Takahashi RIE

高橋里絵

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  • ハッピー・ママ91

    91歳になる母の、ハッピー・エピソード。

  • 介護は贈りもの

    母の介護を通して得た私の気づき、そして介護をしている皆様へ贈るエールです。

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地球まるごと幸せ計画〜ハッピー・ママ

ハッピー・ママを書き始めたきっかけは、母の面白い言動を自分だけで笑っているのはもったいないと思ったからでした。 ある日、母が何かをして、それがあまりにもおかしくてお腹を抱えて笑っているときに、ふと思いました。 おかしすぎて自分一人では笑いきれない。一人で笑っているにはもったいない。 それで笑いのお福分けのつもりで母の「笑い話」を書き始めました。 一家に一台、炊飯器があるように、一家に一人、ハッピーなママがいたら楽しいだろうとも思いました。 もともと私は、自分は子供の

    • 悪いのはこっち〜ハッピー・ママ

      わが家のリビングに、祖父母の写真を飾っているコーナーがあります。仏壇ではないけれど、毎朝毎晩、母と私は手を合わせていました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ ある日、私がソファーでくつろいでいる側で、ママは祖父母の写真に向かって手を合わせながら、申し訳なさそうに言った。 「りえは、いまだにお嫁に行かなくてすみません。おじいちゃん、おばあちゃん、責任を感じなくていいんですよ。みーんな、こっちが悪いんですから。」 私はソファーから転げ落ちた。 ママの言葉にノックアウトされたと言ったら、 「あ

      • 幸せを体に染み込ませなさい

        ある夏、知人からナイトウェアをプレゼントされました。彼女はお金持ちで、いつも高級品を贈ってくれました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ そのナイトウェアはフランス製のコットンで作られた高級品だった。暑い夏の夜もそれを着れば涼しくて快適に寝られる。一度これを着ると、他のは着られないと彼女は言った。 リボンを解き、包装紙を外して箱を開けると中から真っ白なナイトウェアが出てきた。レースのフリルがいっぱいついている。 箱から出してみたけれど、あまりにも素敵で、そのまま元通りに畳んで箱に戻した。も

        • アロンアルファ〜ハッピー・ママ

          母を歯科大学の病院へ連れて行ったときのことです。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 大学病院は同じ歯科でも細かく科が分かれている。まずはどの科を受診するかを判断するため総合診断を受ける。 問診に当たった若い女医さんが、現在治療を受けている病気や服用中のお薬などを聞いてきた。ママは特に病気はしていないが、骨粗しょう症の薬を飲んでいると伝えた。 すると、骨粗しょう症の薬といってもたくさん種類があるので、名前を教えてくださいと言われた。うっかりお薬手帳を持ってこなかったので名前がわからない。

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        地球まるごと幸せ計画〜ハッピー・ママ

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        • ハッピー・ママ91
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          2本

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          身振り手振りを大きく〜ユーモア・コミニケーション

          ユーモア・コミュニケーションを学んで良かったと思う出来事がありました。クラスで練習した「身振り手振りを大きく」を、日常生活で、思わずしてしまった時のことです。 長年、会社経営をされ、今も現役で活躍している知り合いの女性、Aさんが初期ガンの手術をしました。手術は無事成功、転移も無いとのことでした。 退院後、お目にかかるとひとまわり小さくなって、全く元気がありません。でも時間が経てばまた元気に戻るだろうと思いました。 けれどその後、いつ会っても元気がなく声も弱々しい。「体力

          身振り手振りを大きく〜ユーモア・コミニケーション

          いのちの歌〜ハッピー・ママ

          夏のある日、母は通っていた合唱教室から帰ってくると、1枚の楽譜を見せてくました。それで珍しく、母はちょっと真面目な話をしました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 「今日はね、新しい歌を習ったの」と言いながら、ママが見せてくれた楽譜は「いのちの歌」。 この歌はNHK朝の連続ドラマの挿入歌で、ちょうど私もじっくりと歌詞を聞いてみたいと思っていたところだった。グッドタイミング。 数日後、CDを買ってきてママと一緒に聞いた。するとママは静かに語りだした。 ママ 「最近はこういう歌詞、多いわね、

          いのちの歌〜ハッピー・ママ

          白菜のお漬物

          目の前に並ぶご馳走。大好きなものを最初に食べるか、最後に取っておくか。母は大好きなものを最初に食べないなんて考えられない!と言っていました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ ママは白菜漬けが大好き。冷蔵庫に隠しておいても必ず見つけ出して全部食べてしまう。塩分の摂りすぎが心配だから、時々ご褒美に買ってきたあげた。 夕ご飯に白菜漬けを出してあげた日。食事を終えて、台所で洗い物をしていると、ママが来て冷蔵庫を開ける。白菜漬けをもう少し食べたいと言う。 「ママ、ダメよ。塩分の取りすぎになるから、

          白菜のお漬物

          じゃんけん✊✌️✋〜ハッピー・ママ

          私は気分転換に母とじゃんけんをするのが好きでしたが、いつも私が勝つので、母は、じゃんけんが好きではありませんでした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ りえ 「ママ、じゃんけんしようよ。」 ママ 「いやよ、いつも負けるから。」 りえ 「楽しいから、やろうよ、やろうよ。」 ママ 「いやよー、疲れるから。」 りえ 「一回だけでいいからやろう、お願い!」 ママ 「もぉー、一回だけよ。」 りえ 「わーい、やったぁ!」 じゃんけんをすると決まったら、ママも全力集中。私が腕を振りながら、「じゃんけん…」

