偏見を自覚【ハンチバック】
「ハンチバックって何?」
タイトルを見たときの感想です。
芥川賞受賞時、著者のインタビューを見ましたが、
「この人は一体どうやって文章を書いたんだろう」と疑問が出てきました。
インタビュー中にiPad を使っていることが判明。
「テクノロジーの進歩で、この状態の人が、文章を書くことができるようになった」と思いました。
著者本人は否定していましたが「とてもユーモアに溢れている人」と印象を持ちました。
・想像力が豊か
冒頭からいきなり、投稿記事の内容が出てきました。HTMLタグが出てきてびっくり。
主人公はライターの仕事をしています。
ハプニングバーに行った時の体験談が書かれていました。
驚いたのが書き手の主人公が、実際に行ったわけではないことです。
いわゆるコタツ記事ですが、それもそのはず。
主人公は、右の肺を圧迫するように背中が曲がっています。重度の身体障害者です。
車椅子に乗って介助者がいないと外出もままならない状態です。1人でハプニングバーに行けるわけがありません。
そんな状態にも関わらず、体験談を内容を見ると想像力豊かだなと驚きました。
この描写がなく、この投稿する記事の文章だけだったらわからないと思います。
・人間だもの
失礼ながら、障害を持っていようがなかろうが、
同じ人間ということを思い出されました。
最近でこそ何かしらの障害を持っている人が
「結婚をして子どもを持ちたい」という話が
新聞記事に出てくるようになりました。
どこかのグループホームでは「入所条件は不妊手術をすること」とあり、実際に受けた人がいたことが問題になっていました。
「自分自身が助けがいる状態なのに、ましてや子どもなんか産んで」という発想なのでしょう。
このニュースに対して、「そもそも子育てを親だけが担わないといけないという発想自体がどうかと思う」と反論してた有識者の方がいました。
「なるほど」と気づきになりました。
主人公の場合、体の構造上、出産は難しいです。
自分でもそれが分かっているので、こんな発言が出てきました。
中絶前提で妊娠…とドキッとさせられました。
・本を読むのも命がけ
目が見える、本が持てる、
ページがめくれる、姿勢を保てる、
書店に買いに行ける。
私は幸いなことに全てクリアできてます。
正直なところ考えたこともありませんでした。
著者の受賞インタビューでも触れられていました。
本を読みたくても、読めない状態の人がいるというのを想像できませんでした。
目が見えないのは、緑内障などで本が読めなくなったというケースで聞くことがあります。
最近ではオーディオブックという聴く読書が普及しています。
しかし、本を持つことができる、ページがめくれる、姿勢が保てる、は考えたこともありませんでした。
「電子書籍でこれらの問題は解決できないんだろうか」
そう考えさせられました。
・感想
「この体の状態で文章が書けるものか」
失礼ながら受賞者インタビューに出てきた著者を見て、率直に感じました。
昔だと、筆記用具で原稿用紙に書くしか手段がなかったでしょう。
最近の作家さんはパソコンやタブレットなどで入力していると考えられます。
そう考えると、ペンが持てない、文字が書けない人でも、パソコンの入力ならできる人は一定数いるのではないかと思いました。
身体障害者だけでなく、学習障害の特性で文字が書けない人も当てはまるでしょう。
テクノロジーの進化で、今までなら文字すら書けなかった人が、文章表現できる時代になったと感じました。
今後も著者の作品楽しみです。
以上、ちえでした。
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