Takahashi RIE

高橋里絵

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高橋里絵

マガジン

  • ハッピー・ママ91

    91歳になる母の、ハッピー・エピソード。

  • 介護は贈りもの

    母の介護を通して得た私の気づき、そして介護をしている皆様へ贈るエールです。

最近の記事

天気予報〜ハッピー・ママ

母はテレビのニュースと天気予報を必ず見ていました。私はほとんど見ませんでした。ですから、母はいつも私に天気予報を教えてくれました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ ある年の3月。友人と八ヶ岳に行く支度をしていると、ママは天気の心配をして何度も天気予報を見ている。 そして、テレビを見ながら、 「りえちゃん、大変よ。週末は雨だって。ちゃんと傘を持っていきなさい。風邪をひかないように暖かくして行きなさい。」 とうるさく言ってくる。 寒いのならママの買ったばかりのあのコートを借りることにしようと思

    • 傾聴〜ユーモア・コミュニケーション

      ユーモア・コミュニケーション・クラスで学んだ「思ったことをぱっと言う」と「傾聴力」を使ってみた体験談です。 母が施設に入居してから数ヶ月、担当者とケアマネさんに恵まれて、ようやく落ち着いてきたと思っていた頃、母の担当者が変わりました。他の施設から異動して来た新任者で施設長の言うことを聞かないちょっと困った人という噂が聞こえてきました。 新しい担当者は、私が面会に行くたびに、苦情を言ってきました。母が夜中に何度もお手洗いに行くので大変だと。私は、母は家にいた時も夜中には何度

      • 星占い〜ハッピー・ママ

        母は新聞が大好きで、毎日2時間位かけてじっくりと読むのが日課でした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 週末の朝、遅めの朝食を終えてリビングでゆっくりタイム。いつものように新聞を広げて読んでいたママが、ふと言った。 「りえちゃん、あなた、乙女座?」 乙女座ではない私は、この言葉にびっくりしてママに抗議する。 「えー!ママ、私の星座を知らないの!?生まれてから何十年、こうして一緒に暮らしてきたのに! お誕生日だっていつもお祝いしてきたのに!」 ママは新聞に目を落としたまま、独り言のように言っ

        • シャーン・シャーン〜ハッピー・ママ

          母が、仕事を辞めてから通っていた合唱教室。元気な先生に会えるのが楽しいといつも喜んで出かけていきました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 週一回の合唱教室の日。出かける前に暑いとか疲れたとか言いつつも帰ってくるといつも元気になっている。歌の先生がパワフルな方で元気をいっぱいもらうそうだ。 今日も元気になって帰ってきたママ。 「今日はね、ユー・アー・マー・シャーン・シャーンっていう曲を習ったのよ。」と歌って聞かせてくれた。 私は、 「それ、マー・シャーン・シャーンじゃなくて、マイ・サン・シャ

        天気予報〜ハッピー・ママ

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        • ハッピー・ママ91
          4本
        • 介護は贈りもの
          2本

        記事

          イライラ〜ハッピー・ママ

          私が感情的になっているときは、母は傍観者のように冷静でした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 仕事が忙しかった、疲れていた、外で嫌なことがあった、といろいろ重なって、私はイライラしていた。 家に帰って来て、今ではもう何のことだったか忘れたけれど、ママに対してもイライラしてしまい、ガミガミと言ってしまった。 しばらくして気持ちが落ち着いたら、ママに八つ当たりをしてしまったと気づいて心から反省してに謝った。 「ママ、イライラしちゃってごめんね。」 するとママは涼しい顔をしてこう言った。 「

          イライラ〜ハッピー・ママ

          行動基準〜ハッピー・ママ

          母の行動基準は正しいかどうかではなく楽しいかどうかでした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 仕事の関係で近所の論語教室に行くことになった。月一回、半年ぐらい通えばいいだろうと思っていたけれど、良いことだからと頑張って続けて通っていた。 論語は簡単に言えば、人としての正しい生き方を教えてくれて道徳学ともいわれる。 教室は平日の夜なので、会社から戻って荷物を置いて、軽く食事をしてすぐ出かける。 ある時、私が論語教室に出かけようと忙しく支度をしていると、ママが真顔で聞いてきた。 「りえちゃん

          行動基準〜ハッピー・ママ

          ブラボー👏〜ハッピー・ママ

          母は、私が何か楽しそうなことをしていると、子供のように、すぐ真似をしました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ ある日の夜、ママが寝る前の歯磨きをしている洗面所に行き、ふと、バンザーイをしてみようと思った。 洗面所の大きな鏡の前、ママの横に立って「バンザーイ!」と言って両手をあげると、やっぱりママは真似をした。それは私より元気で大きな声のバンザーイ!だった。 ママは楽しそうに何度も真似をする。それがおかしくて、今度は「ブラボー!」と言って拍手をしてみた。 やっぱりママは私より大きな声で、

          ブラボー👏〜ハッピー・ママ

          飛行機雲〜ハッピー・ママ

          母の無邪気さは、時に魔法のようなことを起こすことがありました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ ママと近所のスーパーに行く途中、道路脇に高校生くらいの男の子が4人、だらしなく地べたに座っていた。 皆うつむいていて暗くイヤな雰囲気。私は早くそこを通り過ぎようとした。 その時、となりにいたママが急に立ち止まって大きな声で言った。 『りえちゃん、飛行機雲よ!わー、きれい!』 空を見上げると、真っ青な空に真っ白な飛行機雲が一本、すっーと伸びていて本当にきれいだった。 ママは飛行機雲に感動して、

