニュースつぶやき:「蛇行剣──剣と刀のハイブリッド」

 奈良の古墳から発見された長大な刀剣、「蛇行剣」の話。


 奈良県奈良市の古墳、富雄丸山古墳から発見された刀剣、通称「蛇行剣」を分析したところ、剣と刀の特徴をあわせ持ったハイブリッドなデザインであることがわかったとのこと。
 円墳である富雄丸山古墳は4世紀後半ごろの築造と考えられており、国内の円墳の中では最大規模のものと目されています。
 2022年、その内部から出土したのが、今までに類を見ない盾型銅鏡、そして過去最大の蛇行剣です。このたびの分析で、その蛇行剣についての新たな発見があり、前述の結果となりました。

 出土した蛇行剣の内容は、鉄製で、剣身の全長が237cm、つかと鞘を装着した場合の全長は285cmにものぼったとのこと。刃は計6回蛇行しており、そして柄頭(把の先端部分)には後の刀に見られるL字型の曲がりが、柄縁(把の剣身に近い部分)の片側には後の剣に見られる突起がついていたとのことです。



 大きさからして実戦用ではなく、儀礼用のものかと思われますけれども、後の世に太郎太刀という全長303cmの実戦刀が造られたことを考えますと、この蛇行剣もワンチャン……と妄想がふくらんでしまいますわね。



 また、蛇行剣といいますと、国外においてもフランスのフランベルジュ、インドネシアのクリス、中国の蛇矛(じゃぼう、だぼう)など、魅力的な蛇行剣がございますわ。特にクリスは、柄頭がL字型に曲がっているなど、日本の蛇行剣との類似が見られますので興味深いです。


クリス。蛇行した剣身にL字型の柄頭を持つ。
(画像はWikipediaより引用)


 そして、身の丈を越す大剣と言えば、あれですわね。

“それは剣というにはあまりにも大きすぎた
大きく
分厚く
重く
そして大雑把すぎた。
それはまさに鉄塊だった”

 そう、漫画「ベルセルク」に登場するドラゴンころし。あれの重量は200kgにせまると言われておりますけれども、この蛇行剣はいったいどのくらいの重量があったのでしょうか。クリスやフランベルジュ、蛇矛は切りつけた際の傷口が複雑な形にひどくなり、縫合すらできなくなると言われるほど殺傷力の高い武器ですけれども、この大きさの蛇行剣を振るうことができたら、傷口なんて生易しいものではなく、人間など簡単に輪切りにできるのではないでしょうか。ドラゴンころしのように。

 ただ、これだけ大きいと動作は「振り下ろす」か「薙ぎ払う」の二つしかなくなり、精妙な剣さばきなどできないでしょうから、やっぱり実戦向きではなかったのかもしれませんね。それとも、古代にはこれを使って戦わねばならなかった、いわゆる「使徒」クラスの怪異がいたとか……?妄想が止まりませんわ~!




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