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プロレタリア文学から学ぶ「分断に乗せられたらいけない理由」【党生活者】小林多喜二著

当時非合法になっていた共産党の党員3人が
工場に潜入する話です。
読んでる私まで「捕まらないよね?」とドキドキしました。

主人公たち3人が潜入する工場は、
元々電線を作っていました。
しかし、戦争が始まってからは、
毒ガスのマスクやパラシュートの部品など
軍需品に変わりました。

生産が間に合わないため、
朝から夜までぶっ通し働かされます。
食事休憩の時間は、給料から差し引かれました。

主人公たちはこんな理不尽な状況に対して
「おかしい!」と声を上げる仲間たちを作ろうと
奮闘していました。


・分断させるのが常套手段

潜入先の工場は生産が間に合わないため、
大幅に臨時工を増やしました。
今で言うところのパートや派遣労働者のようなものでしょうか。

主人公たちは臨時工の募集に応募しました。

もともと工場の従業員は200人くらいでした。
戦争が始まって、600人も臨時工を雇いました。

工場長や経営者などの支配層側は
従業員が団結するのを恐れています。
それをさせないために、
巧みに彼らを分断させていました。

この手段として
本工と臨時工の待遇に差をつけました。
そのため、彼らは仲が悪かったです。

・軍や別の党員も潜入

地道にビラを貼ったり、機関誌を
回し読みさせてた主人公たち。
ある時機関誌を読んでた女工が
男に殴られました。

様子がおかしいと主人公たちが調査をしたら、
軍から派遣された男が殴ったことが判明。
さらに大衆党系の党員(主人公たちとは別の党員)も
工場を行き来しています。 

「満州王国」など戦争を煽るようなことを
しゃべり回っていました。

主人公たちの活動を邪魔するかのようでした。

自分たちの状況を変えようと
団結して声を上げようとすると
分断させるような状況になるのは、
今も昔も変わらないと感じました。

・解雇しても不滅

臨時工たちは最終的には解雇されました。
主人公たちも例外ではありません。
工場で出会った仲間たちも解雇されました。

しかし、「私たちを解雇してもなくなるわけではない」と主人公たちのうち1人が言います。

「他の職場に行って同じような活動をすれば
どんどん広がっていく」と言いました。

・感想

国や経営者など上の立場の人に対して
団結して主張しようとすると、
仲間の間で分断させる状況を作るのは
今も昔も変わらないと感じました。

子育て中の私が思い浮かんだのは
児童手当※や特別児童扶養手当です。
一定の収入を超えると、もらえなくなります。
※2024年10月以降、所得制限撤廃の見込み。

いくら収入が多いと言っても
子育ての大変さがなくなるわけではないのに、
どうしてそこで線引きするのかと
理不尽さを感じます。

声を上げてる私たちを分断させて、
黙らせようとしてるのではないかと
勘ぐるぐらいです。

譲歩してるように見せかけて分断させる。
そんなやり方に乗らないようにしようと
改めて学びました。

以上、ちえでした。
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