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ニュースつぶやき:「2024年に起こる宇宙天気災害」

 太陽の活動によって地球のインフラなどが影響を受ける話。

 地球に天気があり、悪天候による災害があるように、宇宙にも天気があり、その状況によっては災害級の悪天候になることがございます。これが「宇宙天気災害」と呼ばれるものですの。

 地球の天気が気流や雲に影響されるのに対して、宇宙の天気は太陽の活動に影響されます。(まあ宇宙と言ってもあくまでも地球の周りの宇宙、ということですわ)

 太陽は常に光や熱を放出している他に、放射線や高エネルギー粒子など、地球とその生物にとって有害なものをも太陽風として放出しております。

 ふだん、地球は大気圏と磁力圏という二つのシールドでそれら有害な宇宙線を防御しているのですけど、太陽の表面で爆発──フレアなどが起こると、それらの放出物が一時的に多くなって、勢いは強くなり、地球に吹きつけることがございます。この時、地球の磁力圏は大きく歪められ、歪んだ磁力線に沿って降り注いでくる放出物がもうひとつのシールドである大気圏と衝突して発光──オーロラが観測され、世界各地で電波障害が起きたりいたします。

 太陽にとってはくしゃみのようなものであっても、地球は大きな影響を受ける、ということにまず留意しておかなければなりませんわ。実際に2022年にはスペースX社の打ち上げた通信衛星「スターリンク」のうち40基が、強い太陽風が原因と見られる磁気嵐の影響を受けて墜落しています。(実際には墜落ではなく、デブリ化してしまうのを避けるため大気圏へ再突入させたもの)

 さて、本題の2024年の宇宙天気予報ですけども、どうやら太陽の活動が活発になる年のようですわ。太陽表面に見られる黒点の数が多ければ多いほど活動は活発であるとされ、フレアなどが起きやすくなるそう。この活発化は約11年周期で起こっており、さらに2023年に観測された黒点の数は前回の周期を上回るものであったことから、2024年の1月〜10月に大規模な太陽フレアが起きる可能性が高いと予測されておりますの。

 では、大規模な太陽フレアが起きると人類はどのような影響を受けるのでしょうか?

 総務省がまとめた報告書から要約しますと、

・短波帯(HF)の通信は、全国的に使用不可となる状況が2週間断続的に続く。短波帯の電波を用いる船舶無線や航空無線、アマチュア無線の利用に多大な支障が生じる。
・短波帯の放送は、2週間にわたり 断続的に使用不可となる。
・VHF帯・UHF帯の周波数を使用する無線システムは、発生直後から昼間の時間帯に断続的に使用できなくなる期間が全国的に2週間続く。このため、防災行政無線、消防無線、警察無線、タクシー 無線、列車無線等の通信システムに多大な支障が生じ、これらを用いる公共サービスの維持が困難となる。
・携帯電話システム(UHF帯)には、昼間の時間帯に最大で数時間程度のサービス停止が全国の一部エリアで2週間にわたり断続的に発生する。その結果、通信の途絶が発生し、緊急通報(110番、119番、118番)を含む全ての通信がつながりにくい事態が各地で発生する。
・衛星携帯電話の一部には、断続的に回線を使用できなくなる期間が全国的に2週間続く。このため、航空機、船舶、電力・ガス・石油など のライフライン企業、重要拠点のバックアップ、遠隔地の監視・制御、自治体の防災用途等、衛星携帯電話を利用する分野は活動に著しい制約を受ける。
・衛星測位システム(GPS 衛星、準天頂衛星みちびき等)は、測位精度の大幅な劣化や測位の途絶が全国的に2週間にわたり断続的に発生する。このため、カーナビゲーションや自動運転、ドローンの位置精度が大幅に低下し、衛星測位に係る冗長系や安全対策を持たないシステムを運用した場合、最大で数十メートルの誤差(ずれ)が生じ、その結果、衝突事故が発生する。また、安全確保のための運行見合わせが2週間にわたり断続的に発生する。
・衛星測位を利用する農業機械、建設機械、車両(物流、旅客、バスロケーション、配車管理)、ロボット、貨物追跡システム、鉄道、船舶 では、測位精度の大幅劣化や測位の途絶に伴い運行抑制が2週間にわたり断続的に発生し、農作業や建設作業の遅れ、交通・物流の停滞が 大規模に発生する。
・スマートフォンの位置情報の精度が劣化するため、緊急通報(110番、119番等)を発信した際、緊急通報位置通知の精度が劣化し、緊急時の駆けつけが遅れる。フードデリバリーの配達業務において、利用者個人や利用宅への荷物のピンポイントの配送が困難になる。
・電力系統においては、磁気圏じょう乱により地磁気誘導電流(GIC) が発生し、設備上・運用上の対策を措置していない電力インフラに おいては、保護装置の誤作動が発生し、広域停電が発生する。誤作動が起きなかった場合も、一部の変圧器の加熱による損傷が発生し、電力供給に影響が出る。電力供給の途絶や逼迫に伴い社会経済や全産業が広範囲に影響を受ける。

総務相 「宇宙天気予報の高度化のあり方に関する検討会」報告書より


 などということが予測されているようですわ。いずれも私たちの生活インフラに直結するものばかりで、中には命の危険に関わってくるものもございますし、特に電力供給の途絶は文字通りの死活問題となります。

 では、私たちはどうすればよいのでしょう?

 私なりの答は、「まず、知ることから始める」でございます。

 2024年に太陽表面で大規模なフレアがあり、それが地球に大きな影響を及ぼす可能性が高い──ということを事前に知っておけば、対策を練ることもできますし、最低でも(メガフレアが起きたのかもしれない……)と思い至ることによって無用なパニックを抑えることはできるはずですわ。
 電磁シールドの開発・設置、電気に頼らない生活の構築、連絡手段の複数化など、事前にやれることはございます。その時が来たときに、いかに理性的に行動できるかは、普段からの意識づけがどれだけなされているかにかかってくるでしょう。

 年始から大地震を受け、国民の防災意識は高まっているはず。地震や台風など地上の災害だけではなく、今年は太陽すらも牙を剥くかもしれない……ということを頭の片隅に入れておいて、油断なく過ごしたいものですわね。



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