          じゃんけん✊✌️✋〜ハッピー・ママ

          あいうべ体操〜ハッピー・ママ

          母は私が新しいことや面白そうなことを教えるとすぐに真似したり実行しました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 歯科医師が考案した「あいうべ体操」というのを知り合いから教えてもらった。 口を大きく開けて、ゆっくりと「あ〜、い〜、う〜、べ〜」と言う。「べ〜」と言うときは舌を思いっきり出す。 口周りの筋肉のトレーニングになり、免疫アップ、美容効果もあるし、脳の血管も良くなるらしい。 ママにも教えてあげて2人で始めた。ママが1人でもできるように、説明の紙を洗面所に貼ってあげた。 数日後、洗面所

          あいうべ体操〜ハッピー・ママ

          Mama in Paris

          母の初めての海外旅行は、1ドルが340円の時代。病院の視察と観光を兼ねたヨーロッパ旅行でした。旅から戻った母は、スイスアルプス山脈の最高峰ユングフラウヨッホに感動したと、目を輝かせながら何度も話してくれました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 旅の最終日はパリ。ホテルでディナーを終えた後、オプショナルで添乗員さんがディスコ(クラブ)に連れて行ってくれると言う。日本ではディスコブームが始まる前のこと。 どんなことでも一つ残らず体験して、思いっきり楽しもうと思っていたママは、もちろん行った。

          褒めるにもホドがある〜ハッピー・ママ

          母は知らない人に気軽に声をかけるタイプでした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 暑い夏の日が続いていた。夕ご飯を食べながらママが日中のことを話し始める。以下、ママの話。 今日もすごく暑かったけれど、頑張って銀行に行ったのよ。銀行に案内の男の人が立っているでしょ。その人があんまり暇そうに立っているものだから、ひとこと言ってあげたの。 『今日も暑いですね』って。 それで、その人が 『奥様は、お元気ですね』と言うから、 『そんなことはないですよ。今年の夏は特に暑くてもう参ってしまって。』と言った

          褒めるにもホドがある〜ハッピー・ママ

          天気予報〜ハッピー・ママ

          母はテレビのニュースと天気予報を必ず見ていました。私はほとんど見ませんでした。ですから、母はいつも私に天気予報を教えてくれました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ ある年の3月。友人と八ヶ岳に行く支度をしていると、ママは天気の心配をして何度も天気予報を見ている。 そして、テレビを見ながら、 「りえちゃん、大変よ。週末は雨だって。ちゃんと傘を持っていきなさい。風邪をひかないように暖かくして行きなさい。」 とうるさく言ってくる。 寒いのならママの買ったばかりのあのコートを借りることにしようと思

          天気予報〜ハッピー・ママ

          傾聴〜ユーモア・コミュニケーション

          ユーモア・コミュニケーション・クラスで学んだ「思ったことをぱっと言う」と「傾聴力」を使ってみた体験談です。 母が施設に入居してから数ヶ月、担当者とケアマネさんに恵まれて、ようやく落ち着いてきたと思っていた頃、母の担当者が変わりました。他の施設から異動して来た新任者で施設長の言うことを聞かないちょっと困った人という噂が聞こえてきました。 新しい担当者は、私が面会に行くたびに、苦情を言ってきました。母が夜中に何度もお手洗いに行くので大変だと。私は、母は家にいた時も夜中には何度

          傾聴〜ユーモア・コミュニケーション

          星占い〜ハッピー・ママ

          母は新聞が大好きで、毎日2時間位かけてじっくりと読むのが日課でした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 週末の朝、遅めの朝食を終えてリビングでゆっくりタイム。いつものように新聞を広げて読んでいたママが、ふと言った。 「りえちゃん、あなた、乙女座?」 乙女座ではない私は、この言葉にびっくりしてママに抗議する。 「えー!ママ、私の星座を知らないの!?生まれてから何十年、こうして一緒に暮らしてきたのに! お誕生日だっていつもお祝いしてきたのに!」 ママは新聞に目を落としたまま、独り言のように言っ

          星占い〜ハッピー・ママ

          シャーン・シャーン〜ハッピー・ママ

          母が、仕事を辞めてから通っていた合唱教室。元気な先生に会えるのが楽しいといつも喜んで出かけていきました。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 週一回の合唱教室の日。出かける前に暑いとか疲れたとか言いつつも帰ってくるといつも元気になっている。歌の先生がパワフルな方で元気をいっぱいもらうそうだ。 今日も元気になって帰ってきたママ。 「今日はね、ユー・アー・マー・シャーン・シャーンっていう曲を習ったのよ。」と歌って聞かせてくれた。 私は、 「それ、マー・シャーン・シャーンじゃなくて、マイ・サン・シャ

          シャーン・シャーン〜ハッピー・ママ

          イライラ〜ハッピー・ママ

          私が感情的になっているときは、母は傍観者のように冷静でした。 ⭐︎⭐︎⭐︎ 仕事が忙しかった、疲れていた、外で嫌なことがあった、といろいろ重なって、私はイライラしていた。 家に帰って来て、今ではもう何のことだったか忘れたけれど、ママに対してもイライラしてしまい、ガミガミと言ってしまった。 しばらくして気持ちが落ち着いたら、ママに八つ当たりをしてしまったと気づいて心から反省してに謝った。 「ママ、イライラしちゃってごめんね。」 するとママは涼しい顔をしてこう言った。 「

          イライラ〜ハッピー・ママ