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傾聴〜ユーモア・コミュニケーション


ユーモア・コミュニケーション・クラスで学んだ「思ったことをぱっと言う」と「傾聴力」を使ってみた体験談です。

母が施設に入居してから数ヶ月、担当者とケアマネさんに恵まれて、ようやく落ち着いてきたと思っていた頃、母の担当者が変わりました。他の施設から異動して来た新任者で施設長の言うことを聞かないちょっと困った人という噂が聞こえてきました。

新しい担当者は、私が面会に行くたびに、苦情を言ってきました。母が夜中に何度もお手洗いに行くので大変だと。私は、母は家にいた時も夜中には何度もお手洗いに行っていたので、今に始まったことではないと反論しましたが母を預けている手前、強くは言えませんでした。

やがて、夜は眠剤を飲ませて静かに眠らせた方が本人のためにも良いと言うようになりました。
これは納得できないと思い、かかりつけ医に相談に行くと「高齢になったら夜中に10回ぐらいお手洗いに行っても普通ですよ。眠剤を飲むのはマイナス面の方が大きい。夜中の世話が大変だから眠らせておきたいのでしょうね」と。私もそう思いました。

そして、かかりつけ医の診断を担当者に伝えましたが聞き入れてくれません。夜眠れないのは母にとって良くない、本人がかわいそうだと言い張ります。ケアマネさんも担当者の主張に賛成して、指定された病院に母を連れて行くことになりました。

結局、そこのお医者さんもかかりつけ医と同じことを言いました。その先生が診察に来た事情を聞いてくれたので施設の担当者の話や、私の不安を説明すると理解してくれて、いちばん軽い薬を出しましょうといいました。

母は薬の副作用が出やすい体質なので、本当は飲ませたくはありませんでしたが仕方がありません。具合が悪くなったら服用をやめてくださいとのお医者さんの伝言を伝えて眠剤を預けました。

さて、母は一回飲んだだけで具合が悪くなりました。これにびっくりした担当者から眠剤を中止しますと連絡がきて、これで薬を飲まないで済むと私はほっとしました。

こんな状況の中、母のためにどうにか彼女とうまく付き合っていかなければと思いました。

その頃、私はユーモア・コミュニケーションのクラスを受けて半年ぐらいが過ぎていました。
ある日、面会に行った時にクラスで習った「思ったことをぱっと言う」をやってみようと思いました。

担当者が来たら、明るい声で元気に挨拶。それから間髪入れず、ぱっ!と言いました。
「髪を切られたんですね。ショートも似合いますね」とか、
「今日のTシャツいい色ですね」とか。
何度か続けるうちに相手と話しやすくなったのがわかりました。

いつものように母の苦情を話し始めたら、自分の主張や考えを脇に置いて傾聴しました。クラスで習ったことの実践です。うんうんとうなずきながら「なるほど、そうなんですね」と受け止めました。

彼女の話をよく聞くようになってから数回目の面会で、彼女は自分の悩みを私に話し始めました。これにはびっくりしました。そんな話を私にしてしまっていいの?と思う内容でした。私はしっかり傾聴しました。話し終えると彼女は「こんな話をしてしまってごめんなさい」と照れたように謝りました。

それから奇跡が起きました。その日以降、彼女は母に対する苦情を一切言わなくなりました。それどころか愛情を持って母に接してくれるようになりました。
ある日、面会に行くと彼女は言いました。「寒くなってきたので、靴下を私が選んで買ってきてもいいですか」と。本来ならば家族がしなければいけないことを彼女がしてくれると言うのです。

やがて彼女は、こんな言葉を言ってくれました。「私の方がお母様から学ばせていただいてます」と。

ユーモアクラスで学んだ「思ったことをぱっと言う」と「傾聴力」で奇跡が起きた私の体験でした。

終わり

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