          飛行機雲〜ハッピー・ママ

          仕事でのミスは許されない〜ハッピー・ママ

          社会人になって数年目の頃。会社でちょっとしたミスをして、上司に厳しく叱られて、とても落ち込んだ。 家に帰ってきて、ママに私の気持ちをわかってもらいたくて言った。 『ちょっとしたミスだったのに、あんなふうに叱らなくてもいいのに』と。 慰めの言葉が返ってくると思っていのに、ママは突き放すように、 『仕事でのミスは許されないわよ』と。 私、 『だって些細な間違いなのよ。ちょっとしたミスなのよ、それなのにー』とママの理解を求めた。 するとママは強い口調で、 『どんなに小さなことで

          仕事でのミスは許されない〜ハッピー・ママ

          心で断食〜ハッピー・ママ

          私は物事を難しく考えるタイプ、母はあまり考えないタイプだったと思います。本人は「私だって考えてるわよ」と言っていましたが。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 我が家のお手洗いにあった日めくり。数秘学に基づいて日にちごとに、その日にすると良いことが書いてあった。 ある日、外出先からママに用事があって電話をしたとき、その日めくりに今日は何をすると良いと書いてあるかママに聞いた。 ママ 「プチ断食をする、って書いてあったわよ。」 私は朝食もお昼もしっかり食べてしまった後だったので「無理だわ」と言った。

          心で断食〜ハッピー・ママ

          毛皮のコート〜ハッピー・ママ

          私が小学生5〜6年生の頃のこと。 お休みの日は母とよくデパートへ行った。母は洋服を見るのが大好きで、その日は洋服売り場を歩いているうちに毛皮コーナーに入り込んだ。 そこで店員さんがすかさず寄ってきて 「こちらお似合いになりますよ、 羽織ってみるだけでもいかがですか」 と毛皮のコートを勧めてきた。当時はフェイクの毛皮などはなく、毛皮はどれも何十万円もする高級品だった。だから私の周りには毛皮を持ってる人など誰もいなかった。 私は、こんな高級品を売りつけられたら大変なことになる

          毛皮のコート〜ハッピー・ママ

          新しい時代のマスク

          このマスクは本物だと感じています。 長年、ウェディングドレスを製作してきたルーチェ・クラッシカの光田みどりさんが製作したマスクです。 初めてこのマスクをつけたときに、その心地よさとフィット感に、思わず微笑みが溢れて、幸せいっぱいの気持ちになりました。 みどりさんは、 …立体裁断でのウェディングドレス製作は長い道のりで、時短やコスパとはかけ離れている世界。 だからこそ、手仕事独特の精神を込められるので、誇りを持って作成しています… と、語っています。 そのみどりさん

          新しい時代のマスク

          老後〜ハッピー・ママ

          母が85歳の時でした。 母も私も、一番おいしいと思っている大好きなレストランでお食事。その週は2日続けての外食でした。食事中、ふとママが言った。 ママ 『毎日、外食でお金を使っちゃって、そろそろ老後のことを考えてお金を貯めなきゃ』 😮 老後?それって、85歳の人が言うかしら。30年くらい遅いと思って… リエ 『遅いんじゃないの?』 ママ 『そうかぁ、遅すぎるかぁ。』 リエ 『そうよ、遅すぎるわよ。』 ママ 『3年位前に考えなきゃいけなかったかしら?』 😲えっ?たった3年

          老後〜ハッピー・ママ

          年をとれば…〜ハッピー・ママ

          ママいわく… 『年をとれば、とっただけ、 いいことがあるんだから、 慌てることはないわよ』 91歳になったママに言われると、 妙に説得力があると思う。 年をとればとっただけ、 いいことがあるなんて、楽しみだな。

          年をとれば…〜ハッピー・ママ

          人生はわからないもの

          35年以上も前に、余命半年と言われた母は、 91歳になりました。 当時、未成年だった私に代わって、お医者さんからの余命宣告を聞いてくれた叔母夫婦の方が、先に天国へ逝ってしまいました。 そんな番狂わせがあるとは、思いもしませんでした。人生は分からないものです。 毎朝、祖父母たちの写真に手を合わせている母。 「今日も、楽しく生きます。」 と言っているそうです。 人の人生はわからないものです。自分の人生もわからりません。明日どんないいことがあるかもわかりません。 戦時中は

          人生はわからないもの

          お母さんが看護師さんのキミへ。

          お母さんが看護師さんで、 ひとりでお留守番をしているキミへ 愛とありがとうの気持ちを送ります。 愛もありがとうの気持ちも、 カタチのない目には見えないものだから、時間も場所も飛びこえて、キミに届くはずです。 キミのお母さんが看護師さんで、 もし、キミが今、 ひとりぼっちでお留守番をしていて、 もし、寂しい思いをしているのなら、 私からの愛とありがとうを受け取ってほしくて、キミに手紙を書いています。 キミのお母さんは命を助けるために一生懸命、働いています。自分のことより

          お母さんが看護師さんのキミへ。