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「浅ましい」 ある女性を血眼になって探す男性たちを見て感じたこと【あいにくあんたのためじゃない】柚木麻子著

「こいつら、浅ましいなぁ」
短編の一つである「スター誕生」を読んで
心底呆れました。

主人公は、真木信介。
うだつの上がらない元アイドルです。 
「独居老人しげる」という60代の男性YouTuber。
HATUという50代の有名ラッパーが登場。

この3人の男性がある女性を切り札として
使おうとしている話です。


・彼らが探している女性

彼らが探している女性は、しげるがファミレスで撮影している時に遭遇しました。

「迷惑だ」とヒステリックな鼻声で
まくしたてています。

ある人気若手座ラッパーが引用RTで、
「韻を踏んでいる。すごい」と投稿したことを機に再生数が上がり、一躍人気者に。
彼女は「MCワンオペ」と呼ばれるようになりました。

MCワンオペは芸能人でもなければ、
YouTuberでもありません。
子育て中の女性です。

・必死で探す彼ら

打ち切り危機の自分の番組に出てほしい信介、
自分のチャンネルに出てほしいと願うしげる、
一緒に探してはいないが、
「共演したい」と投稿して炎上したHATU。

3人とも「あわよくば精神」がにじみ出ていて
浅ましく見えました。

信介としげるは捜索の過程で、
彼女がかつて通っていた保育園の保護者と
勤務先の人から罵られます。

「あんたたちのせいだ!」と。

「あわよくば精神」は私だけでなく、
保護者や勤務先の人に見えていたかもしれません。

・他力本願

「なぜこれほど浅ましく感じたのか」
その理由を考えてみました。
それは「他人の力で、嫌われ者の自分の好感度を上げようとしたから」です。

確かに、自分一人だけではビジネスはできません。
どうしても周囲の人の応援は必要になります。
しかし、周囲の人に応援されるのと
人気者の力を利用するのは違うと感じました。

この3人は後者です。
だから余計そう感じました。

・感想

「私は有名人の友達がいる、すごいでしょ?」

そう自慢する人を見たことはありませんか。
直接言ってるところを見たことはありませんが、
ネットの投稿で時々見かけます。

そういう投稿を見るたびに、
「すごいのは有名人の方で、あなたがすごいわけではない」と突っ込みたくなります。

この短編を読んで、このエピソードを思い出さずにいられませんでした。

最終的に彼らは、「今の自分たちができること」をやることにしました。

自分の立ち位置や状況を分かった上で
行動する人は
どんな状態でも生き残れると
感じさせた結末でした。

浅ましさを感じつつも、
終わり方に救いを感じました。

以上、ちえでした。
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